2016-03-19 12:00

3月23日にメジャーデビューアルバム『空席のサーカス』を発売する白波多カミン with Placebo Foxesにインタビュー。影響を受けたアルバム3枚も

白波多カミン with Placebo Foxes

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| 自分のものじゃなくなって、その人の歌になればいいなといつも思っています

 

   ニューアルバム『空席のサーカス』でメジャーデビューされることになりました。メジャーになって何か変わったことはありますか?

 

白波多 メジャーとインディでやってることは、私自身はほとんど変わらないんですけど、周りの環境が違うのが割と大きくて。関わるエンジニアさんとか、今回プロデュースしてくださった百々和宏さん(MO’SOME TONEBENDER/geek sleep sheep )とか、すごく才能のある人がすぐそこにいるっていう、第一線でずっとやっている人にすぐ近づける距離にいるっていうのが、一番、今の時点では大きくて。

エンジニアさんの釆原史明さんにやってもらったんですけど、今まで自分がレコーディングしてきた感じと全然違う録り方っていうか、引き出し方とかが勉強になって。出会いっていうか、ちょっと違うなぁと思います。すぐ出会える距離にいたっていうことが、自分にとっては大きいですね。そこには、大人のお金の事情とかは色々あるとは思うんですけど、ひとりでは動かせない色々なものが動くっていう可能性は、やっぱりメジャーにはあるから。

やっている音楽、芯の部分では変わらないし、いい音楽を作って出すっていうこと自体には全然関係がないし。まぁ、でも、飛び級しているような気持ちってのはありましたね。

 

   飛び級しているってのは、どういう気持ちなんでしょうか?

 

白波多 今までは良い音楽を作るっていうことに重きがあって、作品をリリースしても誰が聴くのかはわからないし、何人くらいの人が聴いてくれるのかというのはぼやっとしてたんです。だけど今回のアルバムは、もうちょっと外に向かっているっていうか、良い音楽を作るのは一緒なんだけど、外へのアプローチを考えながら、自分では作って歌ったんです。

その外へ向かっている矢印の多さみたいなのが、今までと全然違うなと思ってて。それはなんかメジャーとかインディという言葉にちょっと自分が惑わされているのかもしれないけど、でも、やっぱりいい意味で、聴いてくれる人たちが絶対にいる。聴くか聴かへんかわからへんというよりも、絶対に誰かが聴く、大きく広がるっていう意識の違いが、すごい如実に音に出ているなぁっていう印象ではありますね。自分で客観的に聴いていて。

 

   それは、今作はいっぱいの人が確実に聴くだろうという確信のもとにできたアルバムということでしょうか?

 

白波多 確信ってほどでもないけど、いっぱいの人が聴くであろうものとして作るという感じですね。実際どれだけの人に聴いてもらえるかはわからない知らないというのはインディーもメジャーも一緒ですけど。

 

   どういう人に届いて欲しいという希望はありますか?

 

白波多 誰でも聴いてくれたら。びっくりして、「うわぁ、いい、いいな」って感動してくれたらなんでもいいし、感動してくれなくてもいいんですけど。自分がやっぱり音楽で救われたし、今でも救われてるから、中学生とか高校生がこうなりたいって真似してほしいという憧れはありますけどね。でも、誰でも聴いて欲しいですかね。

 

   今までの曲はアレンジとかも結構渋くて、なかなか中学生がやってみようとは思わないと思うんですよ。だけど今作は、ギターはガーンってやりたい、ベースはブンブンってやりたいっていう中高生がやりたがるようなアルバムなんじゃないかなと思って。

 

白波多 すごい嬉しいですね。高校や大学のバンドサークルとかで、白波多カミンのコピバンがあったら、めっちゃ嬉しいですね。

 

   まだないかな?

 

白波多 京都の立命館大学にひとつだけあったんです。「白波多カミンのコピバンしてます!」って言われて嬉しかったですね。

 

   それは最高ですよね。これから、日本全国に白波多カミン with Placebo Foxesのコピバンができる!

 

白波多 コピバンが嬉しいのは、その人の曲になるじゃないですか。もう私の曲ではなくなっていくっていうのがすごく嬉しくて。自分のものじゃなくなって、その人の歌になればいいなといつも思っています。なのでコピバンしてほしいです、はい。

 


バタフライ / 白波多カミン with Placebo Foxes

 
 

| 自由でいたいですね、メロディに対して

 

   白波多さんはどういった音楽に影響を受けたのでしょうか。

 

白波多 影響を受けたのはくるりが一番でかいですね。

 

   出身が京都だからというのは別として?

