吉田ヨウヘイgroupにインタビュー。活動休止に至るまで、そして活動再開へ
2016年2月に活動休止した吉田ヨウヘイgroupが、同年10月から活動再開しています。2017年1月には新曲「分からなくなる前に」(撮影・編集 reddam)のミュージックビデオを公開しました。そんな4人に、活動休止から再開までをインタビューさせてもらいました。
interview,text,photo by Shiho Aketagawa
direction by Fuhito Kitahara
| 今、自分がやりたいものをやっている
まずは、自己紹介をお願いします。
吉田ヨウヘイ(以下、吉田) ボーカルとギターとアルトサックスを担当している吉田ヨウヘイです。このバンドを始めたのが2012年で、これまで3枚のアルバムを作りました。
西田修大(以下、西田) ギターの西田修大です。吉田さんとは知り合って10年位。一緒にバンドをやり始めてからは、前やってたのも含めて6,7年。吉田ヨウヘイgroupには、ずっと参加しています。
reddam コーラスとキーボードを担当しているreddamです。OK?NO!!というバンドとソロをやっていた2014年頭に、全く会ったことのない状態で連絡をもらってそのまま加入しました。最近はたまにソロのライブをやったりしてます。
クロ コーラス、トランペット、シンセサイザーを担当しているクロです。TAMTAMというバンドをやっていて、そこではメインボーカルもしてます。吉田ヨウヘイgroupには、2年前にサポートメンバーとして加入して、再始動する時に正式にメンバーになりました。
活動休止に至るまでの話を聞かせてください。
吉田 やめるとか止めるとか抜けるとかに向けて話し合ったことはないんですが、行き詰まってる感は2,3ヶ月あったので、止まっても不思議ではない状態でした。
西田 前向きな意味で1年位みんな悩んでた……前作のアルバム『paradise lost,it bigins』を作りきって、次はもっといいもの作ろうと悩んでる中で悩みが増えて、その結果、やめるやめないとか仲悪くなったとかではなく、今を受け止めるしかないなって休止した感じですね。
クロ 私は、『paradise lost,it begins』のバンドアレンジを録音する時に声として参加したので、その後もアルバムの勢いみたいなものを感じていました。たぶん、長くいる人よりは悩んでいる感じ方は浅かった気がしますが、最後の2,3ヶ月は、みんなで話し合っていました。
reddam 私は、バンドが悩んで行き詰まるムードになっていく過程にいて、休止となった時は、「はぁー」ってなってたんですけど、さ中にいると考えられないことを、素に戻るっていうか、何もない状態で考えられたので、あの時があってよかったと思います。ソロやろうとしてあんまりできなくて「あー」ってなったりもしたんですけど、今となっては、ネガティブな時期とは捉えてないです。
西田 結局みんな仲良しなんで。ただ、今、自分がやりたいものをやってるっていう感じだと思う。俺たちは特にこのままやりたかったっていうのもあるんですけど。辞めてしまったメンバーーともいつかまたやれたら、嬉しいんですけど。
吉田 自分は、技巧的な音楽に詳しい人と仲良くしてもらったり、いろいろ音楽を勧めてもらったりする機会が多いんですけど、それはどう考えても短時間では追いつけないくらい演奏が上手い音楽だったりするんです。そういうものと自分達がやる音楽は違うとは言っても、並べて聴いてもらっても満足してもらえるようなものを自分達なりに作りたいと思って、みんなで無理して追い込んで、自分達で行き詰まっちゃったのかもしれません。
今はどんな状態ですか?
吉田 以前は、気持ちを込めてやるのってメンバーじゃないと難しいと思っていて、メンバー以外には任せられないと思ってメンバー脱退を機に休止したんですけど、休止中にいろいろ考えて、今はサポートのミュージシャンに参加してもらって活動しています。サポートとメンバーの違いとか心配してたんですけど、そういう部分をほとんど感じることなく活動できているんで、すごく感謝してます。楽しいですね。
| 思いを成就させるための曲
新曲「分からなくなる前に」について教えてください。
西田 休止する前からある曲ですが、元々好きだった曲で、このまま寝かしたくない、早くプレイしたい…「分からなくなる前に」はそういう曲です。自分も周りも押しつぶされそうで休止しかないと思っていたんですけど、休止中は、どうして休むことになったのか、休んだからにはどうしたらいいのかを考えて…みんな悩んだし、その分力がついて、いろいろ出来ることがいっぱいあるはずなので、「分からなくなる前に」は、そんな思いを成就させるための曲です。
吉田 この曲は、休止前はサビ以外は歌詞がなかったんです。「何も分からなくなる前に、何も感じなくなる前に」って言葉だけを仮歌で歌っていて、いろいろ考えたんですけど、このままがいいかってことになったので、そこは変えずに作りました。
クロ 私は自分のバンドで曲を作ったりするんですけど、このバンドをやっている動機の一番が、吉田さんの曲が好きって事で、「分からなくなる前に」がオクラになるのはもったいないなぁと思っていました。吉田ヨウヘイgroupの過去の曲をやる時も、今のメンバーで一番いい形に持っていかないとって思いが結構あるんですけど、この新曲は自分達で一番最初に形にするもののような気がして、大事に思っています。
“分からなくなる前に” 吉田ヨウヘイgroup MV
新しい曲も作っていますか?
吉田 はい。今年中に音源を出したいです。ドラムやベースがいないと、いつでも録音しているようなもので、今までとは違う形の曲も作っています。今、クロちゃんがメインで自分が一切歌わない曲を作っていて、reddamちゃんにもそういう曲を作ったりとか。今までとは違う、全員のパーソナリティが出るようなものになるのかなと感じています。
プレッシャーは増えましたか?
reddam 負担は変わらないというか、自分の持ち場をやるっていうのは変わらないです。気負いすぎてもいいことないような気がして。
| じゃあ、バンドをやる意味ってなんだろうって
バンドでやりたいことは?
