2015-12-30 21:01

2月来日の台湾バンド、落日飛車(Sunset Rollercoaster)と森林(FORESTS)の國國(guoguo)にインタビュー。中国大陸ツアーの貴重な回想録も

落日飛車

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落日飛車というバンドをご存知だろうか?

2011年にアルバム「Bossa Nova」を発表して以来、台北のインディーズの中で突出した存在のライブバンドであり続けた。皆さんもご存知の方もいるであろうバンド「透明雑誌」とはまた少しだけ違う形で台湾インディシーンを牽引する彼ら。2011年のサマーソニックにもいわゆるアジアステージで出演をしている。ここ数年は活動を休止していたのだが今年大復活を遂げた。現在2ndアルバムのレコーディング中とのこと。

 
バンドの持つ音楽性はいわゆるガレージ、サイケ、JAMなどが混ざり合ったかなり自由度の高いサウンドに國國の芯の通ったボーカルが心地よく響く。こよなく音楽を愛するが故に止むことのない探求を続け、変幻自在なライブパフォーマンスはまさにSunset Rollercoasterという名前通りの、ドラマティックさとロマンティックさを兼ね備えているのである。

 
メンバーは國國(ボーカルギター)、弘禮(ベース)、尊龍(ドラム)、小甘(キーボード)、浩嘉(パーカッション)の5人。ちなみに、國國と尊龍はバンド「FORESTS」のメンバーでもある。

 
※この2人とボーカルのjonの3人がFORESTSであるが、FORESTSの3人とskipskipbenbenのbenbenで「BOYZ&GIRL」というバンドを結成していた時期もあった。(アルバム1枚を発表)

 

BOYZ & GIRL – be my friend

 

今回は、2月に来日が決まった落日飛車、FORESTSの2バンド共のメンバーであり、その他様々なバンドにも関わっている、台湾インディの中心人物である國國(guoguo)へインタビューを試みた。

そして、FORESTSと落日飛車で15年秋に中国ツアーを敢行したのであるが、そのツアー直後ツアー収支の公開(!!)と共に、非常に興味深い考察を赤裸々にSNSに記していた。こちらを本人了解のもと日本語で公開するのでぜひご一読いただきたい。

 

interview & text by Bud Terao

edit by Fuhito Kitahara

 
 

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國國(guoguo)インタビュー

 
 

國國(落日飛車)
國國(落日飛車)

 
 

   自己紹介をどうぞ

 

國國 みなさんこんにちは。私は曾國宏、みんな國國(guoguo)と呼んでるよ。1987年10月生まれ。28歳天秤座。血液型はO型。性格は、積極的かつ楽観的。親切心がある。

 

   音楽に関する来歴を紹介してください

 

國國 母親が敬虔なキリスト教徒で、小さいこと教会で育った。
教会にはいわゆる教会の楽団がいて、中学生のころからフォークギターを弾き始めた。ポップミュージックやロックミュージックに触れたのは高校に入ってからなんだ。
大学に入ってから曲を書いたり、いわゆるオリジナルをやるバンドをやったりし始めて、同時に先生にエレキベースを習い始めたんだ。

 

   その時なんでベースを選んだの?

 

國國 最初はただバンドにベースが居なかっただけなんだけど、ギターの基礎があったのでエレキベースは上達が早かったと思う。

 

   なるほど、それじゃあ聴きたいけど、台湾のいわゆるインディーズシーンについてはどう思ってるの?

 

國國 だいたい、2006.07年の大学生の時にライブハウスに行き始めて、だんだん台湾のインディーシーンがわかるようになった。そのころ知り合ったインディーシーンの人たちが凄すぎて、それが何だったのかを言葉にするのは難しいけど、ライブを見たり音楽を聴いたりする度に、顔をボコボコに殴られるかのような衝撃があった。
ここ数年は、年もそれなりにとったし、今のインディーシーンはあの猛々しい感じは薄れていって、比較的細やかでさっぱりした感じにとって変わられたように思う。多分時代の雰囲気というやつだ。どちらも良いし、作りたい音楽を作って、良くできたらそれでいいと思う。

 

ライブハウスに行き始めた当時に良く見たり、衝撃を受けたバンドはある?

 

國國 地下社会に行き始めた頃は閃閃閃閃,emily, digihai, bitterあたりかな。
当時一番好きな台湾のバンドはemilyで、80.90年代のイギリスのシューゲイズバンドっぽい雰囲気だったな。その影響で自分も80年代のイギリスのバンドをたくさん聴くようになったんだ。

 


閃閃閃閃

 

digihai

 
 

   それでは、自分のバンド「落日飛車」を紹介してください。

 

國國 落日飛車は08年ぐらいに始めて、最初は2人組だった。エレクトロからだんだんとクラシックなロックをやるようになった。11年に1枚目のアルバム「Bossa Nova」を出して、summer sonicにも出演して、その後はメンバーの将来の事でしばらく活動休止をしていた。今年2015年の夏にタイミングが来たと思って、元々一緒にバンドをやってた友達を誘って落日飛車を復活させたんだ。

 

   休止前と休止後の違いはある?

 

國國 メンバーが違う、ということで曲の感じも少し変わってるんだけど、どんな風に変わったのかは自分達でもよくわからないんだ。まぁそんな感じで自然に進んでいけばいいな。

 
 

bossanova
落日飛車(Sunset Rollercoaster)「Bossa Nova」

 
 

   それではもう一つのバンド「森林(FORESTS)」を紹介してください。

 

國國 2011年末にFORESTSは曲を作り始めて、12年に1枚目「the moon is man」14年に2枚目「no fun」を発表した。この2枚はガレージロック風で60年代へのオマージュ的な要素が強かった。15年に発表した3枚目の「dead species」から音楽が大きく変化をして、インダストリアルやエレクトロの音に近づき始めたんだ。

 

   なぜそこまで音楽性が変化したの?

 

國國 本当のところ、自分たちにもわからない。もともとFORESTSでこの曲調はやっちゃダメだとかってことは一切なくて、自然な成り行きでの変化なんだけど、ちょっと変化が激しかっただけだと思う。

 


friend not fan NO.1- Forests -Monolith(新曲Live)

 
 

   ところで、なぜ2つのバンドをやっているの?自分の中でどういう風に整理してるの?

 

國國 実際自分は3つのバンドをやっていて、バンド「來吧!焙焙!」のギターでもある。これは割とフォークやポップ寄りのバンドなんだ。自分としては、3つのバンドはそれぞれ別の方向を向いていて、バンド内での自分の役割は全部違っていて、自分で音楽に相対する毎に視点を切り替えてるみたいだ。

 


來吧!焙焙!── 現場練習:〈金子的心〉

 
 

   では、國國はいつもそこに居るイメージなんだけど、肥頭練團室の紹介をしてください(古亭駅と東門駅の間くらいにあるバンドリハーサルスタジオ)。

 

國國 肥頭は13年末に落日飛車のキーボードの小甘の経営になった。元々ただのリハーサルスタジオだったけど、だんだんいろんな事をするようになってきて、たまにインディーのライブパーティーもやったりする。現地のバンドマンが集まる場所で、森林も落日飛車もここで練習して、曲を作って録音をしているんだ。

 

   制作に携わったアルバム「noWhere」について教えて下さい。

 

國國 「noWhere」はコンピレーションアルバムで、これを録音しようと思ったきっかけは、自分と森林のJONがアメリカで一台のオープンリールレコーダーを買って帰ってきて、練習できる機会を探そうと思ったんだけど、バンドマンの友達に録音してみないかと聞いたら、みんなすごく興味を持ってくれて、前の旧正月休みの期間に全て録音して、2015年3月にレコ発パーティーをやったんだ。

 
noWhere
コンピレーションアルバム『noWhere』

https://foresting.bandcamp.com/album/nowhere

 
 

   海外のバンド(dirty beaches)を招聘したりしてたけど、どうしてそうなったの?

 

國國 自分とALEXはもともと共通の友達が沢山居て、数年前にたまたま彼の音楽を聞いて、みんなすごく気に入って、一昨年の旧正月休みの時にALEXが台北に戻ってきてみんなで一緒に遊んで、一緒にライブをやろうって決めたんだ。
意味という事で言うならば、人と人との関係性があって、それを音楽とライブのこういう(イベントという)形に昇華できるならこんなに幸せな事はないだろうな。

 


Dirty Beaches – “Casino Lisboa”

 
 

   これからもそういうバンドを呼ぶ計画はあるの?

 

國國 dirty beachesはもう活動を止めてるんだけど、Alexは自分の音楽は作ってるけどライブの形態は決まってないんだ。海外のバンド呼ぶのはどうしてもやりたいってことでもないかな。縁だね。

 

   落日飛車は新しい作品を録音中とのことだけど。

 

國國 メンバーチェンジがあって、音の感じは少し変わるけど、落日飛車のロマンティックでスウィートな持ち味はそのままだよ。みなさん期待して

 
 

   こないだの(2015年秋)中国ツアーはどうだった?

 

國國 非常に刺激的だった。みんな生きて戻ってこれたよ。
中国大陸のインディーバンドの書く歌詞は素晴らしく深く、音楽全体の技術的にも、センスも、どんどん発展していて、自分たちの至らない部分に気付かされるほどだったよ。

 

   中国のバンドで好きなのとかオススメはある?

 

國國 carsick cars、吹萬、工工工だね。

 


Carsick Cars

 

吹万

 
 

   そして日本のインディーズはどんなイメージかな?

 

國國 日本のインディーはかなり多様的で、かつあらゆるシーンにおいて、ミュージシャンもファンもプロフェッショナルである。厳格さ故なのかどうかはわからないが、台湾に来る日本のバンドは大体ものすごく真面目で、心から尊敬しているよ。

 

   今回の日本ツアーに期待する事は?

 

國國 今回のツアーの目標は、メンバーみんな無事に出発して、無事にツアーを終えて、無事に家に帰る事。ツアーの途中で、自分達の音楽を通じて、同じ感覚を持った友達と知り合えたらいいな。

 

   それじゃあ最後に日本のファンに向けて一言お願いします。

 

國國 落日飛車も森林もみんな日本ツアーを相当楽しみにしてるから!お楽しみに!

 

FORESTS & 落日飛車 JAPAN TOUR 2016

 
FORESTS&落日飛車 JAPAN TOUR 2016

 
2/19 東京 青山月見ル君想フ w.OGRE YOU ASSHOLE
2/20 東京 TBA
2/22 東京 青山月見ル君想フ w.あらかじめ決められた恋人たちへ / and more…
2/23 名古屋 TBA
2/24 大阪 CONPASS w.psybava / and more…
2/25 京都 GROWLY w.yoji & his ghost band / and more…
2/27 京都 京音-KYOTO-

 
☞ 次のページは、國國(guoguo)による中国大陸ツアー回想録


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