2021-01-13 12:00 Fuhito Kitahara

former_airline、新MV「Insane Modernities」公開。東京での生活の混乱と混沌を現代的かつCovid-19パンデミック前のノスタルジーとして表現

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former_airlineが、2020年10月にリリースした最新アルバム『Postcards from No Man’s Land』から「Insane Modernities」のミュージックビデオを公開した。

 
former_airlineによる久保正樹によるソロプロジェクトで、いくつかのバンド活動を経て90年代後半よりギター、エレクトロニクス、テープなどを使用した音作りを始める。J・G・バラードにも例えられる音世界は、ときに「サイファイ・サイコ・エロチシズム」「ディストピ アン・スナップショット」などと称されている。

 
今回公開されたMVは、ブエノスアイレス在住でアメリカ人インディーフィルムメーカー・Jeff Zorilla氏が2017年来日時にスーパー8mmフィルムで撮影し制作したもの。東京での生活の混乱と混沌を現代的かつCovid-19パンデミック前のノスタルジーとして表現している。

 
former_airlineによるコメントも発表された(下に掲載)。MVと併せてチェックしよう。

 
 


former_airline「Insane Modernities」

 

former_airline コメント

 
アルバムについて

これまでリリースしたアルバムには特にコンセプトはなく、全体の仕上がりから無意識に統一感が見えてきて、そこから後づけでテーマが決まっていたのですが、今回ばかりはパンデミックを無視することができず、制作過程からformer_airlineなりに時代と共振するつもりで音を意識的に選びました。それが最も顕著に現れた曲が “Geometries of the Imagination”です。
このアルバムは、コロナ以前の2019年終わりに作った楽曲とコロナ以降に自宅にこもって録音した音を組み立てた楽曲で構成されています。〈まだ変わる前の世界〉と〈もう変わってしまった世界〉との移り変わりを連続的に記録し、無人地帯からの空虚な響きが取りもつ不安定な世界とのつながりを憂い、ポストカードにしたためたようなものです。それはノスタルジックな過去でもなく、夢見がちな未来でもない、超現実的で虚ろな「いま」を幻想的に照らし出す試みでした。
ちなみに最後のトラック”S.Sontag in the Psykick Dancehall”はサイキックTVのアシッド・ビートを意識して作った曲ですが、完成直後にジェネシス・P・オリッジが亡くなってしまい、図らずも彼に捧げる曲となりました。

 

MVについて

アルバムの中で一番最後に作った曲であり、全体的にゆるやかに流れるアルバムにスピード感を加えるために、完成間近に急きょ差し替えることにした曲です。結果、アルバムの中でもっともキャッチーな曲になったような気がします。
レーベル・オーナーのイアンさんから監督の作品を教えてもらったとき、”Insane Modernities”の壊れた世界とハンマー・ビートのリズムに、監督の特異なフィルターを通したぼやけた都市イメージの連続、速度のあるカットアップの組み合わせはきっとうまく混じり合うだろうと感じました。コロナ以前の荒涼としながらも楽観的な東京を切り取った膨大なシーン。小津の静けさとも、ヴェンダースの熱気とも異なる奇妙なオリエンタリズム。色彩の揺らぎ。光と影の残像。序盤の温かみさえ感じられる人々を中心とした鮮明な映像から、徐々に物質的な様相を帯びて霧深いカオスに向かっていく展開は、まるで猥雑なファンタジーのようです。

 
 

 
former_airline『Postcards from No Man’s Land』

発売:2020年10月28日(水)
価格:1,500円+税
品番:CAR-44
レーベル:Call And Response Records
仕様:セットテープ+DLコード / Bandcamp

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収録曲:
A1. In Today’s World
A2. Geometries of the Imagination
A3. Insane Modernities
A4. On the Sea of Fog
B1. Paint This December
B2. Blue Destroy
B3. What Destroys You Walking Mirrors
B4. S. Sontag in the Psykick Dancehall

 
作品解説:

former_airlineの音楽は、21世紀のパニックと情報過多を表現しているが、それを超えて希望に満ち忘られている未来が、世界を悩ましている精神的な夢の空間へと導いているよう。アルバム「Postcards from No Man’s Land」では、閉所恐怖症的な感覚、モートリック、アーバン、インダストリアルな要素がドリーミー、サイケデリック、トランスの要素へ途切れなく溶け込んでいく。ポストパンク、クラウトロック、ミニマルウェーブ、シューゲイズ、ダブ、アシッドハウスからの影響を受けていながらも、former_airlineはそれらを受け入れて、楽観的で今のカオスに根ざした彼自身の音の世界を作り上げている。

 


former_airline「Postcards from No Man’s Land」album trailer

 



 
former_airline

久保正樹によるソロ・プロジェクト。いくつかのバンド活動を経て、90年代後半よりギター、エレクトロニクス、テープなどを使用した音作りを始める。2000年代後半よりformer_airline名義で活動開始。J・G・バラードにも例えられる音世界は、ときに「サイファイ・サイコ・エロチシズム」、「ディストピ アン・スナップショット」などと称されたりもする。カセットテープを中心に、日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスほか世界各国のレーベルより8枚のアルバムをリリースしている。

 

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