新春バーチャル対談2020!hoshioto代表・藤井裕士 × UROROS編集長・きたはらふひと
新年明けましておめでとうございます!
2015年8月1日に始まったUROROSですが、お陰さまで5回目のお正月を迎えることができました。読者の皆様、ニュースをお寄せくださった皆様、本当にありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。
2020年という年を迎えるにあたり、昨年に続き岡山の完全インディペンデント野外フェス『hoshioto』を主宰する藤井裕士さんをお迎えしてバーチャル対談を行いました。
2019年はどんな年だったのか、今年の音楽シーンは?、フェスを続けるためのモチベーション、そして東京オリンピックがもたらすものとは?について、大いに語り合いました。そして、私(北原)が考えている新たなイベントについても少し話をさせてもらっています。
昨年2019年の新春バーチャル対談
http://uroros.net/interview/fujii-kitahara2019/
| もう恒例?
きたはら 明けましておめでとうございます!本年もよろしくお願いします!
藤井 あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします!!
きたはら 昨年2019年に続き2回目の新春対談ですね。もはや恒例と呼んじゃってもいいんじゃないでしょうか。
藤井 そうですね!といいつつまだまだ2回目なので、来年くらいに恒例って言っちゃいましょう(笑)
きたはら 藤井さんにとって2019年はどんな年でしたか?
藤井 2019年を軽く振り返ると相変わらずなんやかんやで一年があっという間に過ぎたなと思いました。
イベントで言うと、サーキットイベント「machioto」と野外フェスティバル「hoshioto」が初のソールドアウトとなって地道に今までやってきたことが報われた感じがしました。これは本当に嬉しかった。きたはらさんにとってはどんな2019年でした?
きたはら ソールドアウトおめでとうございます!あの規模でソールドアウトは本当にすごい!hoshiotoは3〜4年ぶりに行きましたが、会場も変わりめちゃバージョンアップされてましたね。だけど、hosioto特有の手作りの空気感や快適さはそのままで、過ごしやすくて楽しかったです。次はキャンプしたいなあ。
僕は今年スケボーを始めて、振り返るとスケボーの他に何したっけ?という1年でした(笑)。夏は毎日3時起きで朝クルージングをしてました。秋からはオーリーに挑戦してますが、膝を痛めて今はサポーター巻いてジャンプしてます(笑)
藤井 スケボー!!オリンピック競技にもなりましたしね~!毎朝3時に起きてって凄い!(笑)
| 2019年の音楽シーンは?
きたはら 昨年も聞きましたが、2020年の音楽シーンは藤井さんからみてどんな流れになりそうですか?
藤井 2019年は多種多様な流れが来るのでは?って思っていたんですが、まさに幅広い音楽が売れた年になったように思えます。
特にKing Gnuや中村佳穂のような本物と言えるアーティストさんが評価されて売れたのは素晴らしいなと感じました。
本物がちゃんと評価される時代がちゃんと来たって感じで日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと思いましたね(笑)。個人的には中村佳穂ちゃんは昔から応援していたので、手の届かない存在になっちゃいましたが、凄く嬉しいです。
2020年もこの流れはまだまだ続きそうな気がしてますが、逆にNight Tempoが発信している昭和歌謡が再評価されるような予感がしてます。フジロックでのNight Tempoの盛り上がりはエグかったんで(笑)ますます多種多様の流れが来て面白いことになってきそうな予感がしてます。
きたはらさんはメディアとして色々と発信してきていますが、2019年を振り返って何か感じた事はありますか?また、2020年はどうなる感じがします?
