青木慶則 EP『冬の大六角形』発売! 青木慶則×安田寿之×伊波真人 鼎談インタビュー
| 共鳴する言葉たち
伊波さんの短歌集『ナイトフライト』を読んでいて思ったのですが、伊波さんの言葉って、すごく青木さんぽいですよね。
安田 本当にお好きなんだなってことも、わかりますよね。まるで兄弟のようで。
青木 町の切り取り方がやっぱりすごく素敵だなって。
安田 やっぱり人間観察みたいなものが似てるのかなとも思うんですけど、下手したらドロドロしそうなのに、からっとしてるあたりが似てますよね。あと、写真を撮ったみたいな感じも読んでて思いますね。シンプルなところがぐっときます。
青木 僕、ドックイヤー(ページの角につける折り目のこと)いっぱい付けてて(笑)
伊波 ほぼ全ページについてますね(笑)
青木 すぐ線引いたり折ったりしちゃうんですよ。
青木さんも安田さんもお二人とも伊波さんの短歌集を今日持ってらっしゃるので、安田チョイスと青木チョイスを教えてください。
青木 好きなものがたくさんあるんですが……「マンションで飼われる犬が吠え出せばそこから町の夜がはじまる」とか。
伊波 初期HARCOに通じる感じがあるかもしれませんね。
青木 僕が好きなのは、多分あえて、ちょっとライトなのが多いんじゃないかな。そもそも伊波さんの短歌の良さは、誰でも入り込める、ポップソングのような要素があって。あ、その気持ちわかる、とか、どっかで感じたことがある、あえてありふれた意識や風景をちゃんと入れる。それを多分自分の基準にもしてるんじゃないかなって。
伊波 もともと作詞に興味があったんです。その時どんな歌詞がやりたかったかっていうと、まさにキリンジとかHARCOさんのような歌詞で。短歌には、「韻律」というメロディーに近い要素があるので、作詞に近いことができると思ったのも短歌を作りはじめた理由のひとつです。
本の表紙も永井博さんが描かれていて、帯もミュージシャンである堀込高樹さんにお願いされていて。なんだかCDのようですよね。
安田 自分は永井さんなんて恐れ多くて絶対に頼めない(笑)
伊波 僕、怖いもの知らずなんで(笑)
安田 僕はこれとか好きです。「この星がショーケースなら電柱は街を留めおく標本の針」
青木 それ僕、二重丸つけてた! あとは、「エレベーターの一階ボタンくすんでる 僕らは羽を持たないゆえに」これはもう……すごく、きゅんとする。シンプルなんだけど。
伊波 日常のなかで、気になる風景が青木さんと似ているのかもしれません。
安田 言われたらそう、と気づくような、ふつうならスルーしちゃうようなことをわざわざ言葉にするというのがプロなのかなって思いますね。
伊波 僕は、「世界のディテールに対する愛着」と呼んでいるのですが、人は通常、80年くらいしか生きられなくて、その間しか世界に触れることができないから、そういうものに触れた証をなるべく多く残していきたいという気持ちが表れているのだと思います。
青木 もう僕、伊波くんの短歌、全部好きで。さりげないのから深いのまで。あとは無意識にパクらないように気をつけなくちゃ(笑)
伊波 そのときはまた依頼ください(笑)
いつか、伊波さんが詩を書いて、青木さんと安田さんが曲を作る、そんなユニットができたら見てみたいですね。
伊波 今回「星」でしたから、次回は「川」で作りましょうか。
青木 「岸辺のアルバム」(笑)
安田 これからも、もっとおもしろいことできそうですよね。
青木慶則 – 冬の大六角形(Video Edit)
青木慶則 – 瞬間の積み重ね
青木慶則『冬の大六角形』
発売:2019年12月14日(土)
定価:1,800円(税込)
品番:SYBL-0003
収録曲:
1. 冬の大六角形
2. ぼくときみの第六感
3. 明けゆく空に
4. ゴールドフィッシュ・サブマリン
5. 福寿草の花
6. ツリーに星をかかげて
青木慶則『青木慶則』
発売:2018年12月12日(水)
定価:2,778円+税
品番:SYBL-0001
