2019-09-18 19:00

LosingMySilentDoors 新作アルバムリリースインタビュー「このアルバムを片手に出会いの旅へ」| 特別寄稿

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昨今のライブの演出として欠かすことのできないVJ。アーティストに寄り添うVJとして高い評価を受けているのが、VJ Boriである。

 
LosingMySilentDoorsは、そんな彼のもとに集まった様々な才能の集合体。初の全国流通版となるアルバム『Green Shift : Nowhereland』が満を辞してのリリース、全13曲の大作となった。

 
今回はBori Doors(LosingMySilentDoorsでの名義)にアルバムやバンドに関する想いや今後の展望など語っていただいた。

 

Photo:セオサユミ
Interview:okasotokeiko
Text:misakimiori

 
 

| 活動や曲に合わせて変化するメンバー構成

 

   LosingMySilentDoorsは、Bori Doorsさんがソロで始めたバンドですよね、結成時と今とではだいぶ編成が変わっていますね。

 
最初は僕がソロで始めたプロジェクトです。常にバンドメンバーや編成は変化していて、今の時期はこのメンバーですという感じです。都度、僕の活動に合わせて周りのアーティストに参加してもらっている、という形ですね。

今回は5人のメンバーで活動しています。アルバムリリースツアーのメンバーですが、僕がギターボーカルと打ち込みです。Haru Doors がボーカルとテルミン、Manako DoorsがVJ、燐-Lin- Doors がベース、Tessy Doors がドラム、僕以外は全員女性です。

 

   今作は初の全国流通盤になる『Green Shift : Nowhereland』をリリースということで。ソロアルバムとしては二枚目のアルバムなんですね。今回のアルバムは曲数も参加アーティストも多く、結構な大作となりましたね。

 
結果的にそうなりました。僕の活動がバンド活動、VJ、その他イベント等のローテーションなので、バンド活動に割ける時間が少ないんです。そのため制作は完成までに三年くらいかかりました。今作は周囲のいろんなミュージシャンやクリエイターに参加していただいたんです。レコーディングからミックスからマスタリング、アートワークまで、殆どの制作に僕自身が細かく関わり、要所要所で専門の方と一緒にコラボレーションしたり。楽曲は全て僕が作りましたがアレンジは自分だけでは難しいので、周りの仲間のミュージシャンにお願いしたりもしました。レコーディングする曲が決まった時には「この曲にはあの人が合いそうだな」と声を掛けて参加してもらった形です。

 
 

 
 

| 色とリンクした作品作り

 

   今までのLosingMySilentDoorsはどちらかというとオルタナティブ寄りなロック色の強い印象があったのですが、今作はそれまでの作品と比べて、よりダンサブルで色鮮やかなイメージを感じました。

 
それはまさしく予定通りで、方向性通りのアルバムになりました。LosingMySilentDoorsってバンドを始めた時に、カラフルなものにしたいなって思ってたんですね。アルバム一枚一枚に独自のカラーをつけていきたいなって思っていて。

最初に『Red Shift』ってワーキングタイトルの怒りのロックンロールアルバムを作ろうとしていたんです。それが2011年のあたりだったんですけど、その年は東日本大震災が起きて、そういうロックンロールアルバムを出す雰囲気ではなかったんですよね。そこで方向性を変えて『Blue Shift : Prelude to Space』というアルバムを完成させたんです。その後に再び当時のメンバーと『Red Shift』を作ろうとしていたんですけど、駄目でしたね。当時のメンバーでは完成できないと判断してお蔵入りになっちゃいました。

その後に温めていたのが『Green Shift』というワーキングタイトルのアルバムで、ダンスロックアルバムになると方向性は決めてありました。自分自身としてはプリプロダクションの段階ではもっとEDM寄りなのを想像していたのですが、完成した楽曲を聴いてみると自分の性格なのか、結果的にオーガニック寄りになりました。アルバム後半にはEDMっぽさも顔を出してくるのですけど、バリバリのEDMです!というのはないですね。

 

   アルバムのリード曲になっている『Nowhereland』についてですが、すごくキラキラした始まりという感じのですよね、歩き出そうっていうようなイメージの曲だなと思いました。

 
アルバムの導入部で「これから始まるよ!」っていうのを示したと言うか、このアルバムの方向性はここなんだよ、というのをしっかり表現しました。

 

   MVの世界観も印象的でした。

 
このアルバムでMVは4本制作したのですが、その中の『Nowhereland』と『砂漠の上の少年』のMVは連作とになっていて、物語が密接に関連しているんです。『Nowhereland』は公開中ですが、『砂漠の上の少年』はアルバムリリース日の9月18日に公開されるので、お楽しみ下さい!

 

   その『砂漠の上の少年』ですが、これは結構ロックサウンドですね。

 
確かにダンスロックの中ではややロック寄りで、ある特徴的なリフがあるんですけど、それを聴かせる曲ですね。

 

   あと今回のアルバムの中で柱になりそうな曲、『Raindance』が先行リリースされていましたよね。

  
そうですね。このアルバムはアナログレコードに倣って前半をSide-A、後半をSide-Bと分けてますが、『Green Shift』というアルバムの、ダンスロックで躍動感があってというのを一番形に表わしているのは実はSide-Bの方なんです。Side-Bの代表曲は『Raindance』になりますね。Side-Aは普遍的で聴きやすい楽曲を集めて、Side-Bはよりダンスビートに接近した構成になっています。

 
 

 
 

| 『はてしない物語』がヒントに

 
 
アルバムの特に前半の曲に関しては、それぞれ物語があって、それは歌詞やサウンドに現れていますが、冒頭で言うと『Nowhereland』と『砂漠の上の少年』という曲は、僕の愛読書であるミヒャエル・エンデの「はてしない物語」をモチーフというかヒントに、「自分探しの旅」というのが今回のアルバムに大きく反映されています。

『はてしない物語』の中ではある世界に主人公が入っていって、そこから戻って来られない、そこで悪戦苦闘してなんとか最後は戻ってくるっていうストーリーなんですけど、それはかなりアルバムのアイデアになりましたね。

 

   Bori Doorsさんも戻ってきましたか?

 
長い長いアルバム制作の旅からようやくこの現実世界に戻って来れたと思います(笑)

『Nowhereland』から始まって最後に『Neverending』で終わる。CD版としてはその後にボーナストラックが入っていて、そこで円環を描くというかリピートされるという形で作ったんです。その辺のアイデアはかなり洋楽の影響が大きいですね。様々な洋楽体験から音楽的手法を学びましたし、特にイギリスのバンドがよくやっているアルバムとしての遊び心も面白くて取り入れました。

 
 

| 無意識に映像的なものが浮かぶ

 

   Bori DoorsさんはVJとしても活躍されてますが、今回のアルバムも全編すごく映像的なものというものを感じます。映像と音楽というものはBori Doorsさんにとって切り離せないものだとは思いますが、やはり音楽と映像の融合というのを意識して曲を作ったりするものなのですか?

 
意識ではないと思うんですよね、無意識。今までに蓄積していた経験などが自然と形になって出てくるというか。なので聴いていただく方によっては映像的なものが浮かぶというというのはその通りだと思います。

僕らのライブは映像ありきなんです。VJ Manako Doorsには基本的なイメージしか伝えてなくて、毎回映像でそれをアドリブで表現していくという感じです。VJ Manako Doorsの感じる曲のイメージでVJ映像を構築してもらってます。VJさんそれぞれの特徴というか得意分野がありますので、VJ Bori DoorsとVJ Manako DoorsのVJ手法は違うので、基本的にお任せしています。ただ方向性はやっぱりあるので、こういう感じにというイメージはざっくり伝えています。

 

   では、ご自身だったらこうする。というのは?

 
あります。VJに関して僕は割と男性的な激しめのVJをするのだろうな、という気はします。VJ Manako Doorsはやっぱり女性的な部分が出ている気がします。

 
 

 
 

| 無意識立体的な空間演出を

 
VJを使った「音景-Onkei-」イベントというものを仲間と一緒に過去に定期開催していたのですが、ようやく復活させることができたので発展させていきたいと思っています。単に従来のようなステージの後ろに映像を映すだけではない、もうちょっと立体的なものを考えていて、それをどんどん形にしていきたいですね。

 

   立体的なものというのは例えばどういうものですか?

 
前回イベントを開催した時は、ステージにレースのカーテンを付けてもっと立体的に映像を映るようにしました。空間演出的な事を取り入れていきたいと思っています。そういう新しい演出方法も踏まえて、ツアーを何箇所か行きたいですね。そのツアーの最終到着地に『音景-Onkei-Fes』というのを2020年に計画しています。その時にも沢山のミュージシャンやクリエイターに参加してもらおうと考えています。色んな人を巻き込んで参加してもらって形にするというのは、すごく意味のあることですからね。

 

   Bori Doorsさんの柱が太くなってきているのかなと。Bori Doorsさんの素晴らしいVJやライブ演出や活動の中で様々な武器を手に入れて、さらに太い幹になっていきそうですね。

 
僕の中ではこのアルバムリリースが新しいスタート地点なので、このアルバムを持っていろいろな場所の人々に逢いに行くという旅が始まります。実は今回、CD店頭購入特典がありまして、CDに特典のTシャツ引換券が封入されているんですけど、それをライブ会場へ持参していただくとご希望の色とサイズのTシャツを1枚プレゼントします。そこでまた出会いが生まれる。アルバムを聴いて、ぜひライブを体験して欲しいですね。ライブハウスは薄暗い場所ではあるんですけど、そこにはたくさんの夢が詰まっていますから。

 
 


LosingMySilentDoors – Raindance MV(Short Edit)

 


LosingMySilentDoors – Nowhereland MV(Short Edit)

 


LosingMySilentDoors – 砂漠の上の少年 MV(Short Edit)

Cast:Casandra Lynn Kurata(倉田カサンドラ)、Shinya Arai(新井慎也)
Planning & Produced by Taisuke Yoshioka(ima studio) & Bori(LosingMySilentDoors/音景-Onkei-)
Directed & Edited by Taisuke Yoshioka(ima studio)
Video Shooting by Taisuke Yoshioka(ima studio)
CG Edited by Bori(LosingMySilentDoors/音景-Onkei-) & Taisuke Yoshioka(ima studio)

 
 

 
LosingMySilentDoors『Green Shift : Nowhereland』

発売:2019年9月18日(水)
価格:2,000円+税
レーベル:音景-Onkei- Records
品番:ONKEI-0006
仕様:CD

Amazonでみる
TOWER RECORDS ONLINEでみる

収録曲:
Side-A
 01. Prelude to Green Shift
 02. Nowhereland
 03. 新しい名前を探して
 04. Dent-de-Lion
 05. 砂漠の上の少年
 06. I Share Mary
 07. Interlude to Green Shift

Side-B
 08. Cold Dance
 09. Raindance
 10. Tear’s Bomb
 11. Stay
 12. Neverending
 13. Nowhereland – Genius P.J’s Re-mix ※Bonus Track

 



 
LosingMySilentDoors presents 音景-Onkei-13「10月のリザレクション」
LosingMySilentDoors 「Green Shift : Nowhereland」 album release party

日程:2019年10月11日(金)
時間:開場18:30/開演19:00
会場:三軒茶屋HEAVEN’S DOOR
料金:2,000円(ドリンク代別)

 



 
LosingMySilentDoors

音景-Onkei-の主催、イベント制作、VJ活動、MV制作、等で活躍するBori DoorsがソロワークスとしてLosingMySilentDoorsを結成し、やがてバンド形式に発展した。
 2009.01 デビューEP「Aurora EP」を自主制作リリース
 2011.12 1st full album [Blue Shift : Prelude to Space]を自主制作リリース
 2015.10 T-Shirts用付録「月の影の方へ / 深い闇を知るほど」ダウンロードカードをリリース
 2019.07.4 「RaindanceEP」ダウンロードカードを自主制作リリース
 2019.09.18 2nd full album「Green Shift : Nowhereland」を流通リリース

 

Bori Doors

東京都内を中心にLosingMySilentDoorsでの楽曲制作・バンド活動に留まらず、音楽イベントVJやMV制作・音楽イベント制作、等の幅広い活動を展開している。
https://www.losingmysilentdoors.com/
https://www.onkei-info.com/

 

Haru Doors

ベースレス3Pバンド、カナリヤの咆哮でメインボーカルを担当。LosingMySilentDoorsとHaru & Bori with VJ Manakoではボーカル兼コーラス・テルミンを担当。
http://kanariya-houkou.com/

 

VJ Manako Doors

インストゥルメンタルバンドmonomo…?とLosingMySilentDoorsのVJを担当。

 

燐-Lin- Doors

ベース弾き語り(四弦独唱)や絵描きに留まらず、ライブハウスを中心にアート活動を広げ、自らデザインした様々なグッズを販売している。2019年4月、新音源「渡海の音画-Tokai no Onga-」をリリース。
https://lin412mg.wixsite.com/lin412mg

 

Tessy Doors

フリードラマー。スペシャオ餃子バンド、横綱寿司楽団として『CR餃子の王将3』『Pすしざんまい極上5700』などに楽曲提供。
MOTAHEAD ,LAPIN AGILEのドラマーとしても活動中。
https://www.facebook.com/Drummer-Yuki-Teshima-Official-360769924635396/




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