きたはら 2019年は大きなシーンの勃興はあまりなく、わりと落ち着いた年だったんじゃないかなと。その分、個々のバンド/アーティストが良作を発表したり台頭してきたりして、2020年は藤井さんが言われてるようにますます多種多様に盛り上がっていくのではと僕も思っています。
今年何を聴いたかなーと思い出してたんですが、個人的には大石晴子さん、長谷川白紙さん、Smanyさん、Half Mile Beach Clubさんなどの新作が良かったですね。ちょっと思い出しただけでも、ジャンルもスタイルもバラバラで、本末転倒ですがもはやシーンなんてものはないのかなと。そして、LOVE SPREADさんのまさかの新作は激アツでした。
藤井 なるほど!落ち着いた年って言われればそうかもしれませんね。僕は特に田舎に住んでいるのできたはらさんが住んでいる所謂中心部からすれば届くまでに時間がかかるな~って再認識した年でもありました。
シーンって確かにないかもしれません。アンダーグラウンドだったりカウンターカルチャーだったりするものが急にメインカルチャーになったりする時代ですからね。それがシーンを作れているか?と言ったらそうでもなく、単発な感じで終わる場合もありますしね。
| フェスを続けるためのモチベーション
きたはら 2020年2月9日(日)にはサーキットイベント『machioto2020』、そして5月30日(土)には完全インディペンデントフェス『hoshioto’20』の開催も決まりましたね。秋には広島でサーキットイベント『JOKAFES』も開催されてますが、毎年続けられるモチベーションをお聞きしたいなと。なんでかというと、僕は2019年1月の廃病院パーティーで燃え尽きちゃった感がありまして。
藤井 毎年続けれるモチベーションですか。地方なので1回、2回で終わったら「それまで」って事で、そこで終わりなんですよね。継続して続ける事でやっと評価されるというか、知ってもらえるという事があるんで、実はhoshiotoは最低5回はやろうって事ではじめました。
で、hoshiotoは正直めちゃくちゃシンドいんですが、hoshiotoをやっちゃうとhoshiotoに比べればJOKAFESもmachiotoも楽なんです(笑)だって、何もないところに音響運んできたりとか会場作ったりとかしなくていいですから、だからサーキットイベントをやるのは全然苦になることは少なくて(笑)
hoshiotoは年々シンドくなってますが、年々面白味は倍増はしていると思ってます。ただ、いつかは終わりが来るのは自分の中では分かっていてその引き際っていうものを今は探しているかもしれません。
廃病院パーティーまたやりましょうよ(笑)
きたはら しんどいのに年々面白味が増していく、なるほど!と納得しました。引き際という話も出ましたが、例えば後継者はいたりするんですか?
廃病院パーティーは会場がついに取り壊されちゃったので、あの場所でもうできないのが残念です。快適な眠りをテーマにした室内キャンプイベントをやりたいと一時期動いていたのですが、スケボーにハマってしまって今は止まってますね。そろそろまた動こうかな。
藤井 後継者はいませんね。やりたいです!って人がいれば連絡欲しいです!ただ、hoshiotoとかをやるにはそれなりの覚悟が必要なので、あまりオススメはしませんけどね(笑)。でもいつかはお客さんとしてhoshiotoに行くとかっていうのがちょっとした夢ではありますね。
廃病院パーティーの場所、取り壊されちゃったんですか!!それはちょっと残念ですね。眠りのキャンプイベントって面白そう!!スケボーも絡めれば出来るんじゃないですか?(笑)
きたはら それは夢ですね!その時は藤井さんとhoshiotoの会場を巡りたいなあ。
室内キャンプフェスは、お客さん/スタッフという垣根をなくして、一緒に楽しめるようなイベントにしたいなと思ってます。廃病院パーティーにはなかったオシャレ感も打ちだしたいですね(笑)。もう公の場所で言っちゃったので、これを機に動きだしたいと思います。
今年のmachiotoやhoshiotoで挑戦してみたいこと、新たに「これやるよ!」ってこと、何かありますか?
藤井 やりたいことはあるんですが、それを具現化するにはちょっとまだ情報が足りなくてまだ調べごとしている状況ですかね。hoshiotoに関してはもっと星に寄ったことがしたいな~って思ってはいます。
とりあえず2019年のそれぞれのイベントを更にグレードアップさせる予定ではいます!
きたはら 星に寄ったこと、いいですね!発表を楽しみにしてます!
| 音楽やアートで街おこしはできるのか?