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TOWER RECORDS ONLINEでみる
収録曲:
1. 支度
2. 瞬間の積み重ね
3. 手のひらのニューヨーク
4. Time To Say Goodbye
5. どじょんこきえた
6. 花のトンネル
7. Symphony Blue
8. 働き方を考える
9. Piano, Steps, Craps #1
10. 最期のスポークスマン
11. 早春の手紙
12. 卵
幼少期にピアノを、10代でドラムを始め、1993年に17歳でバンド BLUE BOY のドラマーとしてメジャーデビュー。1998年に解散。1997年から2017年までの約20年間は、HARCO(ハルコ)名義でシンガーソングライターとして活動。平行して、テレビCMや番組の楽曲制作、歌唱、ナレーションのほか、映画・演劇の音楽制作、他アーティストのプロデュース・楽曲提供・ツアー参加など、幅広く活躍した。2015年にはNHK みんなのうたの歌唱も担当。そして2018年からは本名の青木慶則として再始動。レーベル「Symphony Blue Label」を立ち上げ、同年12月にピアノ弾き語りアルバム「青木慶則」を、2019年12月には最新作であるEP「冬の大六角形」をリリース。とくにEPは安田氏と伊波氏の尽力もあり、大変高い評価を得ている。近年のCMワークス(ナレーション、歌唱、作編曲):HONDA、マクドナルド、マイネオ、Paloma、イモトのWiFi、Creema、ライスフォースほか。
コンセプチュアル作からシンガー・ソングライター的な作品まで、多様な制作を行う音楽家。5thアルバム「Nameless God’s Blue」では、J-Waveチャートにて6週にわたりランクイン。Towa Tei、Atom Heart、Clare and The Reasons、Fernanda Takai(Pato Fu)らと、内外・ジャンル問わず共作・共演を行う。TV、CM、中野裕之監督映画、篠山紀信写真映像作品、桑原茂一コメディ作品、パフォーマンスなどへの制作も多数。社会変革の中、音楽家が社会の一員として自覚を持ちどう社会貢献できるのか考えることをライフワークとし、既成概念を打破する新しい音楽制作/公表方法などを実施している。元FPM。武蔵野音楽大学にてコンピュータ音楽を教える。 http://www.toshiyuki-yasuda.com
歌人。大学在学中に短歌の創作を始める。「冬の星図」により角川短歌賞受賞。雑誌、新聞を中心に短歌、エッセイ、コラムなどを寄稿。青木慶則「明けゆく空に」、ブルー・ペパーズ「秋風のリグレット」などポップスの作詞も行う。自身のルーツである郊外をテーマにした作品や、映画・写真制作の経験が反映された映像的な表現には定評がある。著書に、歌集『ナイトフライト』(書肆侃侃房)など。
CITAN(シタン) 東日本橋・馬喰横山のホステル。地下のバーラウンジは世界中のゲストたちや近隣の方々が行き交うオープンな空間。美味しいお酒と料理のほか、週末にはイベントも開催。 住所:東京都中央区日本橋大伝馬町15-2 |
Photo:KOTA SAKE(スタジオ35分) 気まぐれキュレーター。2018年春に「chamber」を始動し、イスラエルからGarden City Movementを招聘したり、中銀カプセルタワーでシークレットライブを企画したりした。現在も気ままに企画中。ライブは美味い酒とともに、intimateに楽しみたい。よく喋る。 |
注目記事
・ライブレポート:青木慶則、HARCOから改名後初のワンマンライブを生誕の地・横浜で開催。12月12日に1stアルバム『青木慶則』リリース
・HARCO活動20周年インタビュー。フルアルバム『あらたな方角へ』リリースと、HARCOのピリオド。そして、青木慶則のはじまりへ。
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