凛とした冬の寒さが似合うバンド、FINLANDS | 特別寄稿
明けましておめでとうございます。三度の飯よりロックンロールが好きなライター・イシハラです。
街はすっかり正月モードに突入し、まだまだ寒い季節が続きそうですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?今回は、こんな時期にぴったりのバンド『FINLANDS』を紹介します。
FINLANDSは塩入冬湖(Vo,Gt)とコシミズカヨ(Ba)が2012年に結成したバンドで、ふたりはTHE VITRIOLという前身バンドから一緒に活動をしてきた仲だそう。2015年、オーディション企画「出れんの!? サマソニ!?」の審査を通過して「SUMMER SONIC 2015」に出演したことをきっかけにシーンから注目され、昨年7月には1stフルアルバム「PAPER」をリリース。「TOKYO CALLING 2016」、「MINAMI WHEEL 2016」などの各種フェスへの出演などを経て、yonige、the peggiesなどとともにガールズバンド戦国時代の注目株になりました。
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公式HPのトップに表示されていた「ウィークエンド」を再生すると、飛び込んできたのは、光線のように鋭い塩入の歌声。
FINLANDS 「ウィークエンド」Music Video
叫んでいるようで、咽び泣いているようでもある。そう、例えるなら真冬の朝の空気が鼻の奥をツンとさせるような、あの感覚に似ている。なんだか無性に泣きたくなってしまう。そしてそんな気持ちをそっと包み込んでくれるのは、コシミズのベースライン。控え目だが、曲の輪郭をしっかりと浮き彫りにしてゆくような、丁寧さと緻密さがある。そんな彼女たちの作る音楽は明確なメロディーと塩入の歌を中心に構成された、ポップスよりの王道のギターロック。けれども決して没個性ではないのは、そこに彼女たちならではの刺激的なスパイスが加わるからだ。
塩入の歌声も然る事ながら、思わずハッとさせられるのは、歌詞だ。個人的には「クレーター」の〈映画を見ましょキスをしましょ/せっせとさっさと愛し合って/戦略なんかは忘れてしまえ/最後になったらお前と一緒に塵になる〉と「ウィークエンド」の〈金輪際醒めないなんて/残酷な完璧幻だった/駄作なら今晩私でいいわ/あなたと失敗したい〉という一節にやられた。日本語の持つ硬質さを巧みに操り、曲の感情に立体感を出している。けれども、重苦しくならないのは、先にも書いたメロディーの秀逸さゆえだ。
FINLANDS「クレーター」Music Video
歌モノ、ギターロックが飽和状態とも言える今、敢えてそのど真ん中で勝負をかける意志の強さと、良い意味での頑固な心意気。夏フェスでも頑なにモッズコートを着込んで演奏したことも、そういう確固たる信念の表れなんじゃないかと思う。凛とした冬の寒さが似合うバンドでありながら、着ぶくれた奥底にしまわれたハートはこの上なくアツいものなのだろう。時折垣間見えるその熱がまた、たまらない。
みなさま、寒い冬のお供にぜひ、FINLANDSを聴いてみてはいかがでしょう。
ツーマンライブツアー「FINLANDS WORLD 2MAN TOUR〜2017〜」 |
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