推薦コメント一覧

 
“Shallow Water” に寄せて

　山崎昭典さんは、丹後に移り住んで以来20年間、ギター一筋で地域に馴染み音楽交流のもと多くの催しを継続し、ファン層を広げて切磋琢磨して来た人物です。
　丹後にやって来た名目としては、彼の恩師である宇都宮泰さんに、ぼくの資料整理を提案されての行動であったらしいのだけれど・・・、そのこと以上に、海外でのインスタレーションの助手としての渡欧のほか、過去の音源発掘からCD “Akio
Suzuki – Odds and Ends” の編集など、今世紀初頭の2年間を生活を共にした仲なのです。
　その後も丹後に止まって活動する彼のことを、頼もしく見守り続けて来ました。　　　　　
　この度のAD（山崎昭典 × drowsiness）のニューアルバム “Shallow Water”を試聴したところ、一音で彼らの音像が聴き当てられるほどのオリジナル性を感じました。
　山崎昭典さんの、これまで発表して来た一種ミニマルで鋭利な肌合いのCDも好きですが、また異なる色合いが聴けるのは、葛西直樹さんとの出会いからもたらされる無限の可能性(相互作用)に嬉しくなって来ます。
　2019年の3月に、山崎昭典さん企画で催された丹後の O-DESIGN CHANNELS の会場で、初めて彼らの Duoを聴けたのですが、実は超満員だったためにぼくは待機部屋から出られず、二人の所作を拝見出来なかったのが残念でした。　　　
　今こうして試聴盤を耳にすると、あの時耳にした新鮮な音響に同調して、ぼくの身体に音の蘇りをもたらせてくれるのを楽しみました。
　あのコンサートの直後に、都現美のリニューアルオープン展に駆けつけてくれたdrowsinessさんと再会出来たのですが、丹後での印象、ぼくから見ると新人類(失礼)のままに開かれた音意識で活動されていることで、昭典さんにとっても今後の共同制作がより国際性を帯びてゆくことが思い描けます。
　かつてロンドンのDavid Toopさんからの励ましを得ている昭典さんにも、新たな波が音づれることを確信しているのです。

　“Shallow Water”の音を部屋に放ってみると、チャーミングな〈たゆたい〉に始まる「浅瀬」から終曲「かもめ」までのタイトルと曲がスムースに一致する中を、清らかな海のサンゴ礁を徘徊するクマノミになって遊泳した気分になりました。
　この音楽が、これからの地球での人の生活のあり方に寄与してくれるだろうことを想い、また、お二人の一体感にも感服しながら聴かせていただきました。

鈴木昭男（サウンドアーティスト）

波紋を作る音が好き。波紋が作る模様は無限だから。
今夜もShallow Waterを聴きながら、知らない場所を旅している。

永井聖一

あれはもう10年前になるだろうか。
僕らは某音楽番組の企画で一緒に野球をやっていた。
あの時葛西くんと音楽の話をしただろうか。
明るく誰にも愛されるキャラの彼がMark McGuireのようなギターを弾くなんて想像もつかなかった。
この「Shallow Water」を聴いていると、もっと音楽の話をしたかったなと今思ってる。
ポストロックやポストクラシカルのような旋律とエクスペリメンタルなテクスチャーやドローンはとても美しく、あっという間に僕らの目の前の景色を変える。
今夜はこの逃避的かつ綺麗な音楽を聴きながら10年前のことに想いを馳せようと思います。

石毛輝 (the telephones / Yap!!!)

山崎昭典氏とdrowsiness の両者がどの様な共同作業を経てこのアルバムを作り上げたのかは私には解らないが、少なくともここには、様々な着想を得たであろう森羅万象の理を音で模倣しようとする様な浅はかさは無い。ここで鳴る確かな演奏技術に裏打ちされた弦の音は、野山の虫や草木が奏でる訓えも、高層ビルや地下鉄の駅に吹く呪文も、等しく厳しく時に優しい事を穏やか且つ明確に伝える。

伊東 篤宏 (OPTRON 奏者 / 美術家)

まっさらな空間にどのように音が満ちてゆくのか、一曲ずつイメージの条件を変えながら味わっていく。
跳ね返るギターの音色が、新たに弾かれた音色とぶつかり合って生まれた音の飛沫は、
着地する間もなく新たな飛沫と混ざり合う。
１、２、３曲と気持ちが逸り未来を追いかけてゆくようなdrowsinessの演奏が頭の中で光を集める。

「浅海、砂の音、海辺の喜び、洞窟、響き」タイトルを入り口として、ある夏の記憶が広がる。

湖畔、真っ白な浜をきれいだなと思って、砂を掬ってみた。
握る手を開き、掌に残った砂粒はすべて無色透明であることに驚いた。
私が立っていた白色不透明の砂浜は、実は透明に光が乱反射して生まれた発光する白浜だったのだ。
まるで夢の中で眠っていることに気がつくような経験

はっとして、目覚めている中での夢心地なのだと気がつかせてくれるのは、山崎昭典さんの確かな音だ。
4曲目、5曲目と、音色の濃厚な一滴が、放たれた空中で呼吸をするのを感じる。
時を遅くしてじっくりと味わう、あらゆる丸みや、あらゆる甘みを感じる喜びを。

