2019-07-13 18:00 Fuhito Kitahara

柳本小百合、最新アルバム『てぃんとんてぃんとんてぃんとん』の本人全曲解説を公開。ピアノ弾き語りを逸脱した新感覚ポップ作品

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柳本小百合が、今年4月に発売した2ndアルバム『てぃんとんてぃんとんてぃんとん』の全曲解説を公開した。

 
柳本小百合は2010年からライブ活動を開始したアーティストで、パフォーマンス性のあるピアノ弾き語りスタイルで活動。ライブと並行して、舞台公演への出演、即興演奏、他分野のアーティストとのコラボレーション、楽曲提供、サポートピアニストなど、ピアニスト/作曲家/パフォーマーとして意欲的に活動している。

 
今作は、アバンギャルドでクラシカル、シアトリカルな曲調に、日常と夢を行きつ戻りつするような独特な歌詞が魅力の新感覚ポップ作品。ピアノ弾き語りを逸脱した自作自演の集大成的アルバムだ。

 
これまでに公開されているミュージックビデオ、ライブ映像、試聴音源と合わせ、本人よる全曲解説をチェックしてみよう。

 
 

柳本小百合によるコメントが発表された。

今更ですが柳本小百合本人によるアルバム「てぃんとんてぃんとんてぃんとん」全曲解説です。
普段ライブのMCでは絶対に語ることのない赤裸々解説。 
今年4/3、全国流通となりましたアルバム「てぃんとんてぃんとんてぃんとん」。
発売から少し経た今、改めてじっくり聴いていただけたら嬉しく思っています。
まだお手元にないという方々、この機会に是非!
今回の記事をご一読いただいて、興味を持ってくださったら嬉しいです!

 

柳本小百合 2ndアルバム『てぃんとんてぃんとんてぃんとん』全曲解説

 

1.ちょっきりさん

ちょっきりちょきちょきちょっきりちょん
ちょっきりさんのお部屋には西日が射す
小さな部屋に、赤いちゃぶ台の前に、ひとり、座っている。 
ちょっきりさんのところには、沢山の仲間が、野を越え山越え、ひっきりなしに、やってくる。
オーライ、オーライ。 
さてちょっきりさんとは。 
他ならぬ、私自身がモデルです。
その当時、赤い折りたたみ式ちゃぶ台もありました。
前髪も自分でちょきちょき切ります。
もちろんあくまでほんの着想のきっかけですが。
勢いが良いので、アルバムを一気に駆け抜けてもらおうと、一曲めに持ってきました。
気がつけば、年々タイム(演奏時間)の記録更新をしています。

 

2.チャイのうた

3月11日の震災後間もないとき、私はとある不思議なチャイのお店に、ふらりと引き寄せられました。 
もしかしたらチャイのお店、ではなかったかもしれません。
なんだかとても不思議な、可愛らしいお店でした。
また別の思い出で、ある時期よく南インドカレーのお店に仲間と足を運んでいました。 
そこではダイナミックにチャイを注ぐ儀式のようなものが行われました。 
ふたつの思い出と、チャイという魅惑的な飲み物に惹かれて、こんな歌が出来ました。 
もともとは「おかっぱ~ず」という、朗読と音楽のユニット用に作った作品です。 
歌の前に自作の朗読を入れていました。
また、ひとりでも録音付きで、やってみようかなと思います。

 

3.王様とわたし

バロック時代の宮廷音楽のような雰囲気の漂う歌にしたい、と思って作った曲です。 
作曲当時、時々ライブにドラマーの渡部正人さんに入っていただいていて、大太鼓「バスドラム」がドーン ドーンと鳴るイメージ前提でした。 
私の曲の中ではあっさりしていて、でも歌いにくい。 
いつの間にかチャイの歌とセット感覚になっています。

 

4.オムライスシャンソン

この曲、本当にどうして出来たのだろう。 
思い出せません。
オムライスは非常に好きです。 
だから自然と生まれた曲なのかもしれません。
冒頭で、お玉とフライパンを打ち鳴らしながら、ライブでは即興パフォーマンスをし、その後お玉を口にあてがい、ワオワオ言わせます。
奇抜なことをしようという気持ちはなく、現代音楽、コンテンポラリーダンスという分野を通ってきた私にとって、日用品で音をだしたり、それらを使ってパフォーマンスを行うことはあまりにも自然な流れでした。 
ライブ活動初期、なんの疑問もなく自分の作りたいものを作っていたら、なんだか面白がられて逆に驚いていました。 
そんな作品です。 

 

5.タネ

この曲がどのような着想を経て出来たのか、全く思い出せません。 
タネがころころころがりながら旅をする、まさにそのままのイメージ。 
曲調がかわる「ダンス!ダンス!」の原始的なシーンが気に入っています。 

 