 

白波多 くるりが京都のバンドとは知らないまま、、「男の子と女の子」というCDを聴いて、そのカップリングの「ハローグッバイ」っていう曲を聴いて、なんか雷に打たれたようにパーンってなって。この曲はドラムははじめ打ち込みで、サビになったらいきなり生ドラムになるんですけど。そのカラクリとか全然分からないまま聴いてて、でも急にサビで生ドラムになったところで、バーン!って雷が急に落ちて(笑)。ああ、なんか電気の音楽カッコイイみたいな。それまでアコギで独りでやったりして家で遊んでたんですけど、エレキギター欲しいってなったのはそれが初めてですかね。

 

   それはいくつぐらいの時でしたか。

 

白波多 中学校2年生の時でしたね。ギターロックカッコイイみたいになったのは(笑)。 それから、レディオヘッドとかニルヴァーナとかシガーロスとかたくさん聴きました。その中でもシガーロスがすごく好きで、救われたっていう感覚が一番あるバンドかもしれないですね。ひとりぼっちのときに、すごい優しくどこかへ連れてってくれる。違う世界を、絶対違うきれいな景色を見せてくれる、シガーロスっていう場所に行くっていう感覚で音楽を聴いていて。今年フジロック来るから行かなきゃと思ってるけど(笑)。

 

   特にこのアルバムが好きとか、オススメはありますか。

 

白波多 一番よく聴いたのはあれなんて呼ぶんだろう、かっこ?ブランクのかっこのやつです『()』。曲も全部「Untitle 1」とか「Untitle 2」みたいにUntitleになってます。

 

   僕は白波多さんの音楽を聴いて、現代の洋楽女性アーティストの系譜を感じました。影響を受けたアーティストの名前には上がりませんでしたが、その辺は意識されてますか。

 

白波多 全然意識はないです。けど、どうなんだろう。キャット・パワーとか好きだからかな。分かんないですけど(笑)。自分の中でこんなところにいるなっていう発想が、今初めて知りました。そんな発想があるんだ。

 

   ふつう意識しないですよね。自分はこの辺にいますとか(笑)。

 

白波多 しないですね。自分の系譜がここにとかは(笑)。でも、考えると面白いですよね。

 

   音楽性は違うかもしれませんが、僕の中では、ジョニ・ミッチェルとかの流れの先端に白波多カミンさんが存在しているように感じました。

 

白波多 ジョニ・ミッチェル、カッコイイですよね。嬉しいです(笑)。

 

   なぜ、ジョニ・ミッチェルを感じたかというと、曲を聴いていてメロディが、いわゆる普通の落ち着くメロディとは少し違うような気がしました。また、それがクセなのかなとも感じました。

 

白波多 好きなメロディのクセっていうのは、すごく自分でも感じています。ここには行きたくないっていう場所があって、多分それが落ち着くメロディなんだと思う。

 

   行きたくないところが落ち着くっていうことですか。

 

白波多 みんなが落ち着くであろうメロディのところに行きたくないっていうのはあると思います。自分が落ち着かないから、多分。よくあるおじぎするときに使う、コードのC・G・Cって落ち着くじゃないですか。だけど、あれをやると自分では多分そわそわするんですよね。形式っぽいというか、予想がつくところへたどり着くのが落ち着かないみたいな。ちょっと外れたところにいってないと、自分の心が落ち着かないですね。なんなんだろう、期待されるのが嫌なのかもしれないですね。待たれるのがやだっていうのがあるのかもしれない(笑)。自由でいたいですね、メロディに対して。

 

   では、最後の質問です。これからアルバムを出してメジャーデビューしますが、今後の白波多カミンさんとバンドも含めて、野望・展望を聞かせてください。

 

白波多 今回できたアルバムの次になにをやる?っていうのは全然分からなくて。設計図が描けないタイプなので、とにかく今は、生きていってる毎日にアンテナを張って、なにか引っかかるものを作品にして、良い音楽を作って、また作品を作っての繰り返しなんだろうなと思います。

格好良くなっていくっていうのはもう分かってるから、別にあんまりこうだっていうのはないですかね。あ、でもフジロック出たいでーす、って言っといたらいいですか?(笑)

 

   「格好良くなっていくのは分かってる」というのはすごく良い言葉ですね。本日はありがとうございました。

 

白波多 ありがとうございました。

 
☞ 巻末特集へつづく


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