2016-02-27 20:00

ニューアルバム『Hello, NEW WORLD』をリリースしたMuffの田口将之氏にインタビュー

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| パーティーに必要とされるバンドでありたい

 

   昨年(2015年)10月にニューアルバム『Hello, NEW WORLD』を出されました。アルバムの紹介をお願いします。

 

田口 とにかく濃い目って感じです。尺も長いですが、音のつまり方も濃いです。ひとつのアルバムをストーリーとして考えた場合、四季折々、朝昼晩などいろんな情景が紡ぎこまれたアルバムだと思うんですね。1曲1曲を説明したら時間が足りませんが、トータルで言ったらかなり幅広い。かといってバラードがあるわけではなく、できる限りのグルーヴミュージックの要素は消さずにブチこんだつもりです。9曲入りで60分越えちゃいました。

 

   音源を聴いて、演奏していて楽しいんだろうなと感じました。

 

田口 もちろん楽しいです。でも、形になったのはやっとです。インストになったからといって、急に上手くなったわけでもないですし(笑)。ジャズのようにスキルを見せるインストではなく、パーティーとして役に立つインストでありたかったので、どういう風に観せて聴かせてフロアを巻き込んでいくかが簡単じゃなかったですね。今でももちろん悩んでますけど。

 

   じっくり聞いてもらうというよりは、踊ってもらえればいいよっていう感じですよね。

 

田口 ザックリ言うとそうですね。ただ、アルバムを創るってなると細かい部分もちゃんとしなきゃならないので、作品一枚としての追い込み作業は大変です。創り込んだ分、作品として聴き入ってほしいという気持ちもあります。ライブでは自由に音に身を委ねてもらえれば本望です。

 

   最新アルバムではファンク要素も感じました。

 

田口 オールマンブラザーズバンド、グレイトフルデッドときて、フィッシュやストリングチーズインシデント、モーなんかのアメリカを代表するJAMバンドは今でもずっと聴いています。でも、ここ数年はファンクの要素が好きになってきて、ニューマスターサウンズ、ソウライブ、レタス、ベイカーブラザーズ、メデスキマーティンアンドウッドなどの現代JAZZ FUNKっていうんですかね?彼らの音にドハマりし続けているので、ファンクミュージックから影響を受けたフレーズやリズムが多くなりました。そのニュアンスが今回のアルバムには自然と盛り込まれていると思います。ルーツミュージックとしての王道ファンクももちろん好きなんですけど、それらを真似たり、再現しようという気持ちは全くないです。自分達ではMuffの事をJAM FUNKと勝手に称してますが、あえて言うなら雑食ミクスチャーバンドです(笑)

 

   バンドのリズムと違うリズムをひとつの楽器だけ打ってたりとか、そういうところが何箇所かあって、ただ気持ちよいだけじゃなくて、聴いていて面白いなって思いました。

 

田口 パーティーバンドとしてお客さんを踊らせるっていう役割だけでよければ、ある程度わかりやすいビートが流れていれば成り立つとは思うんですけど、ちょっとワンクッションひねくれるポイントを入れないとバンドとしての色もなくなっちゃいますし。崩したところからリズムが復活すると、その瞬間がすごく気持ちいいんですよ。ぐわっとヨレて、また元に戻ることで飽きさせないパフォーマンスができて、自身でも演奏の緊張感も生まれて毎回刺激になります。あと、そこが歓声の沸くポイントだったりもします(笑)。

 

   なるほど!確かにめっちゃ気持ちいよいです!そこはやっぱり意識して作られてるんですか?

 

田口 はい。オーバーなステージパフォーマンスもないですし、場を盛り上げる饒舌なMCスキルを持ち合わせてるわけではないので、音で表現するパフォーマンスという考えはあります。ずっと音楽やってると、ポリリズムとか、暗くてDEEP過ぎる曲とか、すごいテンポの遅い曲とか、ひねくれたことばかり挑戦したくなっちゃうんですけど、それだとどこにも呼ばれなくなっちゃうから(笑)。パーティーに必要とされるバンドでありたい。パーティーインストゥルメンタルバンドの中でもある程度のポップさは維持していきたいなと意識して作ってます。

 

   そもそもの曲づくりは?

