2017-04-08 12:00

個展『無彩色の痛点』とは一体?フラワーアーティスト相壁琢人さんにインタビュー

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フラワーアーティストの相壁琢人さんが、個展『Pressed Flower Exhibition「無彩色の痛点」』を4月21日(金)〜4月26日(水)まで表参道のギャラリーROCKETで開催することになりました。個展の他にも繁華街でのゲリラ展示やライブイベントも開催している相壁さんとは一体どんな人なのか?「無彩色の痛点」とはどんな個展なのか?途中、哲学的な話も交えながらお話を伺いました。最後には実際に押し花を制作してもらいましたよ。

 

art work by Mayu Murota
photo by Shiho Aketagawa
interview & edit by Fuhito Kitahara

 
 
 

| 花に興味はなかった。

 

   本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。

 

相壁琢人(以下、相壁) フラワーアーティストの相壁琢人です。元々は大学生の頃から音楽をやっていて、バンドを続けるために実家の花の仲卸を手伝っているうちに花の魅力に気づきました。2010年くらいからフラワーデザイナーの元で働き始め、2015年からフリーとして押し花をメインの作品にしつつ、押し花以外の表現も植物を使用した制作をしています。

 

   元々バンドマンだったんですね。

 

相壁 シューゲーズとかポストロックよりのバンドをやっていました。元々、あまり花は好きじゃなかったんですけど、僕のバンドは歌詞がなくて、花にも言葉がないので、花で表現できることもいっぱいあるんじゃないかなと思って花の世界に入りました。

 

   えっ、花に興味がなかったんですか!?

 

相壁 実家を手伝うのも最初嫌で(笑)。当時の僕は、花屋っていうと「かわい子ぶってるんじゃねーよ」みたいなね。花に対する思いは最初はそんな感じだったと思います。

 

   ちなみに、バンドをされていた頃は楽器は何を?

 

相壁 10年くらいドラムをやっていました。2016年3月に渋谷WWWで開催したイベントに出演してくれたバンドも、バンドマン時代に知り合った人たちですね。

 
 


相壁琢人さん 本日はよろしくお願いします

 
 

   花の表現にもいろいろあると思うのですが、押し花作品を制作されているのはどうしてですか?

 

相壁 自然に咲いている花はもちろん、流通してる花は特に入れ替わりが激しくどんどん無くなっていってしまうものなので、それらを保存するために、きちんと乾燥させて保存することができる押し花をやっています。

ただ、押し花っていうと小さな栞みたいなイメージがすごく強くて、花を残していきたいって言っても、「押し花でしょ?(笑)」みたいな感じで話しが終わっちゃうことがすごく多かったんですね。なので、そういうイメージとか価値観を広げるために、アート作品として押し花を制作しています。

 

   花がなくなってしまうというのは、古くなったらどんどん捨てられてしまうっていうことですか?

 

相壁 というのもあるんですけど、品種自体の人気がなかったり、高くて買えなかったりすると、生産自体が終わってしまうんです。花にもブームがあって、ブームが廃れるとその花はもう世にでることはなくなってしまうんですね。品種自体がなくなってしまうような業界なんです。それに良し悪しはないのですが、廃れて無くなってしまう反面、表現する人がいたり残すことで伝えていく人がいてもいいんじゃないかという想いがあって。

 

   巨大パネルの押し花は、本当に新鮮で意外でした。それは、残していきたいっていう想いがあるからなんですね。

 

相壁 花業界自体は閉塞的なコミュニティーで、生け花とか綺麗な花の状態しかなかなか見ることがないじゃないですか。そんなのは面白くないし、綺麗な状態のみを掻い摘んで見せていたら、いつか廃れてしまうと思っているので、いろいろな花の状態を見せたいという想いがあってあの作品を制作しました。

 

   状態というのは、花の鮮度のことですか?

