第7回 ネモトラン | 【番外編】食品CM分析〜梅干し編〜
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
コロナ禍でなかなか外へ出かけて食レポというのも難しい状況なので、部屋にいながらできることはないかなと思っていたところ、おもしろいローカルCMを見つけました。
なので今日はそれを紹介したいと思います。以前やった「生ハムドットコム」と同様、「番外編」としてお届けします。
★岡畑農園(おかはたのうえん)お歳暮CM編
ご紹介したいのは、「岡畑農園」という紀州の梅干し会社のCM「お歳暮」編です。
テレビ神奈川でとある番組を録画して見ていましたところ、突如このCMが流れてきまして。。。なんだ今の?とリモコンで巻き戻し、何度もリピート再生して見ました。しかし何度見ても不可解でどういう意味なのか?さっぱりわからず、なにがどうなってこのCMができたのか?どのようにプレゼンしたらこの内容でGOがでたのか。。。多少なりとも制作する側の仕事もしている私としてはすべてが謎すぎるCMでございました。。。
この謎すぎるCMを、順を追ってみんなで見ていきましょう。
実際の映像の画像を転用するのはいけませんので、私のイメージイラストにてまずは説明します。イメージ膨らませながら読んでみてください。
①まず、いきなりカメラ目線で女の子が出てきます。
赤いかぶりモノ、赤いワンピースを着ています。梅干しなのでしょうか。たぶん梅干しなのでしょう。梅干しだとします。。音楽はピアノでリストの「ラ・カンパネラ」が流れています。ちょっと切ない感じです。
②するとその女の子がいきなり畑を耕すシーンになります。
音楽のせいもあるのでしょうか、物悲しい雰囲気が漂っており、楽しそうというより「働かされてる」ように感じてしまいます。白い作業着と長靴を履いてます。鍬(くわ)が重たそうで、一振りするだけでも、女の子はやっとのことで振り下ろします。これがさらに「重労働」感を出しています。うしろに同じ赤いかぶりモノをしている作業員が他に5人います。これはいったい何のシーンでしょうか。梅干しを作る工程なのでしょうか。だとしたら、どの工程なのでしょうか。作業員のみなさんが梅のかぶりモノをしているので、もし作っている人が「梅」の設定であるならば、「梅」が「梅」を作っている。これは所謂「共食い看板」
(トンカツ屋さんの看板に豚のキャラクターがナイフとフォークを持っているような看板のこと)と同じことになってしまいますね・・・謎ですね。
③ここで冒頭のシーンの引き絵が差し込まれます。
謎です。。。女の子はカメラを見つめて立っています。
④そして突然、女の子がトラックの後ろで倒れ込んでいるシーンになります。徐々にトラックが離れていきます。
音楽はずっとリストの「ラ・カンパネラ」が流れています。女の子は道に倒れ込み、トラックに手を伸ばしています。これが悲しいのか、悔しいのか、わかりませんが、トラックに対して「いかないでー」というように手を伸ばしていることだけは確かです。ここでナレーション「もうすぐ、あなたの、もとに・・・」と女の子の静かな口調で挿入されます。
これもまったくわからないシーンです。トラックの上になにやら乗っかってますね(後ほど解説しますが、彼の名は“梅岡さん”です)。
このシーンを憶測で考えてみますと、
考察①大切に育てた梅が出荷されてしまうことへの悲しみの場面。
考察②自分も梅なのに出荷するトラックに乗れなかった悔しさの場面。
なのかなと。。。でもしかし、まず①で考えると、梅が梅を育てているわけで、関係性としては「人と梅」ではないわけです。なので例えば「養豚業者が手塩にかけて育てた豚ちゃんを売る時の悲しみ」というようなことは設定的におかしいですね。豚が豚を育てて、豚が豚に悲しんでるってことですもんね。で②で考えると自分も梅であるから出荷されたかったわけですが、ここでもやはり、梅を作る作業員を梅にした設定がよくわからなくなりますね。これも育てる側と育てられる側の線引きが無くなり設定が崩壊します。①でも②でもシックリこない。。で、よく見るとトラックの荷台が空で何も乗ってません。そもそも私の考察はまったく間違っていて、トラックの上に乗っかっている「梅岡さん」への別れを惜しむシーンなのかもしれませんね・・・謎。
⑤ここでさらに、引いた引き絵が差し込まれます(エンディング)。
これラストシーンです。もはや女の子を探すのが困難。なんなんでしょう、この3段階に分けたズームアウト。そしてここはどこ?農園なのでしょうか。たぶんそうです。
⑥商品カット
⑦検索シーン
「詳しくはオカハタで検索」とナレーションあり。ここでCMは終わります。いかがでしょうか。謎だらけのCM。
さあ、ではここで、おまちかね、実際の映像を見てみましょうね!
YouTubeでご覧ください。W
ではもう一度、解説を振り返りながら、ご覧ください。
どうでしたか??
やはり謎ですよね??