 

田口 順序としては僕がキッカケとなるフレーズだったり、イメージをスタジオでメンバーに投げて、それを何回も何回も、あーだこーだとテイクを重ねていく中で曲が成長していくって感じですかね。初期の段階と、フィニッシュの段階では全然違う曲になってます。あと、インストはルールがないので、なんでもハメれちゃうっていうところが一番難しいところですかね。王道のファンクってある程度の進行ルールがあったりしますけど、ジャムってまったくルールがない最強のミクスチャーなので、やろうと思えばいくらでもやれちゃう。どこで「OK」にするかっていう判断が難しいところですね。

 
 

Muff-HELLO, NEW WORLD

Muff『HELLO, NEW WORLD』

発売:2015.10.21
価格:2,300円(税抜き)
品番:JOSSPL-003
レーベル:JUN-ON-SAI-SAI RECORDS

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収録曲:
#1 Morning glory
#2 Adventures
#3 Coffee & Psychedelics
#4 A drop in the ocean
#5 Yurikago
#6 R.A.T.
#7 Sky walking
#8 Freak out
#9 Peach

 
 

| ギター2本でギターが主役になってるイナタいバンド

 

   タイトルの「Hello, NEW WORLD」にはどんな意味が込められているのですか?

 

田口 リスナーに対しては新世界へのお導きです(笑)。バンドでいうと、今の5人のメンバーがボクの中でベストメンバーなんですね。その5人で初めて作ったアルバムってことで、新しい世界に来たなっていう。同時に次の世界がイメージできたなっていうのがありますね。

 

   次の世界というのは次の展開が見えたってことですか?

 

田口 展開が見えったっていうより、可能性が見えたっていう感じですかね。今の5人で作った自信の表れだと思うんですけど、このアルバムを世に出して、もっと広い世界で活躍ができるんじゃないかなっていう可能性が見えて。「初めまして、僕たちは次はそこに行きますよ」みたいな。

 

   もっと広い世界での活躍というと?

 

田口 Muffとして出演するステージのランクアップ、そして海外でのフェス出演ですかね。インストゥルメンタルバンドって言葉の壁がないじゃないですか。なので、海外での活動も視野に入れて動きたいなというのはありますね。これからは海外にもアプローチしていって、掴めるところをサボらずに掴んで活動の場所をもっと広げていきたいですね。

 

   そこはインストの強みですね。

 

田口 下手な英語歌って馬鹿にされるよりはよっぽど(笑)。

 

   あとは自分たちの腕次第?

 

田口 イメージでだけで言うと、海外のパーティーでもウケるという自信はあります。今時、ギター2本でギターが主役になっているイナタいバンドってあまりいないので、そこが個性でもあり、時代に流されていないっていうのもあり、ポジティブに捉えてます。こういうシーンで動いているから余計感じるのかもですが、ギターがフューチャーされた音楽って昔ほどないじゃないですか?ギターヒーロー的な人も新しく生まれていないし、なのでこれを個性と捉えて前向きにやっていこうと思います。ただ、今回のアルバムは新メンバーにオルガンが加入した事もあり、ファンク要素が強くなって、サイケデリックな世界感が広がったので、ちょうど良く「イナタサ」を隠すことができましたけど(笑)

 

   ドライブにすごく良いですよね。ここに来る時に車でガンガンかけてきました。

 

田口 いいですよね。単調じゃないから眠くならない(笑)。それにいろんな景色に音がハマるんですよ。空、木、水、ビル、高速道路なんかと、たまらないシンクロ具合を感じることができますよ。「Yurikago」という曲は風に揺れる木々や輝く水面なんかと。「Adventures」という曲を聴きながら散歩すると冒険に出たかのようにワクワクしてきますし、夕焼けを眺めながら「Peach」を聴いたら涙流れちゃいますよ。入浴に合うっていう友人もいました。アッパーな曲は都会的な景色が合いますね。コレ、ぜひ試していただきたいです。

 

   細かいキメが多いから、毎回新しい発見がありますね。わあ、ここ面白いなあって。

 

田口 そうですね、何回も聞いてく中で細かいバンドのこだわりというか、エゴを発見してもらってそこも楽しんでもらえたらいいですね。

 

   これからMuffの音楽を聴くという方に対してメッセージはありますか?

 

田口 既存の言葉や、ジャンルで一言で説明するのはとっても難しいアルバムです。その代わり、これまでにない新しい音の世界、NEW WORLDを発見してもらえるとも思います。ドライブだったり、友達を家に呼んでいる時のBGMだったり、お店やってる方はお店で流してもらったりとか、そういう使い方をしてもらえたら嬉しいですね。使い勝手はすごく良いと思いますよ。まずはYOUTUBEに「Coffee & Psychedelics」という曲のMVがあるので、見ていただきたいです。ゲストにはMountain Mocha KilimanjaroのSAX奏者、栗原健氏に参加いただいてアシッドなファンクナンバーに仕上がってます。

 


Muff『Coffee & Psychedelics feat.栗原健 on Sax』

 
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