毛利泰士のマニピュレーターが知っておいて損しない話 | 第4回 どこからでもすぐ再生!ロケート編 イマドキ位置情報無しではつらいじゃない。。。
皆様こんばんは、Zelig works 毛利泰士です。
ご無沙汰しております。気がつけば2017年。毛利、冬眠してました。これには訳がありまして、後厄があけるのを待っていたからです。そう先日無事にあけたらしいので再開です!!……言い訳をしっかり書いたので、今年こそちゃんと連載します。
前回は、DAWのトラッキングまでお話ししました。いよいよ再生編です!
さて、いまDAWの画面には、前回の方法で、曲順に適当に間隔を置きつつ各曲が並んでいるとします。
再生してみましょう。1曲終わったら、止めます。次の曲再生したいですよね?
といっても、まず次の曲の頭の位置にロケート(移動)しなくてはなりません。それには目印が必要。そうです、マーカーを各曲の再生する位置に打ちましょう。これで、曲が終わるごとに次のマーカーを選んでロケートすれば、スムーズに次曲を再生する事ができます。
できましたね!いやぁめでたしめでたし!!!……いや…ちょっと待て…ちょぉっと待てよぉ!
それでいいのか?お前本当にそれでいいのか???!!!
さぁ、みんな目をつぶってくれ。よぉく想像してみるんだ。ここはリハーサルスタジオ、もしくは本番会場のリハーサルタイム。
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( リハーサル中 )
曲の最後。じゃぁ~〜ん!!どことん。(終わり)
バンマス
あ、今のさ、エンディングなんだけど、ピアノソロみたいにして、全員でかき回し(ジャァ〜〜〜ンのことね)はやめて〆はピアノだけで終わりたいな
メンバー
あ、それいいっすね!そうしましょう
ピアニスト
はぁ~い(頭でソロを考えてる)
全員
譜面にカキカキ。
バンマス
じゃ、最後のサビの折り返しからやろうか?マニピュレーターさんお願いします
マニピュレーター
……(腋汗と手汗が)
※バンマスとは、バンドメンバーで一番偉い人。みんなの演奏を統括する、またはアレンジしたりする音楽的現場監督のことを言うぞ。
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そうです、このやり方では、急に思った所から再生できません。
ロケートってほんとに大事です。いまどの箇所を演奏してるかはすぐに判断できなくてはいけません。上記のように、リハーサルで「最後のサビから」とか「アウトロから」とか「2番のAメロだけ聴かせて」とかよく起こる出来事です。
これ、大事なんでもう1回いいます。
曲のどの位置から再生するべきか、すぐに判断できなくてはいけません!!!!!すぐにどこからでも再生!!これマニピュレーターの仕事の大前提です!
と、息巻いたところで、さてどうしましょう?
①まず、最初に戻って、曲ごとのステム(※)の配置の事から考え直しましょう。
実は、ここまでDAW上のテンポについて触れてきてません。ロケーターが小節表示で、テンポに合って進まないと気持ち悪いという人は、全曲ごとに、テンポと拍子情報を入力しておきましょう。そして、「曲のスタート位置にマーカーを入れる」です。これにより、小節数以外は、拍の動きを正しく見ることができますし、演奏箇所の位置も把握しやすくなります。
この方法の良い所はやはり、常に細かい単位で確認できるところです。
良くない所は、DAWのいたるところに、テンポチェンジ、拍子変更が入るのでデータが細かくなる。また、曲順を変える為にステム位置を入れ替えたりする場合、それらの情報も移動せねばならないので、エディットの間違いを起こしやすくなります(特にPro Tools では仕様上キイィ~っ!!!ってなりやすいです)。
②もう細かいテンポ情報はいいや、という方は、bpm120の状態でロケーター表示も小節をやめて時間表示に変えてしまう。最初と同じ状態ですね。これは見た目スッキリです。
幾つかのトラックを1つのステレオトラックにまとめたもファイルの事をいいます。
例えば、「ドラムをステムにする」の場合。
ドラムと言えば、キック、スネアの裏表、ハイハット、タム、オーバーヘッド、ルームマイク、など複数のマイクで録音して、それらをいい感じに処理してバランスをとって1つのドラムの音になるわけです。それらをドラムとしてまとめちゃいましょう!みたいな感じです。
他にも、「たくさん入ってるシンセの音をまとめてしまいましょう」とか「10人のストリングスの録音を一つにしてしまいましょう」とかそういう感じです。ざっくりですが……
で、結局どちらにせよ「これじゃなにも解決してないじゃん。やっぱり、曲のパーツごとに[Intro][1A]とかマーカー打ったほうがいいな!」と思ったら、さぁ、やってみましょう……
ほら、このとおり!
マーカーだらけで、次の曲の頭がどれか探すのも一苦労です……
どうすんだよ?!できねぇじゃねぇか!
と言う事で考えてみます。要は、場所とその位置の名前がわかればいいのです。
ということで、マーカー代わりに違うもので代用します。それは…空のリージョン(オブジェクト、バイト)です。midiでもオーディオでも構いません。ブロック上に見えて、名前を付ける事さえできればいいのです。
例えば、曲中マーカー用にMIDIトラックをひとつ用意して、曲頭に空のMIDIオブジェクトを配置して、曲名で名前をつけます。次のオブジェクトは[Intro]とかです。こうやって各所、名前のついたオブジェクトを配置して、それを選択すればその位置にロケートできますよね?
そのトラックをクリックのファイルの上にでも置いておけば、そこから2小節前、なども簡単に割り出せるはずです。
こうして、必要な位置を把握する事で、いつでも好きな箇所から再生することもできて、視認性のよいファイルを作成する事ができました。これにて、プロジェクトの基本の完成です!!!
(注) くどいようですが、Digital Performerを使えば1曲ごとに管理できて、すぐに次の曲に行けますし、普通にマーカー入力しても見えやすく楽です。
しかし!!実際は音楽に集中して、空気読んで周りの話を聞いていないと、結局どこから再生すればいいかわからないからな!!!そう、集中だ!!
いよいよ再生です!
さて、「再生するにはどのようにするべきか?」「そもそも機材って、どういうのものが必要なの?」ということで、次回からはシステム編です!
僕の機材をもとに、安全安心のシステムについて説明に入りたいと思います。
今まで企業秘密にしてきた部分も惜しげもなく晒します。
必見!!
ではみなさま、また次回。
冒頭でも言い訳を書きましたが、実は昨年秋以降アレンジとかレーベルのことばかりしておりましてね、それでモードが違ったといいますか……
ようやく今年も、星野源さんのライブに始まり、この後、槇原敬之さんのツアーも控えてマニピュレーターのモードになってきましたので。次回もお楽しみに!!
毛利泰士
(このコラムは、毛利氏のブログ『夢が毛利毛利』に連載されている「マニピュレーターが知っておいて損しない話」をご本人が加筆したものです)
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1974年3月10日 東京都出身 B型 上記の経験が生かされた、生演奏とシンセサイザーとコーラスを生かすアレンジには定評がある。 |
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