 

相壁 そうです。4月に開催する個展では、鮮度の良い状態からスタートしてどんどん朽ちていくようなインスタレーション作品を展示します。影だったり、綺麗な状態以外の作品も提示したいと思っています。

 

   巨大パネルの写真を見せていただいたときに、僕は「毒」を感じました。

 

相壁 現状の花業界へのアンチテーゼとしても作品を作っているから、毒々しい感じになるのもしれません。それを意識して制作はしていないのですが、綺麗なもの以外から感じれることって広いと思っているので、そう見ていただけるのはすごく嬉しいですね。

 


2016年3月に行った渋谷WWWでのライブイベント


2016年12月に行ったゲリラ展示「デラペッピン落ちてたよ」

 
 

| 業からの解放

 

   4月に個展を開催されるとのことですが、どのような個展なのかご紹介をお願いします。

 

相壁 4月21日から26日まで表参道ヒルズの3階にある「表参道ROCKET」というギャラリーで、『無彩色の痛点』という個展を行います。水の中で朽ちていく押し花のインスタレーション作品と、タイトルにちなんだ映像作品や写真を展示します。

 

   映像作品はどのようなものになりますか?

 

相壁 今回は「業からの解放」をテーマに、色彩のない世界を、もっと言うと植物が持つ人間には見れない感情を表現した作品を映像で表現しようと思っています。

 


無彩色の痛点 / Pressed Flower Exhibition / trailer

 

   水の中で枯れていく押し花というのは、あの巨大パネルを水の中に沈めるということですか?

 

相壁 展示するのは小さい作品です。アクリルボックスの中に水を張って、その中に押し花を沈めて、どんどん色素が抜けていって、水と混ざっていく。初日に行くと産声をあげた花が、最終日には生涯を終えるみたいなイメージの作品です。

 

   お客さんは、水を通してその作品を見るということですよね。水と混ざるというのは、植物のエキスが水に溶けだすということですか?

 

相壁 前に展示をした時の写真なんですけど、水分と花の色素が混ざっています。今回は、たとえ綺麗ではなくとも、どんどん水の中で混じらせていこうかなと思っています。

 
 


2016年7月に渋谷ヒカリエ「8/CUBE」で行った展示の写真


2017年4月21日から行われる個展「無彩色の痛点」にて展示予定の作品

 
 

   業からの解放といわれました。業というのはいわゆる「カルマ」ですよね?その解放というのは、人間の業を解放するということですか?それとも植物の業を解放するということですか?

 

相壁 僕は植物と人間の価値が平等という「ポタニカルロマンス」というコンセプトを持って表現活動をしているのですが、生物ピラミッドでは人間が頂点で、植物は底辺近くを構成していますよね。でも、いろいろな文献などを読んでいると、仏教には「草木成仏」という平安時代に始まった教えというか捉え方があって、それは植物にも心があって成仏することができるという考え方なんです。仏教の考え方からすると、成仏するというのは業がなくなる、つまり輪廻転生から解放される。

花の流通が始まったのも平安時代で、そんな時代に始まった考え方なのですごい面白いなと。今はどこの宗派でもそういう考え方はしていないみたいなんですけど、これは僕の考えに近いなと思って取り入れている要素のひとつですね。だから人間と植物、双方の業からの解放。

 

   こんなことを言っていいのかわかりませんが、本来自然に咲いている花を芸術にするとか、販売するとか自体が人間の持つカルマですよね。

 

相壁 そうですね。本当に。花の業界自体も、平安時代に人が綺麗だなと思う花を切って行商をしてまわったのが最初で、綺麗だから家に持って帰りたいだとか、誰かにあげたいとかいうことから商業にすること自体が業だなと思っています。最初の在り方からして業だったものが、現在まで無意識的でも意思として繋がってきているので。僕がやっている押し花にしても花の捉え方にしても「業」だと思っていて。時間をかけて突き詰めて行きたいテーマなんです。

 
 

☞ 次のページでは、ゲリラ展示「デラペッピン落ちてたよ」や、植物にシューゲイザーを聴かせる実験の話などを伺いました。押し花のインスタレーションも行ってもらいましたよ。


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