2015-12-02 20:00

第八食『後楽園・ブーランジェリーマリーレンのバナナタルト』| 食漂譚~バンドマン東京グルメ紀行~

kuihyoutan008


第八食『後楽園・ブーランジェリーマリーレンのバナナタルト』

text & photo by 淋梅毒(Super Ganbari Goal Keepers)

 

フランスで悲しい事件が起きた。この連載では一つだけ書く。

 
『やられたらやり返す』は、ドラマの中だけにしよう。国同士でそれをやってしまうと、必ず市井の人々が犠牲になる。しかし、「断固としてテロを許さない」「各国が一致団結するときだ」といった勇ましい言葉はともすれば暴走し、報復につながってしまう。

 
なんとか今回の事件で生じた憎悪が、世界中で連鎖しないことを祈るばかりだ。

 

写真1

 

以前の連載で大学時代の後半は池袋ー御茶ノ水間を自転車で通学していたという話を書いた。今回はその道中に見つけたパン屋についてだ。

 
僕はパン、もといパン屋が好きだ。生まれた時から朝はパン派で、現在の生活でも目玉焼きやサラダを作る時間はないが、パンと牛乳だけは毎朝摂っている。家にストックがない時は、職場への道中にある春日部のAZという老舗かココストア春日部南栄町店に寄って総菜パンを買って食べる。ちなみにココストアというコンビニは手作りパンを店内で焼いており、他の有名コンビニより味が一つ飛び抜けている。郊外に在住の読者には強くお薦めしたい。

 

写真2

 

僕は上京してから大宮→池袋→所沢→春日部と、数回の引越を重ねた。新天地に居を移してまずやることは、練習スタジオや楽器店を探すことではなく、パン屋を探すことだ。

 
パン屋という存在に、僕は大変愛おしさを感じてしまう。

朝日が出る前から準備をする店主。パートのおばちゃん。開店して間もなく、焼き上がったばかりのパンを求めにくる若い母親から年老いたおばあさん。昼食用に総菜パンを買いに来るサラリーマンやOL。夕暮れ時、小腹を満たすために菓子パンを買って行く学生たち。日が暮れ、ほとんど空になったトレイを見ながら店員は明日に備える。

 
街の人々の生活サイクルにパン屋が組み込まれており、穏やかな営みが繰り返されている。そのようなことを想像し、どんな店を訪れたとしても「パン屋っていいものだよなあ」と勝手に一人で感動している。

 

写真3

 

パン屋さんの種類も今では多い。焼きそばパンやチョコペンでドラえもんなどのキャラクターを描いたパンを売っている昔ながらの店。無添加・天然酵母をうたった店。ドイツパンやライ麦パンを置く、ハード系の店。

 
最近では100円パンの店として関東エリアで店舗を拡大している鎌倉ベーカリーや、『腐る経済』という書籍がベストセラーの岡山のタルマーリーという店をよく耳にする。

 

写真4

 

今回紹介したい店は、ジャンル分けするとすれば『洋菓子系パン屋』といった言葉が適当だろうか。小ぶりで、シロップでつやつやとした表面の、宝石のような菓子パンの数々。この後楽園のブーランジェリーマリーレンには、小ぢんまりとした店内に少数精鋭の洋菓子系パンが並ぶ。その中でも一際目を惹くのが、「とろり蜜バナナ」という商品だ。絶品という言葉、普段はほとんど使わないので気恥ずかしいが、これは絶品と言うにふさわしい一品だ。

 

写真5

 

このバナナタルトは初めて食べる味だった。バナナケーキとも違う。薄く輪切りにされたバナナが、生地の中央に敷き詰められ、蜜がたっぷりかかっている。強めのレモンの酸味が味を引き締めており、甘さはしつこくない。バナナの素材の良さと、生地のさっくり香ばしい味が活きている。

 
贅沢な悩みがある。蜜がタルト生地からこぼれやすく、気がついたら服の袖がすぐベトベトになってしまうのだ。

 

この味、発明です。

 
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次回は、「金町・レコーディング中の出前中華」をお送りします。

 

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お知らせ

コラム『食漂譚~バンドマン東京グルメ紀行~』は、毎月1日と15日をめどに更新する予定です。

 

umezawa

 
淋梅毒(りん・ばいどく)
1986年富山県生まれ。Super Ganbari Goal Keepersのドラマーとして活動中。
学生時代はドキュメンタリー監督・森達也の元で4年間メディア・リテラシーを学ぶ。
https://twitter.com/officeRBD

 
SGGK

 
Super Ganbari Goal Keepers(スーパーガンバリゴールキーパーズ)

2011年に結成。略称SGGKとして都内で活動中。
アルバム「Cang Gang Pops(宦官ポップス)」が流通盤として、各レコード店で販売中。草食系にすら食われてしまう、植物系ロックバンドとして、音楽雑誌「SGGKマガジン」を作ったり、SODクリエイトの人気AV「しゃぶりながらシリーズ」に楽曲が採用されたりと、独自の活動を続けている。

現在OTOTOYで両A面シングル「レコードコレクターズ / 世界は俺を中心に終わっている」の配信と、特設サイト「SGGKメンバーが影響を受けた50枚」を公開している。

 
SGGK 公式サイト:
http://sggkeep.flavors.me/

twitter:
https://twitter.com/sggk_ganbari



SGGK代表曲「植物人間系男子」PV

 

ライブスケジュール

SGGK年内ファイナル企画
カンガン・ポップ・フェスティバル

日時:2015年12月27日(日)
会場:東高円寺UFOクラブ
競演:未定





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