この栄養の全て詰まったような山崎さんの一音が、drowsinessが無邪気に生み出す無色透明の多面体の中、
ときに発光する白にかき消され、ときに豊かに膨らみ、気が付くとまた記憶の浅瀬に導かれる。

夢も現実をもとに作られている光景だ。
このアルバムも私の新しい白昼夢を作ってくれることだろう。

中山晃子 (画家・アーティスト)

アンビエントを超えた世界観が心地いいです。

実験的、そして、いい意味でノスタルジックでもあり、１１の風景たちが想起させる思いに、楽器独特の規制から、解き放たれた楽曲自体に寄り添った二人のギタリストのバランスが絶妙です。

( 聴けば聴くほど深みがある音楽です。)

また、アルバム全体のバランスもとても気持ちがいいので、最後までなんども聞けてしまいました。

​​Takeshi Nishimoto (ギタリスト, sonic pieces, I’m Not a Gun)

このアルバムは、突然に私の体を飲み込んだ嵐の様だった。
嵐と言っても強風で打ち付けられ飛ばされ私の全てを消し去ってく様なものではない。
雨風が弧を描く中に私の*身体は浮遊し、私たる全てへ、二人が奏でる二いろ風が入り込んでくる。私の頬をすーっと通った嵐の雨はプリズムの様にしてそして暖かく、私の手や足を這い指先から解けていく雨は自然の記憶を教えてくれる。私の唇をなぞった水滴は生命を宿している様に

Yuji Mizuta（アーティスト）

これは旅なのかもしれない。

ぼくには音楽の事は、特に技術的な事は何一つ分からない。
どうやってギター１本でこんな複雑な音を作り出しているのか。それがどれ程に凄い事なのか。そして音楽通の人々に彼らがどのように評価されているのか。ぼくのように音楽に疎い人間には検討もつかない。
でもそんな僕でも音楽を聴いて、その音から何かを思い描く事は出来る。
Shallow Waterの、硬質にも軟質にも感じる独特な質感の音色を聴いているとなぜだか旅をしている時の気分が立ち上がってくる。
都会への旅ではない。かといって目を見張るような大自然でもない。
山があって、谷があって、川があり、古い寺院を中心とした小さな集落がある。ごく普通の田舎への旅だ。
そこは日本とも限らない。でもどこかアジア的な風景ではある。
そこでぼくは目的も意味もなく山を、川を、谷間の集落の生活を眺めている。
川のうねりの音が聴こえる。地元の人の生活の音も聴こえる。古い寺院が奏でる土着的な音も聞こえる。
普段はあまり意識できなくて、旅している時にだけなぜだか耳が立つ、そんな音たちがぼくは好きだ。
彼らの音楽は、そんな旅の音に似ている気がする。
彼らの音を聴いて、ぼくは少しだけ旅する事が出来た。
旅特有の充足感を得る事が出来た。
どうやったらギターの音だけでそんな事が出来るのだろう。
やっぱりぼくにはさっぱり分からない。

カガリユウスケ（カバン作家）

ADの音楽は、予測不能で、予測不能で、想像力とイメージ力に満ち溢れています。
聴いていると、「こんなことができるなんて！」という気持ちになります。 落ち着いた感じ。
落ち着いた気分にさせてくれる曲は「Flashback at the Moment
」と「Squealing Sand」。
ギターが響き合い、感情が積み重なっていく様が好きです。

上記の紹介文を読んで、ただのおとなしいグループだと思ったら大間違いです。
一方、「Pleasure, Seaside」は、情感に溢れ、躍動感あふれる曲で、彼らの音楽的な幅の広さに感服させられる。
いつもの音楽に飽きてきて、何か新しい音楽を探している人は、ぜひ一度聴いてみることをお勧めします。

子慶（Ching）（好樂團 GoodBand）

ADの作品は、家で自分のことをしながら聞くのにも、何もしないで聞きながら聞くのにも最適です（それが何の意味もないかのように…）。 音楽は指先にあり、血流に乗って流れています。
彼らの音楽は指先に浸透し、血流に乗って流れ、体内のあらゆる細胞を振動させます。

ADは京都の丹後半島の音で、バンドの紹介文を読みながら彼らの音楽を聴く。
そうなんだ」という気持ちがあり、彼らが表現したい歴史的・文化的・生態学的な雰囲気を深く感じることができます。
聴いているうちに頭の中でイメージを膨らませていくような音楽が本当に好きです。
本当に別の空間へと導いてくれて、五感を可能性へと開いてくれる作品です。

新しい音がたくさんあるので、場違い感がなく、しかもとても自然で親しみやすい。
見知らぬ場所にいるのに、前にも来たことがあるような気がします。

ADの音楽をお勧めすると、細かいところがたくさん出てきます。

瓊文（Wen）/ （好樂團 GoodBand）

みなさんこんにちは！Four Pensです。 

シャオシーです、 サニーです、ビボです。 ADのニューアルバム「Shallow Water」をお薦めしたいです。 「潮隙 Spindrift」は、ADと一緒に作った曲で、私（シャオシー）の作詞作曲なので、おすすめしたい曲です。


動画はこちら

四枝筆 / Four Pens