6.てぃんとんてぃんとんてぃんとん

解説を書きながら、曲が出来た着想など殆ど思い出せないということが解ってきました。 
「てぃんとんてぃんとんてぃんとん」
って、一体何だろうか。
だがしかし、アルバムタイトル曲にするほどの、私にとって大きな曲となりました。 
語感を大事に、言葉を音と捉えて曲を作っている私の作風が盛り込まれている作品と言えます。 
多重録音を行い、ピアノ、声、タンバリン、トライアングルを重ねました。

 


柳本小百合 / てぃんとんてぃんとんてぃんとん(Audio)

 

7.サバいてよ

言葉遊び満載、ピアノで大暴れ、まさに、私の代表曲です。
この曲も、当然ながら、奇をてらうつもりはなくごく自然に出来上がりました。 
サバサンドという食べ物を知って間もなく、出来た曲です。 
「鯖」、「捌く」、「裁く」、フランス語の「ça va」と連想ゲームのような感じで思い描き、気がついたら完成して手元にありました。
発表初期の頃はライブハウスで演奏するたびに驚かれたり笑いがおこったりすることに、私自身が一番驚いていました。
自分のことを客観的に見ることが出来ず、もがいていた日々を経て、この曲と共に成長してきました。
この曲も多重録音を行いました。
ピアノ、声、ヴァイオリンを重ねています。
現在MVを作成中です。

 


柳本小百合 / サバいてよ(Audio)

 

8.さいしゅう

箸休めのような曲。
とびきり音数を減らし、ミニマムにしようという意図があったように思います。
昆虫採集の採集と、終わりの最終をかけています。

 

9.トースター

実家では朝ご飯は必ずパンでした。 
トーストした食パン、サラダ、チーズ、目玉焼き、などなど。
カリカリに茶色くなるまで焼いて、マーガリンなどはつけずに蜂蜜を塗るのが好きでした。
家を出てからは、自然と腹持ち重視のご飯派になり、トースターの無い生活が続いています。
MVでは、食パンになっています。
是非見てください。

 


柳本小百合 / トースターMV

 

10.夜のこどもたち 

今となってはなんだかとてもお気に入りの曲。
大概ライブの終盤に演奏するので、アルバムでもそのように位置取りました。
演奏していると、暗闇に白くフワフワと揺らぐ子供のような何かがたゆたっているイメージが湧きます。
このような尺の長い曲はだいたい、パズルのように断片を作ってゆき、組み合わせて完成させています。

 


柳本小百合 / 夜のこどもたち(Live)

 

11.きゃべつ 

ボーナストラック的に聴いていただけたら、と思っています。 
ライブで演奏する際には、最後にだんだんと速度を増した勢いでライブハウスの外へと飛び出していくのがお決まりです。 
飛び出していったあと、どんな空気が漂っているのか、感じることが出来ないのがとても残念です。 
この曲だけは実は私の完全なオリジナル詞ではありません。 
ダンサーの羽太結子さん、タップダンサーの米澤一平さんと3人で短いダンス作品を発表した際に、羽太さんのアイデアから生まれたものです。 
「きゃべつって、剥いても剥いてもきゃべつだよね。」
といった言葉から何かしらの羽太哲学が基盤となっています。 
歌詞に出てくる日付は3人の誕生日ですが、私の誕生日だけ語呂が悪かったので変えてあります。 
MVはアニメーションになっています。

 


柳本小百合 /きゃべつMV

 
 

 
柳本小百合『てぃんとんてぃんとんてぃんとん』

発売:2019年4月3日
価格:2,000円+税
レーベル:Chokirecord

Amazonでみる
TOWER RECORDS ONLINEでみる

収録曲:
1. ちょっきりさん
2. チャイのうた
3. 王様とわたし
4. オムライスシャンソン
5. タネ
6. てぃんとんてぃんとんてぃんとん
7. サバいてよ
8. さいしゅう
9. トースター
10. 夜のこどもたち
11. きゃべつ

 
録音、ミックス、マスタリング:内田典文
アートワーク:suppa micro pamchopp
協力:さかなのこぼね、谷口マルタ正明

 



 
柳本小百合

高校・大学で作曲を専攻。
大学在学中より現代音楽の作曲と平行してコンテンポラリーダンスの作品を発表。
2010年7月よりピアノ弾き語り、パフォーマンス性のあるライブというスタイルで活動を開始。
2013年、2014年に参加した千代田芸術祭音部門では審査員から好評を博し、元NHKアナウンサー堀潤氏が運営する「8bitNews」の記事にもその模様が掲載された。
2018年、坂本龍一氏がナビゲーターをつとめるラジオ番組「RADIO SAKAMOTO」のオーディションコーナーで、連続して作品が放送される。
U-zhaan氏、長嶋りかこ氏の全員一致で選出される。

ソロライブと並行して、舞台公演への出演、即興演奏、他分野のアーティストとのコラボレーション、楽曲提供、サポートピアニスト等、ピアニスト/作曲家/パフォーマーとして意欲的に活動している。


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