第二食『代田橋・スリーコンカフェのサンドイッチ』| 食漂譚~バンドマン東京グルメ紀行~
第二食「代田橋・スリーコンカフェのサンドイッチ」
text & photo by 淋梅毒(Super Ganbari Goal Keepers)
学生時代、2年次終了までは明大前、その後卒業までの2年間は御茶ノ水のキャンパスで過ごした。明大前駅は世田谷区と杉並区のおよそ狭間の位置にあり、駅側から南が世田谷区、甲州街道を越えて北側の明治大学和泉キャンパス以降が杉並区となる。
明大前は新宿にもほど近く、その一方家賃が多少安いこともあって、学生以外でも住む人が多い。ただし食事に関しては、いわゆる学生街的な「安く、美味く、量もある」といった三拍子そろう飲食店はかなり少なく、駅まわりでの思い出は(特に食べる点において)少ない。例えばワセメシといわれる高田馬場〜早稲田大エリアの飲食店の方が、魅力的な店が多かった(閉店した「珍味」のナス味噌炒め定食や「メーヤウ」のカレー、「ママキムチ」のビビンバなど)。なのでどちらかというと、隣の駅の代田橋の方が個人的な思い出が多い。
笹塚駅と明大前駅に挟まれた代田橋は各停列車しか停まらない駅だし、おそらく京王線内でもマイナーな駅だ。しかし自分はこの駅周辺に非常に愛着がある。
学生時代の軽音サークルの友人2名それぞれの下宿の最寄り駅であり、24時まで営業している京王ストアでお酒やスナック菓子、鍋の食材などを買い込んで、よく遊びに行った。二人とも今では殆ど会えない。
また、「かなめ」という雀荘があり、学生セット(4名で一卓を借りること)でよく入った。点数計算ができないので、知らない人と打ち合う「フリー」形式の麻雀は出来ず、もっぱら友人同士、もしくは友人の友人が来て初対面で麻雀、というパターンが多かった。
左上の赤い看板が「雀荘 かなめ」。銀行ATMが一階にあるのは敗者用か。
ちなみに明大前にもチャイナとシルクロードという二つの雀荘があったが、代田橋まで歩けば、この「かなめ」で1人1時間100円で学生麻雀が出来た。しかも、45分も利用時間をオーバーしても、全て切り捨ててサービスしてくれた(普通の店は15分区切りで場代はかかる)。「死ぬまで打ってけ」が口癖の店主がいるこの店で、朝になって顔が脂っぽくなるまでよく牌を握った。(一緒に打っていた友人のガールフレンドは、眠気でだんだんと口数が少なくなり、明け方には化粧が剥がれ落ちて顔が土色になっていた。)
朝。雀荘を出て甲州街道へ向かう途中、そのサンドイッチ店はある。どうやらスリーコンカフェはつつじが丘、池ノ上にも店舗があるようだ。代田橋店は朝7時から営業している。
店内に入ると、ガラスケースの中に色とりどりのサンドイッチが所狭しと並ぶ。この時点で心が躍り、目も少し醒める。非常に鮮やかで、美しいのだ。具はギッシリ詰まっており、値段帯は200〜300円弱である。
ここのサンドイッチの特徴は、ヤサイも、揚げ物も、タマゴも、とにかく活きがいい。ふつうフレッシュという表現は野菜や果物にもっぱら使うけれど、スリーコンカフェのパンに挟まれた具は野菜に限らずどれも新鮮だ。レタスなんかたっぷりと量があり、青々しく、パリッと歯ごたえも瑞々しい。
今回の取材では、これまたパン界では根強い人気があるフルーツサンドを注文した。僕も無性に食べたくなる(特にパイナップルが入っているタイプ)。今ではセブンイレブンでも売っていたりするが、フルーツサンドは時間が経つとクリームが溶け出してしまったり、パンがそれを吸収して水っぽくなってしまったりする。かといって冷蔵庫に入れておくと、クリームがぼそぼそになってしまう。つまり、食べどころが非常に難しい。
この店のフルーツサンドは、苺がフレッシュでおいしかった。
目覚めのサンドイッチ。幼いころから朝はパン派だ。
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次回は、「春日・真砂市場の魚の骨せんべい」をお送りします
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執筆者のプロフィール 2011年に結成。略称SGGKとして都内で活動中。 現在OTOTOYで両A面シングル「レコードコレクターズ / 世界は俺を中心に終わっている」の配信と、特設サイト「SGGKメンバーが影響を受けた50枚」を公開している。 twitter: SGGK代表曲「植物人間系男子」PV |
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