年末特集「インディーズバンドと、MVと」- 634noHzから紐解くMVの未来 –
第二部は、634noHzのMVを監督した、皆様ズパラダイスさんとアフガンRAYさんを交えての対談です。まずは634noHzの新作MV2本をご覧ください。
634noHz/夏を枠から見送って MV
監督:皆様ズパラダイス
634noHz/知らない MV
監督:アフガンRAY
きたはら(司会) みなさん、自己紹介をお願いします。
皆様ズパラダイス(以下、パラダイス) よろしくお願いします!皆様ズパラダイスです。バンドやったりMV撮ったりしてます。うす。
アフガンRAY(以下、RAY) アフガンRAYです。音楽の動画を作ってます。
鎌倉 634noHzのギターボーカルの鎌倉です。よろしくお願い致します。
阿久津哲太(以下、阿久津) 634noHzでベースを担当している阿久津です!よろしくお願いします!おとこです!
丸山百花(以下、丸山) ドラムとコーラスの丸山です!よろしくお願いいたします!女子です。
きたはら 今回こうして2つのMVを制作された理由を教えてください。
阿久津 たまたまmvageさんで行なっていたバンドとMV監督とのお見合い企画を拝見し、さらにたまたま僕たちはレコーディング途中でMVを作りたいと思っていたところでした。すぐに「これは面白い!」と思って応募したことがきっかけです。縁があって今回の監督お二人と出会うことができ、どうせなら二本撮っていただきたいと欲を出した結果です(笑)
きたはら 縁があったとのことですが、パラダイスさん、アフガンさんにMV制作をお願いした経緯、理由などありましたら教えてください。
RAY 実際は僕からのラブコールですね。今回応募があったバンドの中で一番将来性もあって好みだったので、僕から一方的なラブコールしました。
阿久津 もともと応募をする前に、お二人のMVを見かけたことがありまして、お二人とも形は違えぞ心から喜んでお願いした形になります!
きたはら なるほど。相思相愛ですね!
パラダイス えへへ(照)。ちなみに、なに観たんすか?
阿久津 パラダイスさんは17歳とベルリンの壁のプリズムのMV、アフガンさんはメランコリック写楽さんとグッバイフジヤマさんのMVです。
鎌倉 私も同じくです!以前から見たことありました!
きたはら パラダイスさん、RAYさんにお聞きします。自分が制作されたMVの紹介をお願いします。まだ映像を見ていない読者に向けて、見たくなるような作品の解説を!また、こだわって作ったことなどありますか?
パラダイス 可愛い女の子が街を歩いて小細工を最後にしかけたMVです。僕の必殺技を全部ぶつけた感じです。これで拒否反応起こされたら、もう仕方ないかな〜
きたはら あの「枠」にはどんな意味があるんでしょうか?
パラダイス 単純にタイトルと、画角決めてるイメージです。楽曲タイトル「夏を枠から見送って」の、夏がオファー段階で終わってたので、枠だけでもと思い使いました。
画角のボーズ こういうのやってる大人よくいるでしょ(パラダイスさん)
RAY パラダイスさんの企画に対して、僕のはもっと演奏面にフォーカスを当ててます。世の中、もう正直、女の子出るの飽きてませんか?それよりもバンドのライブでは見られない内容を映像にした方がお得な気がするんですよね〜
知らないことは全て本に載ってるけど、それは全て他人(著者)の解釈である。だから、どんなに悲しいことも完全に共感しきれないよね〜と言うのを紙飛行機にしました。でも、「さっきの女の子」の古川すいさん可愛いですよね。
パラダイス なんだそのとってつけたみたいなフォロー(笑)。えっと、釈明するとRAYさんと僕面識があって、撮るって話聞いてたんすよ。それで、事前に企画書見せてもらって演奏シーンがメインなのは知ってて。どうせ2本作るなら被んないの作りたいなーと思ってこうしました。
鎌倉 それは初耳でした!
