Three Primary Colors山城徹 × カルメラ宮本敦によるギタリストコンポーザー対談
| ひな壇芸人が全員しゃべりだしたら、わけわかんないじゃないですか
お互いのバンドについても語ってください。
宮本 3人はすごいですよ、ベースいないんですよ。エミちゃんすげえなって。ミュージシャンとしては、ベースを左手で弾きながら、ピアノのフレーズ、それもちゃんとフレーズを弾いて、両手がしっかり仕事をしなきゃいけない。
ギターも面白いのが、リードとバッキングの切り替えのタイミング。うちは大所帯だから、バッキングならバッキングでいいんですよ。気持ちの切り替えが大きくあるわけじゃない。3人だと、どんどん気持ちを切り替えて行かなきゃいけないから。
山城 J-JAZZシーンでも僕らの編成は珍しいんですよ。鍵盤・ベース・ドラムの3ピースはすごい多いんだけど。
宮本 だって、ベースレスは難しいもん。
山城 3人でやってて難しいと思うのは、ライブの見せ方ですかね。ライブ中は鍵盤とドラムが座ってるから、僕しか大きなパフォーマンスできないんで。「ここ乗るところだよ」とか僕が表現しないとなって思ってて、でも鍵盤がソロ弾いてる時に大きくアクションしたりすると、僕がずっと忙しそうに見えて…まだ研究中なんですけど。難しいんですよ。
宮本 それがすごくいいなと。2人が動けないからこそ、ちゃんとフロントマンがしっかりしてる。俺らだと8人いて前に4人いるんですけど、ステージングを考えないとお客さんがどこを見ていいかわからない。
バンドを組んだ当初は好き勝手やってて、まとまりがない、ごちゃごちゃしてるのが面白いと僕らも思ってたんですけど。そうじゃなくて、まず見るところがあって、その上で他のところを見た時に、「あ、この人もこういうことをしてるんだ」って気づくような見せ方に変えていったたんですよ。そうしたら、まとまってきた。
リーダーでアジテーションをする西崎ゴウシ伝説がセンターに立っていて、初回の人には彼を見て「あー楽しかった」って思ってもらえればよくって。2回目に見る時は、リーダーも見ながら、ドラマーが笑顔で叩いてるよ、鍵盤の人も結構しゃべるねとか、管楽器に男前がいるよ、とか(笑)。
8人だからこその抜き差しの美学っていうか、ギタリストとしてもっと前にいたい、もっと見られたいと思うんですけど、そこは一歩引いて、管楽器を立てるっていうポジションにいくからこそ、管楽器に目がいってホーンズバンドになるんだと思います。8人が出るところは出て、引くところは引いてるから、成り立ってるバンドなのかなぁと。それが大所帯の良さだと思いますね。
山城 カルメラはライブを観てて面白いんですよ。でも、絶対ちゃんと考えてやってるんだろうなと。
宮本 ひな壇芸人が全員しゃべりだしたら、わけわかんないじゃないですか。ひな壇芸人同士のバランスがあって。
山城 関西人特有の良さがあって、MCとかも和むんですよ。
宮本 関西人の強みでもあり、弱みでもある。関西人は、カッコつけられないんですよ。
山城 あーなるほどね、わかるかも。カルメラ聴いて、自分のを聴いたら、どっちもpopではあるんですけど、自分のはちょっとクールぶってるっていうか。もっとカルメラの方が大衆感があって。
| 音楽を聴かせる距離感
山城 JAZZって、良くも悪くも聞かせるキャパシティがあると思っていて。ロックで8ビートって、ドッタンドッタンって、たまにつまんないって思っちゃうんですけど、すごい広い会場でみたらやっぱり良かったりして、それぐらいシンプルにやんないと伝わらないっていうか。
JAZZギターのクリーントーンは、ジャズバーみたいな環境だと心地良いんですけど、会場が大きくなるとなかなか伝わらない。カルメラはより大勢に伝わる音が出てるなって思って。エネルギーみたいなものがある。
宮本 陽気さはワチャワチャやってるから、伝わるんですよね。カルメラも最初はクールなバンドをやりたかったんですよ。だけど、陽気な人間が集まったから隠しきれない。だったら、「陽気でいいじゃない」「バカでいいじゃない」って。
キャパシティの話ってリスナーの立場だとなかなか気づけないと思うんですね。それは、プレイヤーとしての視点なんでしょうか?
