シンガポール発「人種、距離、言葉」を越境する音楽集団・Wicked Aura 初来日決定!フロントマンBUDIにインタビュー | 特別寄稿
シンガポール発の「人種、距離、言葉」を越境する14人編成の音楽集団・Wicked Auraが、サマーソニック2017出演を機に初来日ツアーを行うことになりました。
今回、彼らを招聘するボングウミュージックの関根綾氏が、Wicked AuraのフロントマンBUDI氏(リーダー、ボーカル、ヘピニケ)に行った特別インタビューを寄稿してくれました。
14年間に渡る活動がシンガポールに、そして世界に何をもたらしたのか?注目のインタビューです。
2017年2月28日
WICKED AURA Idham Budiman aka BUDI (Leader, vocal, repinique) Interview
1) マレー系シンガポール人は現地では少数⺠族ということになっているけど、アメリカでいうところのヒスパニックや黒人と同じ様なポジションにいるの?
マレー語っていうのはこの地域のリンガフランカ(※1)と呼ばれているよ。この地域っていうのはマレー半島で、マレー人はこの地域の先住⺠だよ。現在のシンガポールの人口でいうと確かに「マレー」は少数⺠族だ。ニュージーランドでいうところの「マオリ族」、先住⺠族だけど現在は少数⺠族。そしてマレー⺠族の文化というのは伝統、音楽や芸術が豊かでもある。
※1
リングアフランカ
異なる言語を使う人達の間で意思伝達手段として使われる言語。また、商用で使われる国際共通語。
リングアフランカ(コトバンクより引用)
2) ウィケッドオーラのバンドとしての燃え盛る「要求」ってなに?
Musical evolution/revolution. World domination.(音楽による革命と進化。世界制覇)
3) 今回の来日で何がしたい?
まず、俺たちは今まで一度も日本で演奏したことがないというのがひとつ。二つ目は、この来日を機に、ポップカルチャーや幅広いスペクトルのジャンルで音楽が認識されている国で活動の種を蒔きたいと思っている。三つ目はできることなら流通やレーベル、そして俺たちのアルバムとバンドを日本で広めることの出来るプロモーターと出会えたら嬉しい。
4) シンガポールの外に出て演奏したいという情熱はどんな感じ?どのくらいの強さ?
俺たちがシンガポールの外に出て演奏したいと強い要求を感じている理由のひとつに、自分達の範囲を越えた場所で俺たちの音楽を聴いてもらいたいということと、シンガポールの音楽マーケットが非常に小さいという事がある。過去14年の間にかなり多数に渡って海外で演奏してきた事もあるし、シンガポールの音楽大使/代表としてはいい線行ってるんじゃないかと思うよ。 [バンドが]他⺠族、大胆にアフロ・ブラジリアンのリズムをモダンなポップス/ロック/レゲエの要素を取り込んでるし、根性、歌詞や歌においては社会や政治に関してもかなり強く意識してるしね。
5) 14年の活動がシンガポールに何をもたらしたと思う?
14年の間にウィケッドオーラはパイオニアとして、アフロ・ブラジリアンの打楽器シーンを開拓した。路上パフォーマンスシーンも然り、サンバのリズムの世界をシンガポールに知らしめて、この音楽の知名度を上げたよ。打楽器グループから進化して、ロックバンドとしての音楽を確立させたという意味でもかなりシンガポールの音楽界をエキサイトさせ、多様性とエッジを与えられたと思う。
バンドのシングル「Fight」ヘビーなギター、マラカトゥ(※2)のリズムとかなり激しい社会的なコメンタリーを歌詞に含んだものだけど、BBCの「Next Big Thing」という企画の2007年のトップ20の最終候補にノミネートされた。この2007年という年がウィケッドオーラの現在のサウンド – ロック、ラップ、レゲエとサンバを混ぜ溶かしたクリエイティブな坩堝に進化するポイントだったよ – バンドのコレクティブとしてのエナジーや切迫感を犠牲にせずにね。
Wicked Aura “Fight”
この時期にバンドのメンバーそれぞれがアフロ・ブラジリアン音楽への愛情を教育機関の芸術向上プログラムを通じて広め始めたし、打楽器グループが枝分かれしてシンガポールのサブカルチャーとして成り立ってきたんだ。シンガポールの巷で見るサンバのグループやプログラムは、ウィケッドオーラの2003年の結成がそのままルーツになっているよ。
※2
マラカトゥ:ペルナンブーコ州レシフェの伝統音楽で、主にレシフェ中心の「マラカトゥ・ナサォン(Nãção/国の~)」と、内陸部の「マラカトゥ・フラウ(Rural/農村の~)」の2種に分けられる。
mumumag.comより引用
6) 14年やってきて何を感じる?次はなに?
かなりの活力だし、より元気だ。クリエイティブなジュースが溢れてるよ。シンガポールの地元のシーンを活気付ける事ができたことの他に、14年に渡ってライブに磨きをかけて、ユニークさと激しさを持ってどんなオーディエンスも熱狂させれるように調整してきたと思う。次はというと、とにかくライブをたくさんやってこの新アルバムをプロモートしたい。いつでもどこでも。あとはシンガポールでも海外でも新曲を披露したい。
7) ブラジル音楽以外の影響は?
ブラジル以外での主な影響は、ロック、メタル、パンク、スカ、ダブ、レゲエ、ファンク、ヒップホップ、ドラムンベース、ブルースとジャズ。メンバー一人一人が各自の影響を持ち寄ってきている。
作曲と作詞家として[ブディが]挙げたいのは:ニナ・シモーン、アイアンメイデン、ボブ・ディラン、ザ・クラッシュ、ジェームズ・ブラウン、リー・スクラッチ・ペリー、エルヴィス・コステロ、ナイン・インチ・ネイルズ、サウル・ウィリアムズ、DJシャドウ – ざっとだけれど彼らの詞やフィール、マジック、音楽のスタイルや感情を俺は感じチャンネル(取り込み)したいと思う。
8) バンドの受ける主なブラジリアンミュージックの影響は?
アフロレゲエ、モノブロコ、ムタンチス、オロドゥン、セパルトゥラ、ハトス・ジ・パラオン、マルチーニョ・ダ・ヴィラ、シコ・サイエンス&ナサオズンビ。
俺たちが偏りがちなリズムはパルチド・アルト(partido alto)、サンバ、サンバヘギ(サンバレゲエ)、ココ、バイオン(Baião)、サンバファンクとマラカトゥ(maracatu)だ。
9) Tag line for your band バンドのキャッチコピーは?
“Wicked fucking]Aura is Samba, Punk & Funk and everything in between!”(ウィケッド [ファッキン] オーラはサンバ、パンク、ファンクとその中間全部!)
My Aura is Wicked (Live at The Annexe Studio, Singapore)
WICKED AURA ‘AURA IN EFFECT’ JAPAN TOUR 2017
バ・バ・バトゥカーダ 〜シンガポール X ニッポンの灼熱のカーニヴァル〜
サマーソニック 2017
WASACAFE x Wicked Aura
リズムワークショップ with WICKED AURA |
Wicked Aura『Beginning the End』
発売:2016年6月24日
価格:1,800円
仕様:ダウンロード
1. Beginning the End
2. Pedestrian (2016)
3. My Aura Is Wicked [Explicit]
4. Lullaby
5. The Fall
6. Louder Than Light [Explicit]
7. Shotgun (feat. Masia One) [Explicit]
8. Prelude
9. Rosana
10. Alyssa
11. Freak Like You
12. Fight (Remastered)
13. My Aura Is Wicked (Michael Patterson Mix) [Explicit]
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