RAY いや、やっぱ可愛いは正義なんですよね。僕は逆に企画書なぜか見せてもらえなかったので(ずるい!)。出来上がった動画見て、そうきたかって感じで…
きたはら パラダイスさん、RAYさん、お互いのMVに関して感心したことなど教えてください。
RAY 感心したと言うか、オチがちゃんとあって「ぐぬぬぬ」ってなりましたね。ただ女の子が歩いてるだけだったらぶん殴ってやろうと思ってたんですが…。あと、女の子がちゃんと可愛く写ってるのいいな〜と思いました。
パラダイス やっぱ映像きれいだなと思いました。さらに、そこに終始せず、きっちり時間操作したり紙飛行機のギミックに意味合いをもたせたりと、普段作家性に興味ないとか言いながらきっちり作品性の高いものを出してくるのがにくいなぁと。
パラダイス しかも、かなり作品数が多いですよね。今年は何本撮りました?
RAY 多分、今年は40本(正確にわからないのであれなんですが)くらい作りましたかね…師匠(加藤マニさん)には敵わないですがそこそこ多い気もします。もっと作ってるかも
パラダイス やば!月平均4〜5本?
RAY そんなもんですね。とにかく師匠と被らないように、色々考えてはいるんですが…
パラダイス モチーフとかテーマとか被ったことあります?
RAY どうしても被ってしまうものはありますね。とはいえ極力プロジェクションマッピングなど、師匠がやらない企画を提案するようにはしています。
パラダイス なるほど!師匠と弟子なのにめちゃくちゃ似てるって感じでもないのはそういうことかー。
きたはら バンドから見て今回のお二人のMVはいかがでしたか?撮影で大変だったことなどもあれば。
阿久津 バンドとして今までMVがなかったわけではなかったのですが(「斜陽に寄せて」は僕が、「506」は鎌倉が撮影編集を担当しました)、今回初めて本業の方にお願いしたので、撮影のイメージ共有から実際の撮影までお任せして、いい意味で驚きがたくさんありました。二作とも、曲の曲調や、雰囲気を最大限に引き出していただいて感謝感謝です。
鎌倉 パラダイスさんのMVは、やはり最後の仕掛けの部分が素晴らしいな〜と思いました。ただ女の子が歩いているだけじゃないというか。ちゃんと「お〜!!!」となるオチが。連動しているマップも、ロケハンから凄く大変だっただろうな…といました。画像が70個以上あったのですがひとつずつ全部にキャプションがついていて、嬉しかったです。あと、すいちゃんがただただ可愛かったです。
アフガンさんの方は、完成したものを見てまず「めちゃかっこいいー!!!」と思いました。びっくりしました!雰囲気が凄く出ていて、それがバンド自体とも凄くマッチしていて良かったです!(逆再生とか紙飛行機の演出とかも)。
撮影で大変やったのは逆再生と、クラッカーの音にびっくりしちゃいました(笑)
RAY 逆再生結構練習してもらってまして。「なぜだか〜」だと 、「nazedaka」を逆から読んで「akadezan(あかでざん)」と読んでもらうんですよね〜
丸山 パラダイスさんのMVは、発想がおもしろいなと思いました。最後に、グーグルマップが634の文字になるのが、個人的にお気に入りです!実はさりげなく、グーグルマップのひとつひとつの写真にコメントが入ってるところも、すごくすきです!
アフガンさんのMVは、演奏シーンを撮ることがはじめてだったので、少しだけ緊張しました!でも、曲の雰囲気と映像の中の世界がぴったりで、「知らない」の歌詞とちゃんとストーリーになっている感じがして、こちらもすごくお気に入りです。何回も見ちゃいました!曲の序盤の逆再生のところ、特に要チェックです〜!
撮影オフショット(枠を持っているのは、「さっきの女の子、」の古川すいさん)
パラダイス 634noHz的には、今回出すのがEPなので曲のストックまだまだあると思うのですが、今後撮るとしたらどんなMV撮りたいすか?