山城 リスナーも無意識に感じてるから、結局そういうキャパを担ってるんだと思います。流行り廃りや認知度もあると思うんですけど。だって、東京ドームでJAZZを聴こうと思わない。やっぱり、ブルーノートの方がいいと思うし。
宮本 その音楽を楽しむ距離感ていうか、熱量ってあると思うんですよね。小さい声でも心地いいなと思える人は近くで聞きたい。大きい声でガハハってしゃべる人の声は、遠くでも聞かせる力があって痛快。どっちも良さがある。
Three Primary Colorsは、どの位の距離感だと思いますか?
山城 僕ら、若手バンドなんで。考え中なんですけど、どうにか遠くに飛ばしていきたい。バーやクラブなど小さいところでの演奏も大切にしつつ、2〜3,000人の前ではやりたいですね。
宮本 いやいや、もっといけるよ。この前のライブ、本当に良かった。
カルメラはサマソニをはじめビッグフェスにも出演されましたが、どの位の距離感だと思いますか?
宮本 僕らも一時期くらいから「フェスで見たい」って言ってもらえるようになって。お客さんの人数が増えてもバンドが耐えれるような「軸」ができるっていう、そんな風になっていくのかな。段飛ばしで大きくなっていくバンドもいますけど、着実に地に足つけていくバンドになって行けたら良いなと思ってます。
山城 僕らは3人ですが、時にマンパワーが必要になるんですよね。今作はゲストミュージシャンにも参加して頂いてますし。良い意味で音の隙間が空いてるんで、いろんな楽器に入ってもらってスペシャル感が出せればなと思います。今の編成をベースに、いろいろ挑戦していきたいですね。
それでは最後に、UROROSの読者へ一言ずつお願いします
宮本 僕らのやってる歌のない音楽の良さって、日常に馴染みやすいことだと思うんですよ。 ライブも音源も、リスナーが自由に感じてそれを日常のBGMにしていく楽しみがあると思うんです。そういうミステリアスな部分に面白みを感じもらえたら嬉しいです。 そしてズブズブとインストやジャズの深みにハマってくれたら、最高に嬉しいです
山城 インストミュージックは自分の想像力でどんな景色も見れる。そう言った意味では、ある程度色々な経験をした人が楽しめる音楽なのかなと思います。そんな魅惑の音楽の世界に皆さんも是非足を踏み入れて、人生を豊かにして下さい。
Three Primary Colors & カルメラ 最新音源
Three Primary Colors『Rainbow Tree』
発売:2016年6月22日
価格:2,300円+税
品番:TPSR-002
レーベル:TPS-RECORDS/JUNONSAISAI RECORDS
*初回限定デジパック使用
収録曲:
01. Spark
02. So much fun
03. Wave motion
04. Ways
05. Space trip
06. Breeze
07. Rush of rain
08. Memoir
09. Pink pursuer
10. After party
ゲストミュージシャン:
04. Hiro-a-key(vo)
07. YUKI(Ba,JABBERLOOP)
09. Motoharu(sax,SOIL&”PIMP”SESSIONS)
カルメラ『REAL KICKS』
発売:2016年4月20日
価格:2,400円(税込)
品番:FABTC-1
レーベル:B.T.C.Records
収録曲:
01. No Chaser
02. LAPLACE’S DEMON
03. Little Brown Carol
04. 君とハネムーン
05. Over the Limit
06. 鍋屋横丁の夜明け
07. 紡
08. Flyover
09. Euphoria
10 .THE DOOR -Interlude-
11. 犬、逃げた。 -ver. 2.0-
Three Primary Colors “Spark”
カルメラ 『犬、逃げた。-ver. 2.0-』
Three Primary Colors ライブスケジュール ■8月11(木) 川崎ラチッタ ■8月12(金) 渋谷Lamama ■8月21(日) 渋谷UnderDeerLounge ■8月28日(日) 渋谷CHELSEA HOTEL ■9月3(土) 伊那GRAMHOUSE ■9月23(金) 仙台enn 3rd
カルメラ ライブスケジュール ■9月2日(金) ザッツ・エンタメジャズ・アワー2016 at Billboard Live OSAKA ■9月22日(火) ザッツ・エンタメジャズ・アワー2016 at 名古屋BLUE NOTE ■10月16日(日) ザッツ・エンタメジャズ・アワー 2016 at Motion Blue yokohama |
関連記事: