2015-10-31 21:00

特別対談『青葉市子 × Mangasick』(日本語)

青葉市子×Mangasick

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| Mangasickの青葉市子の音楽への感想

 
M:私たちは青葉さんの美しい音楽の底には深く暗い部分があると思っています。

 
青、月:うん。

 
青:私が比較的詳しい各シーンのクリエイターはみんなそう。服飾のデザイナーもそうだし、演劇界の人もそう。彼らは完璧に綺麗にとか、ただ怖いだけの作品は作らず、一見綺麗だったり、怖かったりするけど、核心の所はみんな共通したものを持ってて。

 
M:「0」のアルバムは、光と影の部分が共存している感じが特に強いですね。

 
青:そう言ってくれて本当に嬉しい。

 
M:「剃刀乙女」の時は、まるで芽が出たばかりの小さい種の様で、確固たる意思あるけど脆さもあって、「0」になってたくましい大きな木になった感じ。木の下には木陰があったり、いろんな動物が木に登ったりして。この成長の過程にすごく感動しました。

 
青:ありがとう。ここまで話してきて、お二人が私に対して思ってくれている事を聞いたら、今まで自分では気づかなかった事がわかったの。例えば種が大きい木になるっていう表現。今までそう言う感覚は無くて、なぜなら私の心の中にはいつも「さあ次何をしよう」というのがあって。だけどこの日本人ではないお二人の細やかに私の事を語ってくれるのを聞いて、ホッとしたというか、よかった、私のやってきたことは間違ってなかったんだってわかったの。ありがとう。

 
M:私たちに今回の機会を作ってくれた寺尾さんありがとう(笑)。最初このインタビューの話を彼から聞いたとき、私たちにできるの?って思ってたけど、青葉さんの音楽が本当に好きだし、お店ではずっとNUUAMMとライブアルバムの「青葉市子と妖精たち:ラヂヲ」をかけていて、特にNUUAMMのアルバムには音楽以外の沢山の音も入っていて好きです。お店でかける度に音楽とこの空間が融合してる感じがするんです。

 
青:よかった。ありがとう。私たちがあのアルバムを作った時の心境は「子供が砂場で遊んでて、持ってるおもちゃで遊んでいる」という感覚で、私たちは綺麗でカッコいいものを作ろうというのではなく、この感覚を意識するようにしたの。

 
M:うんうん。この世界に青葉さんの音楽があって本当に良かったです。

 

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| 1人で演奏するのと一緒に演奏するのとの違い

 
M:青葉さんは今までに多くのミュージシャンと一緒に演奏していますが、一緒に演奏するのは、自分だけの演奏とどんな違いがあると感じてますか?

 
青:うーん、なんて言えばいいかな?私自信が全く別の人間になる感じかな。1人でライブする時は孤独で、周りには人が居ない、だから曲を作った時の気持ちをそのままステージにもっていける。でも他の人と一緒にライブをする時は全く違う感じで、音楽でコミュニケーションするのが「楽しい!」。

 
M:ははは〜。他の人と一緒に演奏をする時はその人の状態を見てないといけないから、音をあわせる時はパズルみたいな感じですよね。

 
青:確かに。その人の音楽に足りてる音と足りない音が何なのかを理解して、その人が足りない音が私が持ってたら私が加えて、私が持っていないものをその人が持ってたらその人に加えてもらう。交換する感じ。もしお互いがどちらも持っていたら、私は出さない。だけどNUUAMMは特別で、一緒にやってる感じで、1人が分裂して2人になったみたいな感じ。

 
M:あ、だからアルバムのジャケットはあの絵になったんですね。

 
青:髪がつながってる部分かな?だけど私たちはこの考えを近藤さんには伝えてなかったの。

 
M:本当に?彼女はすごい……

 
青:本当にすごい。私たちは彼女に、私たちは二人組としか伝えてなくて、その後に音源を送って聴いてもらって、印象を絵に描いてもらったら、髪の毛が繋がった絵になってたの。

 
M:感動です……あ、時間もそろそろですね。今日はこのような形で青葉さんとお話できて本当にうれしかったです。

青:謝謝。

 

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青葉市子、初の東アジア~東南アジア周遊ツアー決定

 
青葉市子は、11月14日(土)の台北國際藝術村をかわきりに、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイへと続く東アジア~東南アジアへの周遊ツアーを行います。

 
詳しくは、こちらの記事を読んでください。
青葉市子、初の東アジア~東南アジアへの周遊ツアー決定 / 青葉市子首次的從東亞出發~到東南亞的各地巡迴

 
 

注釈:

1.市川春子:2006年「虫と歌」にてアフタヌーン四季賞2006年夏の四季大賞を受賞しデビュー。翌年から『月刊アフタヌーン』(講談社)において読み切り作品が数度に渡り掲載される。2009年11月20日にそれらの読み切り作品を収めた短編集である初の単行本『虫と歌』が刊行、同書で第14回手塚治虫文化賞新生賞受賞。

