第十七食『高田馬場・雀荘のカレーライス』| 食漂譚~バンドマン東京グルメ紀行~
第十七食『高田馬場・雀荘のカレーライス』
text & photo by 淋梅毒(Super Ganbari Goal Keepers)
麻雀を初めて覚えたのは大学1年の夏休み、地元富山に帰省したときだ。中学の旧友らに、「流石にそれくらいはできないと」みたいな流れで、誰かの家で卓を囲んで手取り足取り教えてもらった。その後東京に戻る高速バスで、ガラケーの麻雀ゲームアプリを落として練習した。
読んでいる人は麻雀という遊戯についてどんなイメージがあるだろうか。やらない人からすればマイナスの印象のほうが強いかもしれない。2016年の年末には福岡県飯塚市の市長と副市長が勤務中に賭け麻雀に興じていたニュースが報じられたし、博打、ヤクザ、タバコ臭い、父親が子どもや奥さんを放って休日は麻雀ばかりしていたなど、良くない話のほうが目立つのは確かだ。高校生の頃、学園祭や運動会の練習をさぼっていたグループが決まって麻雀をやりに行っていたので、「一旦ハマったらおしまいだな」と敢えて避けていた。
ただ、「嗜みの一つだよ」と目の前に牌を出されて今から教えようと準備しているのを無下に断るわけにもいかないので、その大学1年の夏休み、とりあえずやってみることにしたのだ。
結果、身を持ち崩すほどドハマリしたわけではないけれど、好きな趣味の一つとなった。特に、友人とのコミュニケーションツールとしては無くてはならない物になった。これまで、小・中・高の友人、バイト先、大学のクラス、他学部の人、軽音サークル、映画サークル、社会人になってからはバンドマンの集いなどなど、10以上の様々な集まりで麻雀をした。友人のそのまた友人とか、知らない人と雀荘の卓で初めて顔を合わせる、ということもざらにあった。
麻雀はギャンブルの一つに世間では分類されるけれども、ずっと1人で同じ台の前に鎮座しているだけのパチンコやスロットとは違い麻雀は4人で卓を囲んでしゃべりながら打つし、結果を走者に任せる競馬や競輪とは違い自分の判断で結果が左右される麻雀は、単にお金がどうのこうのとは関係のないところでの面白さもあると思う。
また基本的に必ず4人集まらないと開催できないので、そういった制約がある分ちゃんと集まってさあ打ちましょうという時は、それだけでワクワクするものだ。
麻雀を知らない人に分かりやすく伝えるとき、「5枚のトランプを決まったかたちに揃えればいいのがポーカーだけど、麻雀はそれが14枚になるんだよ」「難しい揃え方ほど点数が高くて、何回か勝負して一番総合点の高かった人が勝ちだよ」と教えるのだけど、そもそもポーカーを知らない人が10人中6人はいるので、例え方が悪いのかな…。
今回は地元富山の同級生と高田馬場の雀荘で卓を囲んだ。高田馬場は学生街だけあって場代(バンド練習するときのスタジオ代のようなものです)が相場より安く、軽食も充実しているところが多い(手作りカレーとか、色々なお酒が用意してあったりとか)。今回利用した雀荘は無料で一杯グラスビールが振る舞われた。
お昼時だったので、僕はカレーを注文した。何のことはない、市販の大手メーカーのルーを温めただけのカレーライスだったが、それを片手にいそいそと遊戯に興じるのは、なんだかスキー場で食べる正油ラーメンのように特別な時間を与えてくれる食べ物に感じられた。
バンドマン達とやる麻雀は最近ご無沙汰なので、ぜひ打ちたいって人も、分からないのでルール覚えたいって人も、気軽に私まで連絡下さい!ぜひやりましょう。…音楽関係ないね。
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次回は、「谷中銀座・昼呑みと10円饅頭」をお送りします。
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1986年富山県生まれ。Super ganbari goal keepersのドラマーとして活動中。
2011年に結成。略称SGGKとして都内で活動中。 現在OTOTOYで両A面シングル「レコードコレクターズ / 世界は俺を中心に終わっている」の配信と、特設サイト「SGGKメンバーが影響を受けた50枚」を公開している。 twitter:
SGGK代表曲「植物人間系男子」PV |
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