きたはら 藤井さんのFacebookで「アートで街おこしはできるのか?」みたいな問いかけがあったじゃないですか?これはどんな理由があっての問いかけだったんですか?また、藤井さんの意見も聞きたいなあ。
藤井 あ、これ「アート」だけではなくて「音楽やアートで」っていう感じで聞いていたんです。今、地方では音楽やアートを使った「音楽フェスティバルで町おこし」や「芸術祭で町おこし」というのが最近やけに目立つんですよね。でも、それで結果をちゃんと出せている所が少なく感じてFacebookで聞いてみたんです。
僕自身、音楽フェスティバルをやってはいるんですが、去年の年始に「市長対談」という地元ケーブルテレビの番組に出演しまして「音楽で町おこしをしている人」みたいな扱いになったんです(笑)完全に意図しない感じでしたが、hoshiotoの宣伝の為に出演しました。
個人的には好きな事やっているだけで「町おこし」を意図的にやっている訳ではないんです。たまたま市外から人が集まっているだけで、たまたまそれが町おこしみたいな形になっているだけなんですよね。
でも、イベントを開催して人を集めるだけでは「町おこし」にはならないと僕は思っていて、あくまで窓口というかその町に来るきっかけをつくるだけで一過性のものでしかないと思うんです。一過性ではなく年に2度、3度、来てもらうために何か次の手を打ってこそ「町おこし」だと思うんですが、ブームみたいに「アートや音楽で町おこし」というのを目の当たりにしてなんかそれってイベントをやるためだけの名目じゃないかな~ってちょっと感じたんでているんで聞いてみたんです。
田舎に住んでいるからこそ最近こういう事を凄く考える時間が増えた気がしてます。
きたはら 一過性で終わらせないためには、街の魅力をもっと伝えて、フェスやイベントがなくてもその街に行きたい、住んでみたいと思わせないといけないのかなと藤井さんの話を聞いていて思いました。
フェスやイベントはそのキッカケを作るのには適していると思うので、そこに街のひとたちや行政が自由に乗っかってくると面白いですよね。例えば、hoshiotoの前後1週間の間に町中でアートだったりお祭りだったおり、いろいろな催しが勝手に開かれるとか。せっかくhoshiotoというコンテンツがあるんだから、それに乗らないのは勿体ないかなと。
だけど、フェスやイベントが「町おこし」自体をテーマに掲げちゃうと、振り切れてない中途半端なものになりがちな感じがしますね。住民の皆さんに遠慮しなきゃならないだろうし、いろいろなところから横槍も入るだろうし。もっと自由にハチャメチャにやっちゃた方が街にとっても実は良いのかなとも思いますが、難しいんでしょね。
藤井 いや、マジでこの前後に何かをするっていうのを考えてたりはしているんです。でも僕自身はhoshiotoの準備で前後絶対に何も出来なくて、誰かやってくれないかな~とは思うんですが、なかなか後継者的な人もいない状況だから難しくて。アイデアの中にはhoshioto開催中に例えば“井原市観光”とかをやるっていうのもちょっとあったりするんですが、まだ現実的には難しいかなと。
でも行政とかに頼るのは、正直なかなか難しいのは分かってて、全国には行政主導で面白いことをしている所もあるんですが、やはり行政ってミスが許されない場所でもあるので、冒険とか挑戦は出来ないんですよね。なのである程度民間企業とかが引っ張った上で行政が乗っかるっていうのがベストかなと思ってます。
あの街なんか分からないけど面白そう!って思わせたら勝ちなんですが、そこまでぶっ飛んだ事をやるにはもう少し面白い人や行動力がある人がいないと難しいかなと思ってます。
きたはら やっぱり民間の力からですね。この対談を読んでくれた井原市の人が1人でも1社でも動いてくれるといいなあ。その暁には、UROROSでも特集みたいなカタチでバックアップできたらと思います!
| 変革の年
藤井 今年、オリンピックが開催されるじゃないですか?それに伴いオリンピック期間中の7月や8月に今まで開催されていたフェスティバルが中止になったり開催日が変わったりして2020年は変革の年になるなと思っているんですけど、きたはらさんはそういうの感じていたりします??
きたはら 正直、僕も周りもオリンピック?何それ?美味しいの?って感じです(笑)。お上から与えられたものに簡単に与しないのがインディーの良さでもあると思うので。
ただ、オリンピックそのものにコミットしなくても、オリンピック目当ての来日外国人を取り込んじゃうようなフェスなりイベントが出てくるのではないかと予想しています。
2020年が変革の年になるとすれば、外国人にも開かれたフェスやイベントが増えて、日本人/外国人という仕切りがなくなっていく年になるんじゃないかと思っています。
藤井さんが感じる「変革」とはどんな感じですか?
藤井 なるほど!来日外国人を取り込むという発想は無かったです。
僕が思う変革は、日程の変更と気象の変化ですね。ここ数年、台風で中止になったフェスティバルとかイベントとかめちゃくちