整骨院が主催の音楽フェス!『林整骨院音楽祭2017』ライブレポート&フォトが到着
11月3日(金・祝)に開催された音楽フェス『林整骨院音楽祭2017』のオフィシャルライブレポート&ライブフォトが到着した。
初開催の “林整骨院音楽祭2017” 6アーティスト出演の中 大盛況で終幕!
text by Mami.W
photo by kontroller
2017年11月3日 レコードの日、栃木県宇都宮にて新たな音楽イベントが誕生した。イベントのタイトルは、「林整骨院音楽祭2017」。そう、主催は”整骨院”という他に例を見ない異色のフェスだ。
栃木県真岡市にある林整骨院の副院長 林世詩成(よしなり)氏が立ち上げたこのイベントは、栃木にいる音楽好きがもっと気軽に集まりライブを楽しんでほしいという思いから立ち上げたイベントである。複数人での参加の場合チケット代が割引かれるグループ割や、遠方からの参加や子育て中の方が参加しやすい様に昼帯の開催であったり、と生活の中に根付く音楽イベントを行いたいという意図が随所に含まれている。
以下、「林整骨院音楽祭2017」出演の6アーティストのレポート。
FEED
「イベントの幕開けは地元の僕が1番カッコいいと思ってるバンドに出てほしい!」という主催林氏のリクエストに答えた、宇都宮中心に活動する”FEED”がトップバッターに登場。挨拶がわりに1曲目から新曲でスタートし、会場をFEEDの音楽で染めていく。3曲目には今年5月にリリースされたシングルより「you are (not) alone」を披露。耳残りが軽快で心地いいギターのリフ、リズムを支えつつもしっかりとした存在感を示すベース、湧き上がるように駆り立てられるドラムとパーカッションの音、FEEDのサウンドは静と動を自由自在に操る。
宇都宮のバンドとしてトップバッターに相応しいインパクトを残し、FEEDのライブは終了した。
小林うてな
続いて登場したのは、ソロアーティストの活動と平行してD.A.N.のライブなどにサポートでも活躍する”小林うてな”。彼女が登場するや始まった演奏の1音目から、会場の雰囲気が一気に変わる。それほどまでに、彼女がもつ独特の雰囲気に強さを感じる。
2曲目に「ILA」を披露。重なり合う音に観客が自然と身体を揺らすとそれが合図かのように曲調が変わり、彼女の重厚感のある音楽の扉が開き始めた。自分が彼女の奏でる音楽に誘われているのか、自分の深層部分に彼女の音楽が流れ込んでくるのか、もはやそんな線引きがわからないほどフロア全体が彼女の世界だった。最後に「ono」を披露し、小林がステージを去る。
フロアのライトが付き現実世界に引き戻されてもなお、頭の中は彼女の紡ぎ出した妖艶な世界の余韻に浸ったままだった。
DALLJUB STEP CLUB
いよいよ宇都宮での初ライブとなる、”DALLJUB STEP CLUB”が登場!
森心言(Vo/Syn)の掛け声から、今年7月にリリースされたアルバム『CHECK THE SHADOW』より「C.T.S」でスタート。重低音で鳴るBENCH.(Ba)とGOTO(Dr)のリズムが体を駆けぬけていき、星優太(Fx/Vo)のサンプリングで作り出す刺激的なエフェクトが楽曲のキレを加速させる。
「整骨院が音楽イベントをやるなんて未来的、まさに「Future Step」!」と始まったキラーナンバー「Future Step」は、バウンスするリズムとグルーヴがまるでDSCの4人がリズムで会話をしているかの様な一体感を生んでいく。
最後に披露されたのは「Pizza Pizza」。低音が体を駆け抜け、否応無くDALLJUB STEP CLUBが魅せるリズムに体が乗せられていく。縦横無尽にはねるリズムとサウンドはフロアの沸かし、HEAVEN’S ROCK 宇都宮を躍らせた
speaker gain teardrop
広島を拠点に活動するギター・ベース・ドラムからなるスリーピースバンド”speaker gain teardrop”が登場。美しい浮遊感のある音世界、スリーピースとは思えないほどの重層的なサウンドが創りだされていく。静から動へ移り変わる力強さも、また動から静へと移り変わる寂寥感も全てをこの紡ぎ出すspeaker gain teardropの音世界の1音1音に陶酔させられる。
「僕らのアルバムをお店で流していることをTwitterで知ってそれから繋がった」と今回のイベントに出演した経緯を話した後、ライブの最後に「snow gullies」を披露。最後の美しい轟音1音までもが自分自身を昂らせ、彼らが去った後もフロアは多幸感で満ちていた。
Vampillia
ステージ転換時に黒のカーテンでステージが隠される中、聞こえてくるギターの音やドラムのリズムに期待感が煽られ、今か今かと始まりを待つ観客。赤の光に包まれて、ついに”Vampillia”の幕が開いた。この日は吉田達也、竜巻太郎のツインドラムセット編成。とめどないドラムの轟音と嵐の様な怒涛の激しさと疾走感のある演奏の中に、時にヴァイオリンがメインメロディを、時にピアノが美しい旋律を奏でて観客を酔わせていく。「Endless summer」では、モンゴロイドの煽りや表情から心を震わせた観客がついにモッシュが始めた。(主催の林氏も、そのモッシュの渦の中で持ち上げられていた…!)