さあさあ、、こうなると色々と調べてみたくなりますよね。
ネットで調べてみました。
まず会社は、和歌山県にある昭和43年創業の老舗梅干し屋さん。「天日干しハウス」と漁網を改良した「収穫用防風ネット」を開発したのはここの創業者さんらしいです。低塩化に成功し甘いフルーツのような商品「幻の梅」が大ヒット。ホームページもしっかりしているし、こだわり、衛生、品質管理も徹底してます。
そしてこのCMの女の子、誰なのか。
岡畑農園の梅娘こと、森崎仁貴(モリサキニキ)さんです。
ツイッターで出てきたのですが、声優のお仕事をしながら、しっかりキャンペーンガール(梅娘)としての仕事もしていて、岡畑農園のキャンペーン会場などいろいろなところに出向いてちゃんと宣伝してます。
https://twitter.com/morisakiniki
岡畑農園はオリックスバッファローズも応援しているらしく、森崎さんは始球式にも出ていました。私が知らないだけでオリックスファンにはお馴染みなのかもしれません。
(看板まで出している)
また森崎さんのツイッターを見ると、犬猫などの動物や、昆虫、カエルなども好きなようで、いろいろな写真を見る限り、きっといい子です。
また、さっきからちょいちょい出てきていますが、マスコットのようなキャラクター。これは岡畑農園のマスコットキャラ「梅岡さん」です。なぜかネクタイしてます。
ここまで、私はいろいろと好き勝手書いていますが、 ただCMを見ただけで書いているんじゃフェアじゃありませんよね。
なので、実際に買ってみました。
人気No1の「幻の梅」を。
https://okahata.com/SHOP/151232/150153/list.html
そして、「手乗り梅岡さんストレスリリーサー」もついでに。笑。
https://okahata.com/SHOP/150872/99574/list.html
そして数日後、届きました。
高級感あふれる入れ物に入ってました。
梅岡さんもいっしょに。
さっそく食べてみると、本当にフルーティ。デザートのような甘さとほんのりすっぱいバランスが絶妙にハーモニーしておりました。美味しい。2〜3個すいすい食べられてしまいます。
色艶もいいですね。ジューシーでみずみずしい。でも、たまたま和歌山県出身の知り合いがいたので、この梅のことを聞いてみると「すっぱくない梅干しは梅干しじゃ無い、邪道だ!」「甘いのは他県向けや!」という人もいるみたいです。派閥がいろいろあるみたいですね。で、その人に「本物はこっちだ!」と勧められたのがこの梅干し。
食べてみました。
こ、これは、めちゃくちゃものすごく「すっぱい!!!」
顔がおじいちゃんになるくらいすっぱかったです。横浜生まれ横浜育ちの私としては、1つ食べるのに体力を消耗してしまうくらい、きょーれつでした。笑。
岡畑農園のほうが私には良かったですね。
さてさて、というわけで話をCMに戻しますと、、
なにからなにまで謎だらけだったわけですが、結局、1つシックリくる仮説としましては、「なんなんだ!このCMは??」と思わせて興味を持たせる手法。を用いたのではないか、ということ。現に私は、興味をそそられ、あげく注文して、いらないストレスリリーサーまで買ってしまっています(失礼。笑)。
で、結果、美味しかった。CMの勝ちですよね。
もしくはちゃんと正解があるのなら、岡畑農園の広報の方、CM制作会社の方、もしくは絵コンテを描いた監督さん、教えてください。あの3段階に分けたズームアウト、作業員のシーン、トラックの後ろで倒れこむシーン、ぜんぶ「なんなんですか?」って正解を聞きたいです(こちらまで→info@uroros.net)
最後になりますが、
トラックの後ろで倒れ込んでいるシーン。CM中に、梅娘こと森崎さんの苦痛の表情が一瞬アップになります。
ちょっとそこでYOUTUBEストップして、彼女の表情見てください。
特に
下あごみてください。
みなさん、この顔って、できますか?
「悔しがってください」or 「悲しんでください」と監督に言われたのでしょう。
で、この顔できます?
きっと、いい子です。
(終わり)
ちなみに美味しい梅干しを提供するわけではありませんが、こうした良きお店と同じくお客様を楽しませるライブをネモトラボルタはしております。とはいえ、この状況ですので、無観客による配信ライブとなります。日程は本日8月1日(土)19:00〜スタート。個性派3バンドが登場し、トークあり、ライブあり、笑いありの2時間。配信ですので全国どこからでも見れます。和歌山の岡畑農園の方々も見てくれるといいな!笑。ぜひお時間ある方は覗いてみてください。
|
ご意見、ご感想、こんなお店もあるよ!と紹介してくださることは大歓迎です。こちらまでお気軽に!→ nemotaurant@uroros.net
また、このコラムは私が行けるときに自腹で行っております。
皆様の応援もお待ちしております。
こんなお店あるよ〜おいしいよ〜のご紹介……無料 ただ単にこのコラムを応援したい!……2000円(サイン付き生写真差し上げます) ここすごいマズいけど行って来て!……1万円 関東じゃないけど土日でさくっと行って来て!……5万円 海外のお店だけど行って来て!……30万円 |
関連記事: