ライブレポート:『アーバンギャルド PRESENTS 鬱フェス2015』2日目(記事の最後にお知らせあり)
2015年9月5日(土)2日目
1日目に引き続き『アーバンギャルド PRESENTS 鬱フェス2015』2日目のレポートをお送りする。前日は金曜日であった為に18時半からの開演であったが、2日目は昼の14時からの開演となった。
1日目のレポートはこちら
ライブレポート:『アーバンギャルド PRESENTS 鬱フェス2015』1日目
2日目のスタートは、新世代女子ラッパー“DAOKO”。
スクリーンにデジタル・デザインを施し、PV、そしてイラストやグラフィックされたリリックを配したおそろしく凝った映像を投影させ、さらには照明とレーザーで何とも幻想的でミステリアスな空間を作り出した。生バンドを従えた“DAOKO”の可憐な歌声は、リアルとバーチャルの狭間で冴えわたり、神秘的な新感覚のパフォーマンスとなった。
続くエクストラ・ステージの出演は、新生アイドル研究会『BiS』の一員として活躍し、解散後は事務所と契約を結ばずフリーランスで活動中の“テンテンコ”。自作のトラックに歌を載せる自由気ままなライブ・スタイルは、何にも縛られない今の立場のライフ・スタイルとシンクロして、微笑ましくも魅力あるステージとなった。
メイン・ステージの2番目は、2年連続の出演となった“ザ・キャプテンズ”。今や絶滅危惧種となった「国産ロック=GS」を現代に受け継ぐ、最後のグループサウンズである。失神者続出を演出する計算され尽くしたステージングは、ライブで培った実力で完全無敵のパフォーマンスとなった。
次にエクストラ・ステージに登場したのは、本年メジャーデビューした平成生まれにして70年代、80年代の歌謡曲にお熱の昭和なシンガーソングライター“町あかり”。
何と出演時間の全て(おおよそ15分間)を「もぐらたたきのような人」1曲に費やし、もぐらたたきのような人~♪、もぐらたたきのような人~♪とサビをこれでもかと繰り返し、途中からはモグラの着ぐるみもいるダンサーたちに混ざり、無限ループ地獄を場内に作り出した。
そして、このフェスで一番の異色なアーティストは、JAZZ界から“新垣隆&吉田隆一”。アーバンギャルドとは縁あって、鬱フェス2015への出演となったらしい。ある意味アウェーの会場でありながら、確かな演奏技術と選曲の妙で聴衆を魅了したのは流石だ。
新垣隆&吉田隆一+浜崎容子(アーバンギャルド) photo by yu-yukko
さらに、その新垣隆&吉田隆一がゲストボーカルにアーバンギャルドの浜崎容子を迎えて、アーバンギャルドの楽曲『ゴーストライター』を演奏した。
ある意味で固定され偏ったイメージのあるアーバンギャルドではあるが、音楽家としての浜崎容子は、2人のジャズメンと対等に渡り合い素晴らしいコラボとなった。
ライブ動画もアップされているので、ぜひ見てもらいた。
新垣隆&吉田隆一+浜崎容子(アーバンギャルド) / 「ゴーストライター」
そして次のステージも昨年に続いて2年連続の出演となった“サカモト教授”。ダースベイダーのような仮面を被りファミコンを頭に乗せ、挿したファミコンカセットのゲーム音楽を忠実に再現するというスタイルが観客に大受けで、会場のノリをさらに良くした。
メイン・ステージに場所を移して登場したのは、女性グループ史上初のオリコン首位デビューを果たしたCAガールズロックユニット“PASSPO☆”。
メンバーを「クルー」、ライブを「フライト」、ファンを「パッセンジャー」と呼び、本格的なROCKサウンドが熱狂的に支持されている。キュートな「クルー」による万華鏡、渡り鳥とも表される変幻自在なダンス・フォーメーションが秀逸だった。
PASSPO☆+瀬々信(アーバンギャルド) photo by yu-yukko
ステージ半ばで、アーバンギャルドが楽曲提供した『Shang Shang シャンデリア』、『ピンクのパラシュート』、『サクラ小町』が立て続けに披露された。PASSPO☆メンバーのダンス・パフォーマンスに対して、『サクラ小町』を作曲した瀬々信がギターで参加し、機長の帽子を被っていつになくアクティブに激しく動いていた。
30分ほどの休憩を挟んで後半最初に登場したのは、ハードロックな、ヘヴィメタルバンド“NoGoD”。
フロントマンを務める団長の特異なキャラクターが生み出す独自の世界観と、ハイ・クオリティーな音楽性を併せ持った個性が光る実力派である。何でもありの『鬱フェス』にあって、ロックバンドとしての勢いと安定したステージングで、長時間のフェス中盤を見事に締めて見せた。ビジュアル・バンドでありながら、その変幻自在の立ち位置は、アーバンギャルドともしっくり合うようで、昨年の名古屋での2マンライブ以来のアーバンギャルドと2度目の遭遇となった。
場所をエクストラ・ステージに移して次に登場したのは“レ・ロマネスク”。
彼らは、「フランスで結成され、ヨーロッパ各国で英語及びフランス語でのライブ活動中」とのことだが、そのステージに触れてしまったら、しばらく頭にこびりついて離れないだろう。凸凹コンビの男女ポップデュオが、歌謡曲チックな曲に載せてエスプリの効いた歌詞を歌うさまは余りにおもしろ過ぎた。
さて、いよいよ終盤となりメイン・ステージに登場したのは、確かなテクニックに裏打ちされたライブパフォーマンス、ハードロックを基調とした独自のサウンド、文学的な歌詞などで、音楽ファンの支持を集め続けているロック界の重鎮であり異端のバンド“人間椅子”。
スリーピースバンドでありながら重厚なサウンドを奏でる圧巻のステージングで、有無を言わさず捻じ伏せられた感は爽快でもあった。このようなフェスにも参加するフットワークの軽さと、ステージで見せた心底ライブを楽しんでいる表情に大人の余裕を感じた。
エクストラ・ステージの最後の出演は、マジック・ヴォイスと表現され、ソロ、ユニットなど、さまざまなカタチで活躍中の注目女性シンガー“南波志帆”。
アーバンギャルドとはライブハウスで何度も対バンを行っていて、2マンライブも行ったことがあるそうだ。この日のステージでもキュートで初々しい魅力に満ち溢れたステージを見せてくれた。
瀬々信 & おおくぼけい photo by yu-yukko
2日間に渡った『アーバンギャルド PRESENTS 鬱フェス2015』も、トリを務めるアーバンギャルドのステージで遂に最後を迎えた。
フェスを意識したラインナップのセットリストであったが、それでも今のアーバンギャルドの懐の深さを感じさせる内容であった。CDデビューから7年目、メジャーデビューから4年目、紆余曲折あっても、新たな挑戦をするその姿勢と覚悟が今回のフェスに垣間見られた。
アンコール曲『都会のアリス』を歌い、本日の出演アーティストをアーバンギャルドがステージに呼び込み、鬱フェス版の『サライ』とでも呼ぶべきアーバンギャルドの『ももいろクロニクル』で大団円を迎えた。
「君の病気は治らない、それでも僕らは生きて行く♪君の病気は治らない、それでも僕らは生きて行く♪」と繰り返し歌われる言葉が、このフェスの真のテーマなのではと感じられた。この歌を口にする時、出演アーティストも観客もみんなの笑顔が輝いていた。
アーバンギャルドからのお知らせ
12月9日(水)に、1年半振りのニューアルバム『昭和九十年』がKADOKAWAメディアファクトリーより発売されることが発表された。
また、秋の全国ツアー「アーバンギャルド全国ツアー2015 『昭和九十年』」に続き、新たに東京と大阪の2箇所で『アーバンギャルド 2015 XMAS SPECIAL HALL LIVE 「昭和九十年十二月」』が開催されることが発表された。
アーバンギャルド全国ツアー2015 「昭和九十年」
日程・会場・開場/開演時間 チケット前売料金 プレイガイド一般発売 アーバンギャルド 2015 XMAS SPECIAL HALL LIVE 「昭和九十年十二月」 日程・会場・開場/開演時間 チケット料金 【ファンクラブ抽選先行発売】9/ 6(日)12:00~ 9/16(水)23:59 |
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