丸山 かなり漠然としてるのですが、外で演奏するのを撮ってみたいです。あと、夜の海とかで撮ってみたいです!
RAY 夜の海いいですね〜死亡率がグッとあがりますな
パラダイス なんで泳がせるんだよ。
阿久津 MVはバンドの曲を人に伝える時に100%以上の力で、意味やイメージを伝えることのできる最強のコンテンツだと思うので、今後も曲を出すたびに作りたいという気持ちがあります!特に昨今は音楽コンテンツがウェブに流れていますし、僕自身がMVが好きなのでこれからも撮りたいという気持ちがあります。
バンドとしては今回撮った曲以外にポップな曲もたくさんあるので、ポップなMVもぜひ〜!
鎌倉 凄くふわっとしてしまうのですが、やはり曲の世界観やイメージとマッチしているものというのにというのは凄く大きいです。私たちバンドの雰囲気、空気感が映像の中でもうまく伝わるようなものが出来れば最高だなあと思います。
きたはら 最後に告知や来年の目標を聞かせてください。
パラダイス 今後はワタシKEXPおじさんになりたいですね。スタジオライブの撮影と音のミックス両方できる人ってインディ監督だとそこまでいない印象だから、ニッチなところ攻めたい(※KEXPとは、インディーズアーティストを自社に招いてスタジオライブを開催してもらい、自社のYouTubeチャンネルに毎日ドロップしているシアトルのラジオ曲)。
RAY 僕は、楽しければなんでもいいかな〜と思っております。実際これだけで生活しているので「そんな甘い考えでいいのか」と怒られてしまう気もしますが…
僕もニッチではいたいですね。基本おもしろMVのオーダーが多いので隙間産業として確立していきたく思います。あと、ライブ演出とかしていきたいですね。
パラダイス ライブ演出ってプロジェクションマッピングとか?
RAY そうそう、そう言うとこも含めて美術とかも含めて。レーザーとか映像とか使えるもの全部使いたい。メジャー駆け出しとか、DIYでやってるバンドに呼んでほしい。僕ができることはそんなに多くはないかもしれないけど。
鎌倉 来年の目標は、やはり我々はまだ本格的にライブ活動を始めてから間もなく、まだまだ無名なので、もっと大勢の人たちに634noHzというバンドのことを認知してもらいたいです。あとは、周りから応援して貰えるようなバンドになるために、より一層、私個人もバンドとしても大きく成長していきたいです。
告知としては。12月17日の下北沢ライブホリック、2018年1月7日の下北沢DaisyBarが決まっているのでぜひ見にきてほしいです。
丸山 今年より、ひとまわりもふたまわりも成長したバンドになりたいです!地方に遠征してみたいです!CDを売り切るぞ〜!
阿久津 地方遠征もそうですが、実は結成当初からの目標でいずれフェスに出たい!という目標があります。オファーお待ちしております…!(笑)
パラダイス ボクはいっぱい撮影したいんで、このインタビュー見て「なんだこいつら」と思われずにオファーちょこちょこ来るのを期待してますし、自分からも「撮らせてくれ〜」と声かけていきます。
RAY 僕もくるもの拒まずでいきたいし、できることなら全部やりたい!急にがめつくなっちゃったんだけど、本当いっぱい撮影したい。
きたはら みなさん、ありがとうございました!続いては「第三部 ミュージックビデオの未来を語る」です。
1991年東京生まれインドネシア育ちの埼玉県民。現在は東京に住む。 https://twitter.com/Ray_cameraworks
2010年「もう二度と誰からも無視をされたくない」という思いを胸に、ヌンチャク(後のパラダイス)が大声を出して高円寺〜中野間を歩いているうちに結成。 ウダツアガラナイ系バンドの先陣をその卓越した社交性の無さを活かして切って切って切りまくっているため、「もしかして本当にアレなのでは」と |
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