2016-08-06 12:00

Three Primary Colors山城徹 × カルメラ宮本敦によるギタリストコンポーザー対談

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| ギターのフレーズって結構、性格が出るんですよね

 

   お二人の音楽歴を聴かせてください。

 

山城 僕は、元々B’zの松本さんを聴いて、中学の時にギターをやろうと。そこから専ら洋楽を聴いてましたね。そこでギター始めたから、ハードロックとか、メタルの方にいって、Van Halenとかいわゆるギターヒーローを聴いてて。速弾き練習してました。雑誌はヤングギター(笑)。

 

宮本 まじか!ヤングギター派か!

 

山城 ヤングギターってどっちかっていうと、メタルとかハードロック寄りの、僕好きなんですけど、ちょっと言っていいのかわかんないけど、オタク色入ってるような。あの感じ好きなんです。

だけど、実はバンドではほとんどメタルとかやってないんですよ。高校の時はRage against the machineやLimp bizkitのようなミクスチャーのコピバンやって、大学時代にRADIOHEADとかBjorkとかを聴くようになって、ギターソロ弾かなくなっちゃって。エフェクターとか音響とかで空間を、曲の世界観を大事にするようになって。

その辺りからno entryがジャムバンドになっていって、日本のアーティストだとSpecial Othersさんとか聴いたり、Jazztronikさんとか、ポストロックのtoeとか聴いて、ヒップホップだとNujabesさんとか聴いてて。そこに出てくるクールなギターのフレーズとか元々好きで、JAZZも聴くようになって、そこからですかね。

 

   変遷がすごいですね。

 

山城 元々のハードロック色が根本にあるのかなと。ギターのフレーズって結構、性格が出るんですよね。音数を少なくしようと思う時期があったんですけど、僕がもうちょっと言葉数少なくしゃべれる人間にならないと、そうならないんじゃないかなって思って。全部、説明したがっちゃうんですよ。ギターもつい色々とやりたがる。

 

宮本 喋りとフレーズは一致するよね。最初に練習した曲は、弾き語りスコアみたいなのを買って、スピッツの「ハチミツ」でしたね。僕、ボーカリストになりたかったんです。当時、ミスチルとか、みんなアコギ持って登場して歌を歌うから、ボーカリストっていう職業にはギターが弾けないとなれないんだと思って(笑)。

 

山城 おぉ~、そこは結構違うんだね。ギタリストって2パターンあると思っていて。曲ありきで歌をうたいたいから始める人と、リードに憧れて弾く人がいる。僕はリード派だったんですよ。

 

宮本 音楽友達とかできると、どんどんリードギター寄りになっていくんですよね。高校生の頃、先輩がライブやるからって見においでよって言われて行ったら、Deep PurpleとLed Zeppelinやっていて、「なんだこれ、かっこいい!」ってなって。そっからハードロック畑に行って。一番影響受けたのは誰かって言われたら、Jimmy Page。

Jimmy Pageに、どっとはまって。それと同時に、パンクとか色々聴いたり。ハイスタとか全部弾けるくらい。で、Nirvanaとか聴いて、わけわからんけどグランジも好きだと思って。

結果的に自分はバッキングが好きなんだなと。リードを取るっていうよりは、後ろでガチャガチャやってるのがすごい好きなんです。で、ある時、スカパンクバンドのサポートやるんですよ。その辺りからスカにハマって、ホーンが入ったバンドを聴くようになって、インストに繋がって、アシッドジャズやジャム系も聴くようになったんですよ。

その頃一番影響を受けたのがジャマイカンジャズで、スカのビートに合わせてJAZZYなギターが乗る。Ernest Ranglinっていう人がいて、その人のギターがすごくいい。

 

   ジャズに行くにしても、ルートは全然違いましたね。

 

山城 雑食っていう意味では一緒。みんなバランスは違うんですけど。僕が聴いてるのは、あっちゃんも聴いてるし。あっちゃんが聴いてるのは僕も聴いてると思うし。あんまりジャズ一辺倒とかブルース一辺倒の人って僕の同世代では聞いたことはないですね。

 
 

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| 自分一人の創造力には限界がある

 

   コンポーザー的な視点というお話もありましたが、曲はどのようにして作られてるんですか?

 

宮本 僕は曲を作る時に、ギターのこと一切無視するんですよ。元々、ギターで主張するよりも、気持ちのいい曲を作りたいという気持ちが先にあって。自分が作る曲で「リード取らないの?」とか聞かれるけど、管楽器が気持ちいいのはこうかなとか、このビートでやると気持ちいいかなとか予測して。ギターのことは最後で、いざ合わせた時に「ギターの居場所がない」とか(笑)

 

山城 僕もギターで曲を作るとは限らないですね。コンポーザー的な視点からいうと、ギターの音色よりもピアノが合うフレーズもあるし。もしThree Primary Colorsに管楽器隊がいたら、それを考慮して作ってくると思うし。

 

   デモはどのくらいまで作り込まれるんでか?

 

山城 1〜3フレーズくらいかな。3人しかいないから、スタジオで「こういうリズムで、これくらいの速さで」とか言った方が早い。打ち込みで簡易デモを作る場合もあるけど、僕があんまり押し付けると後々文句言われちゃう(笑)。作曲者のエゴじゃないけど、みんなの意見を取り入れすぎるとまとまんなくなるからある程度は指示したいんですけど、それでメンバーを窮屈にさせるのは嫌だなと。

 

宮本 僕は自分のやりたいことをガッチリ作っていって、スタジオでは無言。テーマはこんな感じですって出したら、みんなが構築していくのを黙って見てる。みんなで変えてった方がバンドの色になっていく。そのままやったら僕のイメージでしかなくて、僕の曲になっちゃう。あんまり自分であれもやりたいこれもやりたいって守りすぎると、ゴールが見えちゃうしつまんない。

 

山城 自分一人の創造力には限界があるからね。バンドでアレンジする場合は、「そこ行くんだ」「そこ転調するんだ」ってところに行って面白い場合があったりして。「それ採用!」みたいな。作曲のクレジットが僕になってても、フレーズの部分部分によっては鍵盤のエミーノが作ってたりだとか。そういうメンバーとのやり取りも含め曲が出来たりするのもバンドの面白いところだと思うし。

 

宮本 あるある(笑)。

 

☞ 次のページでは、「音楽を伝える距離感」の話をしてくれています。また、最後には読者へのメッセージもいただきました。


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