hoshioto 藤井代表にインタビュー
日本で2番目に星が綺麗な街・岡山県井原市美星町で2012年より開催されている野外フェス『hoshioto』。今年は、4回目となる『hoshioto’15』が5月30日(土)に開催された。例年以上に層の厚いアーティストが出演し、チケットソールドアウト寸前となるなど、大盛況の内に幕を閉じた。今回は、hoshiotoの代表である藤井裕士さんに電話インタビューをすることができた。
text by Fuhito Kitahara
| 今年でやっと土台ができた
——本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介と、hoshiotoの簡単な紹介をお願いします。
藤井裕士(以下、藤井) 岡山県井原市美星町で、野外フェス『hoshioto』というイベントを開催している藤井裕士と申します。hoshiotoは、天文学者が日本で2番目に星が綺麗と言った美星町の星空公園(注1)の近くにある『星空感(ほしくうかん)』(注2)という所で、2012年から開催している野外フェスです。チケットの売上のみで開催している完全インディペンデントのフェスティバルです。
——星が綺麗な街で開催されているフェスなので、『hoshioto』という名前なのでしょうか?
藤井 そうですね。自分が住んでいる街、井原市に星がほんとうに綺麗な場所があったというのと、自分自身が音楽をやっているというのもあったので、「星」と「音」ということで単純明快な名前にしました。
——今年でhoshiotoは4回目でしたが、これまでと変わってきたことってありますか?
藤井 やっぱり1回目に比べれば、4回目の今回はお客さんの数が4倍くらいになって、出演者の数も増えてます。もっと言えば、ステージの数が毎年1個ずつ増えていってますね。毎回毎回、去年とは違うことをやってやろうという意気込みでやってきたので、ステージの数が増えたことは大きいですね。1番大きな変化は、認知度が高まってきたことですね。出演アーティストもよりビッグな名前が並ぶようになってきました。
——ステージが増えたということでしたが、最初の年はいくつステージがあったのですか?
藤井 3ステージですね。今年が5ステージです。1年目は3ステージといっても、同時進行じゃなかったんですよ。(ステージごとにライブを)交互にやったり、室内のホールは深夜だけにやったりしました。星を見るためにっていうイベントなので、1回目は深夜3時までやりました。スタッフから悲鳴がいっぱい聞こえてきたのと、自分自身の体力が持たないというのもあったり、県外からくるお客さんの交通手段のことを考えたら、(午後)8時半くらいに終わるのがベストかなと。2回目からはそうさせてもらってます。
——深夜3時までって凄いですね。
藤井 1回目はけっこうムチャクチャやったりしましたね、今考えれば。(想定では)これだけしか来ないだろうと思ってたお客さんが倍くらい来てくれたので、駐車場のことなど問題がたくさん発生して。1回目はほんと勉強にはなりました。ステージも自分たちで作りましたし。
——地元の認知度や地元の対応という面では、何か変化はありましたか?
藤井 そうですね、まだあまりないと思います。地元よりもちょっと離れたところでの認知度は上がってきたとは思うんですけど、地元に関しては今はまだまだかなと。
——年に1回の夏祭りみたいな感じには、地元ではとらえられていないということですか?
藤井 まだだと思います。まだまだ弱いなと思ってます。でも、今年(のhoshiotoが)終わった時点で行政の方からちょっとした話しなんかもあったりして、今後かなと思っていますね。土台がやっとできたというレベルなんじゃないかと僕は思っているので。
| 地元を活性化する動き。それを今後もっと頑張りたい。
——今年はけっこう雨が降りました。
藤井 雨は降ったんですけども、お客さんが思ったよりも帰らなかったのでよかったなというのと、お客さんって思ったよりも強いなと思いました。これまで雨が降っていないイベントだったので、降っても大丈夫だろうというくらいのユルい感じで思っていたんですけど、お客さんがちゃんと対策してくださっていて。雨の中で良いグルーヴ生まれて、出演者も「マジこの逆境を!」みたいな感じで頑張ってくれたので良かったなと。客観的にパーンとみた時に、自分自身が理想としてたフジロックフェスティバルにちょっと近づいたという感はありました。雨のお陰で。
——雨の中で音楽を聴くというのもフェスの醍醐味のひとつですもんね。出演者さんが「お客さんだけが濡れるのは可哀想だから」と言って、屋根のあるステージから客席の中に降りてきたりして、それがすごく感動的でした。
藤井 スクービー(SCOOBIE DO)とかもほとんど雨に濡れながらライブやってくれたりしまして、ありがたかったですね。そういうことがあって、良い意味で一致団結できたのが今年のhoshiotoだったなあと思ってますね。
——スタッフさんも雨が降ってきたらすぐにテントを出してきて、ステージに屋根を作ったりして凄いなあと。
藤井 ちょっと遅かったところもあって。細かく言ったら反省面はたくさんあるので、まだまだ満足はできないですね。
——反省面が多いということは、もちろん来年に向けて良くしていこうということだと思うのですが、今後のhoshiotoの、藤井さんご自身のことも含めての展望を聞かせてください。
藤井 まだ来年の開催は決定してはないんです。個人としてはやりたい気持ちはあるんですけど、クリアーできてない問題もあって。問題が全てクリアーになったとしたら開催できるというのが毎年のことなんです。あと、hoshioto以外にも岡山や福山(広島県福山市)でライブイベントを多々やっていきたいなと思っています。地元を活性化する、地元のバンドを活性化するという動きですよね。それを今後もっと頑張りたいなと思ってます。
——それはJOKA FES(注3)も含めてですか?
藤井 (福山市の)JOKA FESもそうですし、まだ構想状況にはあるんですけど岡山の方でもちょっと何かやろうかなと考えています。地元の音楽シーンをもっと盛り上げていこうということで。
——hoshiotoやJOKA FES以外にもこれから新しいことを何かやっていこうということですよね。
| 理想のフェスとは?
——藤井さんの理想のフェスのカタチを最後に聞かせてください。
藤井 理想のフェスといったら、自分自身が一番影響を受けてるのがFUJI ROCK FESTIVALなんです。フジロックって音楽以外の要素もいっぱい入っているのが楽しくて、(僕も)もっと総合的なフェスティバルをやりたいなと。あとは、最近すごくやりたいなと思ってるのがキャンプフェス。キャンプのあるフェスティバルをやりたいですね。
——hoshiotoにもキャンプはありますよね。
藤井 あったんですけど、今年からキャンプサイトをなくさせてもらったんです。会場のキャパの問題だったりとか、いろんな問題が多々あるので。まあ、キャンプサイトも狭かったので、もっと広いところでキャンプしながらのんびり音楽を聴くみたいなのをいつかやりたいですね。フジロックの他にも、自分自身が刺激を受けたイベントで『廃校フェス』(注4)があるので、廃校を使ったフェスティバルもやりたいです。
——岡山にはけっこう廃校があったりするんですか?
藤井 あります。美星町にもあるんですよ、実は。もう会場はあるので、いろいろできるだろうとは思っています。
——音楽以外の要素もというお話しですが。
藤井 音楽と直結するものってけっこういろいろあると思うんですよ。アートだったりとか、写真も含めてだったりするんですけど。hoshiotoでもライブペインティングをやったり、個展もやっているんですけど、もっともっとそういうのをできたらいいなと思っています。あとは環境問題だったりとか、日本が抱えてる問題に対して発信できる場所だったりとかすればいいのかなと思っています。音楽以外が好きな人たちが来ても楽しめるフェスですかね。
おわりに
hoshioto、JOKA FES、さらにはライブハウスで開催される『machioto』など、フェスやイベントを次々に開催している藤井さん。この日もイベントがあり、移動中の僅かな時間を割いてインタビューに応じてくれた。インタビュー中には、新たな動きを構想しているとのお話しもあり、「地元の音楽シーンやアーティストを盛り上げていくために、今後もっと頑張りたい」と語る声に、力強さを感じる事ができた。UROROSは、これからも藤井さんの活動に注目していきたいと思います!
編集部注
星空感
JOKA FES「福山城下音楽祭」
廃校フェス |
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