西田 こういうのを弾いてみたいとかはいろいろとあるんですけど、毎日生きていくなかでやりたいことも変わるし、気分も違うじゃないですか。4人で真剣にやっていれば、勝手に面白いものになっていくと思うんですよね。一人一人のやりたいこと、ハマってるもの、新しいこと、楽しいこと、新しい技術なんかが、やりたい音楽になると思う。俺はそうなるように吉田ヨウヘイgroupにいて、そういう人と一緒にやってるから。
あと、吉田さんの作る音楽が好きでやってるんで、いっぱい好きな曲あるんですけど、もっと今まで以上に良い曲を作って欲しい。前から言ってるんですけど「いとしのエリー」みたいな曲を作って欲しい。歌も良い、アンサンブルもサウンドも良いっていう曲に挑戦したい。
クロ 吉田さん以外のメンバーから発信して曲を出したりするのが、バンドの新境地になると思います。私としても、吉田ヨウヘイgroupでやって欲しい曲があるので、今は考え中ですが、力になっていきたいなと思います。演奏は、変わらず頑張ります。
reddam 楽器とか歌でスキル的に満足できてないので、コツコツ上げていきたい。あと、自分は音楽が好きで聞いてるだけの人だったので、そういう自分の好きであること自体が、実際の音に反映されるものでもいいし、集団での雰囲気でもいいから、「この人がいるからこういう集団だよね」っていろんな人に伝わるように寄与していきたい。
吉田 前は付き合いの長さとか深さがバンドには大事だと思っていて、勿論そういう部分はあるんですけど、今サポートの人にやってもらってわかったのは、実際それだけでもないな、と。自分達がお願いしたくなるような人は、いきなり演奏しても大丈夫だってわかりました。あれ、これまで結構練習したのは何だったんだろう、って思ったりするんですけど(笑)。じゃぁ、バンドをやる意味ってなんだろうってなるんですけど、長くやっているメリットがあると思うので、そういう良さも音楽に出せたらなぁと思います。
あと、皆が自発的に曲を出せるようになるには、まだ時間がいるかなと思っています。焦ってはだめだとは思うので、次の次くらいでやれたらいいなと思います。
吉田さんは変わりましたか?
西田 10年。変わってないわけないくらい長く付き合ってるんで、めちゃくちゃ変わったと思うんですけど。いろいろ教えてもらったり、悩んだ時に結局相談するとか、そういうところは変わってない。
吉田 ムカついたけど許したとかそういう積み重ねが…。ほんと合わないなと思うことも多いんですよ。(笑)
西田 え、最近もそんなにあるの?(笑)
reddam バンドに入ってしばらくはムカついちゃいけないって思ってたんですけど、3年位たって、普通にムカつけるようになりました。ちょっとムカつくのは、健康的でいいし、自分も安心できるし、ありだと思っています。
| 俺、こういうことがやりたくてバンドやってたんだって。
希望や夢を教えてください。
吉田 今作っているのが打ち込みっぽい曲なんですけど、クロちゃんがコーラスを作ってくれて、それがめちゃくちゃ良いんですよ。自分が作ったものよりも感動しました。俺、こういうことがやりたくてバンドやってたんだって。こういうことが日常的に起こるようにしていければいいなと。バンドで披露するのは先だと思うし、アルバムに入れてもライブでやらないかもしれないけど。自分が感動したもので他の人も感動して、且つ、話題になったり、聴き手が増えたり、そんな機会が増えればいいなと思います。
クロ 好きな海外のバンドが来日した時に、日本ならこのバンドだろって指名してくれて一緒にライブをやるのが夢ですね。Wilco(ウィルコ)とか、Dirty Projectors(ダーティ・プロジェクターズ)とか、言いだすときりがないんですけど。吉田ヨウヘイgroupに入るきっかけが、Dirty Projectorsだったんです。ライブを見た後に「よかったー」って会場の外で話していたのを同じライブを見てた吉田さんが聞いてて、後で呼ばれました。
reddam 私もDirty Projectorsとか大好きなんで、そうなるといいな。個人の事でいうと、楽器うまくなりたいし、自分が作ったきりの作品も、自分のものとして今ソロでやったほうがいいだろうなと思ってます。バンドのためにもソロやったほうがいいとわかってきたので。がんばってやったら、この人だからこのバンドいいよねとなるだろうな、と。
西田 「最強」がいいです。ギター最強。そんな自分のいるバンドも最強。それが夢です。あと、何をやってるんですかと言われた時に未だに悩んじゃうから、躊躇せず「ミュージシャンです。」と言えるようにしたい。
ありがとうございました。最後に、ファンの方達にメッセージをお願いします。
吉田 休止した時は再開しようと思っていなくて、ツィッターとかで活動再開した時に「聴いてる」とか書いてくれてる人が結構いて、ありがたいなぁって思いました。やってる時は厳しい評価のほうに目がいって悩んだりしがちなんですけど、普通に良いと思って聴いてくれてる人がいてありがたいなと励まされたので、気にしてくれていた人の期待に応えられるような活動ができたらと思います。
クロ うん、うん。
reddam こんなに気にしてくれている人がいたんだとわかり、休止はいい機会だなと思いました。
西田 早く、いろいろ聴かせたいなと。みんな、そう思ってると思います。
吉田ヨウヘイgroup ライブ情報 |
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