 
2.鈴木翁二:70年代に月刊「GARO」にて活躍した漫画家。つげ義春に多くの影響を受け、安部慎一、古川益三と並び「GARO三羽烏」と称される。代表作に映画化された『オートバイ少女』など。

 
3.冬野Saho:冬野さほ、漫画家、岡崎京子に師事、夫は松本大洋。少女漫画家として出発したが、後に一般的な漫画とはかなり異なったコマ割りや前衛的な描写を開拓。近年はイラストレーターとしての作品が多い。

 
4.高野文子:80年代の最も重要なニューウェーブ漫画の代表的作家の1人。後の漫画界に与えた影響は大きい。強弱のない単純な線と独特な演出方法、一読では理解しがたい心理描写などが特長とされる、有評論稱其作品為「視覺性最強的漫畫」。デビュー30数年で7冊の出版のみ。斬新な表現手法多数。

 
5.近藤聡乃:漫画家、芸術家、ニューヨーク在住。主に少女と虫をテーマにした、白黒を基調としたコントラストで幻想的な作品を中心としている。知久寿焼(元たま)の楽曲をモチーフにした2002年のアニメーション作品『電車かもしれない』がBShi『デジタル・スタジアム』で紹介されて話題を呼ぶ。2006年にも個展「てんとう虫のおとむらい」でアニメーション作品を発表。

 
6.今日マチ子、漫画家。在学時より長期に渡り自費出版を続けた1ページのフリーペーパー「Juicy Fruits」やZINEの制作も多数。2004年より自身のブログではじめた1ページ漫画シリーズ『センネン画報』が口コミで評判となり人気を得る。雑誌連載作品に『みかこさん』『cocoon』『アノネ、』など多数。

 
7.マームとジプシー:07年設立の劇団、腳本は全て藤田貴大による。2013年今日マチ子の漫画「COCOON」を編集し上演、音楽監督は原田郁子。2015年青葉市子も出演する。

 
8.知久寿焼:90年代に一世を風靡したバンド「たま」のフロントマン。アコースティックギターとユニークな歌声でアコースティッで独自の世界観を持つ楽曲を歌う。

 
9.あがた森魚:フォーク歌手、一九七二年に林静一の同名漫画を題材とした「赤色エレジー」が話題となる、隔年將漫畫翻拍成電影、自編自導自演、製片和配樂工作也一肩扛下。

 
10.Wisut Ponnimit(タムくん):タイの漫画家。オリジナルキャラクターの「マムアンちゃん」のテーマ展を台湾でも開催。日本漫画の影響を色濃く受けている。近年は日本での活動も多く、タイと日本での連載作品を持っている。「透明雜誌FOREVER」のMVは彼のアニメ作品である。

 
11.ゑでぃまぁこん:ゑでゐ鼓雨磨と柔流まぁこんにより結成されたバンド。温かみのある女性ボーカルとシンプルな楽曲で、あくまで自然体にメロウな雰囲気を醸し出している。

 
12.UTRECHT:開業10年以上、世界各国の本やZINEをセレクトして販売する他、出版や書店でのイベント企画等も行う。さらには、アジアで最大級のインディーズブックフェアである「Tokyo Art Book Fair」を主催。渋谷地区の重要な書店である。


 

青葉市子がmangasickにて購入したZINE

L2C『Albums you must hear before you die』
購入した理由:センスがあるのと、面白そうだったから(笑)

Black Rainbow『A day』
購入した理由:この本は画力はそんなに高くないけれど、伝えようとしてることはすごく好き。このページでは見た所男の子が寂しそうにしてるけど、このページで表してるのは、実は彼の目には世界はとてもカラフルに映っているということで、私の小さい頃の感覚に似てて、みんなが楽しそうにしてるときに私はいつもはじっこから見てるだけて、特に反応もないのね。そばに居る人は私の事をひとりぼっちの子供だと思ってるんだけど、私の心の中では、もし彼らと一緒に遊べたら楽しいんだろうな、と思い描いてたりして。こういう風に考える人もきっと多いと思う。うん、だから私はこのZINEを見ている時が好きなの。

 

注目記事

青葉市子、初の東アジア~東南アジアへの周遊ツアー決定 / 青葉市子首次的從東亞出發~到東南亞的各地巡迴

特別對談『青葉市子 × Mangasick』(中文)

 

青葉市子 / ICHIKO AOBA PROFILE

音楽家
1990年出生、京都で育つ。
17歳からクラシックギターを弾き始め、
2010年1月、19歳の時に1stアルバム「剃刀乙女」でデビュー。
これまでに4枚のオリジナル・アルバムを発表。

http://ichikoaoba.com

 

Mangasick PROFILE

台湾台北にあるマンガ喫茶。メジャーな日本マンガ文化に強く影響される台湾人に、マンガ・イラストなどの視覚表現の可能性を提示し、新しい表現への欲求を喚起すべく、2013年に開業。ガロの歴史を咀嚼する一方、台湾、中国、香港、日本の新鋭アーティストの作品も扱っている。2014年にChouYi個展、駕籠真太郎個展などの展覧会を開催、2015年に展示スペースをオープン。

http://mangasick.blogspot.tw


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