曲が進むごとにVampilliaと観客が、HEAVEN’S ROCK 宇都宮全体が一丸になってくるのを感じる。
ここでモンゴロイドの呼び声に応えて、ゲストがアナウンスされる。ステージ上に戸川純が現れると、会場からは騒めきと共にボルテージがさらに上がっていく!「好き好き大好き」「NOT DEAD LUNA」の2曲披露。溢れ出る思いを振り絞り歌声に変える戸川純と、前に出過ぎずそれでいて新たな風を送り込むVampillia。ただでさえVampilliaのライブで客席の熱は上がりきっているはずなのに、とどまることを知らず熱量は膨らんでいき、HEAVEN’S ROCK 宇都宮を熱狂の渦に巻いた。
勝井祐二(from ROVO)
黒い幕がゆっくりと開き、今日このイベントの最後のアクトである”勝井祐二”が現れた。静寂に包まれたステージでヴァイオリンを静かに響かせ始め音をループし重ねていく、その繊細で緊張感のある音作りの様子を息を飲む様に見つめていたが、気づけば勝井が作り出す音楽の渦の中にいた。
電子音のような音色が重なったかと思えば伸びやかなヴァイオリンの音色に戻ったり、と無数の音の粒たちが会場全体を走り回り、次々に表れる曲の展開に観客は惹きつけられる。
25分もの即興演奏が終わった後、Vampilliaのドラムとして登場していた吉田達也を呼び込み、最後にスペシャルセッションが行われた。吉田の隙間なく刻まれるドラムの音に、勝井はリズムを縫う様に音を重ねていく。そのセッションに圧倒される観客。刻々と変わるリズムと音の色。
絶え間なかったヴァイオリンとドラムの音の往来がふっと消えて、残ったのは余韻だけだった。
番外編
ライブパフォーマンスの他にも、ロビーではFOODと整体が展開。FOODには栃木県内の人気店であるジラフと竹末が初めてコラボ!カリカリの麺にあんが絡み桜エビの風味が香ばしく、開場してすぐ長蛇の列が出来上がった。
また会場の一角を仕切って開かれた整体は10分で整体を体験できるということもあり、ライブとライブの間にはひっきりなしにお客さんが様子を伺いに来ていた。
フェスが多く誕生する昨今。主催者のこのイベントにかける思いがこれほどまでにダイレクトに参加者に伝わるイベントは、他にないかもしれない。それは出演アーティストの素晴らしいライブアクトにも表れていたし、イベントに散りばめられた様々な試みが参加者を笑顔に変えていた事にも表れていたし、何よりもこのイベントを誰よりも楽しんでいたであろう主催者の後ろ姿にも表れていた。
今回初めて立ち上がったイベントが今後も続き、そして宇都宮の音楽シーンにどんなアーティストを巻き込んでいくのか、今から次回の開催が楽しみである。
日程:2017年11月3日(金・祝)
会場:宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
出演:
DALLJUB STEP CLUB
FEED
speaker gain teardrop
Vampillia
勝井祐二(ROVO)
小林うてな
FOOD:
ジラフ竹末コラボ
整体:
石神井ハードコア整体
撮影:
kontroller
フライヤー:
惣田紗希
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