アイソレーション・ベルリンは3枚目のスタジオアルバム『Geheimnis』のレコーディング時にほぼ解散しかけていたが、幸いなことに事態は違う方向に進んだ。11の新曲は、古典的なギターロックから目をそらすだけではない。絶望の果てと星々の間で繰り広げられる人生の駅を示すものなんだ。

 
Isolation Berlin『Geheimnis』

発売：2021年10月8日（ドイツ発売日）
価格：CD 2,822円（税込）/ LP 5,076円（税込）
レーベル：Staatsakt
仕様：CD / LP

 
日本盤取扱：
ALFFO RECORDS
Amazon（CD）
Amazon（LP）

 
収録曲：
01 – Am Ende zählst nur du
02 – Enfant terrible
03 – Geheimnis
04 – (Ich will so sein wie) Nina Hagen
05 – Private Probleme
06 – Ich zieh mich zurück
07 – Ich hasse Fußballspielen
08 – Stimme Kopf
09 – Klage einer Sünderin
10 – Von einem der hier sitzt und Bleistifte spitzt
11 – Enfant perdu

 
収録曲解説：

タイトル曲の「Geheimnis」はファット・ホワイト・ファミリーのような中毒性のあるビートに乗せて、“最大の敵は自分の脳だ” とトビアスが歌う。
先行シングル「(Ich will so sein wie) Nina Hagen（ニナ・ハーゲンになりたい）」は、ニナへの憧れだけでなく、勇気を持って自由になれないもどかしさが込められた曲だ。「Ein Ufo und ein Boy（UFOと少年）」という歌詞は、ニナ・ハーゲンの曲「Die Ufos sind da」からそのまま引用している。キャッチーだけど単純ではないメロディと、トビアスのユーモアに富んだ歌詞が見事にハマった、今後のライブ定番曲となるに違いない。
「Private Probleme」と「Stimme Kopf」は彼ららしいポストパンク全開なナンバー。「Ich hasse Fußballspielen（僕はサッカーが嫌い）」はローファイなメロディと “みんな死んじゃえばいいのに せめてもう少し僕にやさしくしてよ” というアイロニックな歌詞のギャップが印象的だ。
ドリーミーでメランコリックなデヴィッド・ボウイ的バイブスの「Ich zieh mich zurück」。まるでスピリチュアライズドを彷彿とさせる、繊細かつ美しいオルガンとシンセサイザーが心に響く「Klage einer Sünderin」。ストリングスを大々的に使用し、後半にかけてレディオヘッド味の増す「Von einem der hier sitzt und Bleistifte spitzt」も彼らの世界観を保ちつつ、サウンドが進化したことを見事に証明した楽曲だ。

単なるギターロックではない、より多層的なサウンドを見出したアイソレーション・ベルリン。従来の殻を突き破り、常に前進し続ける姿勢に今後も目が離せない。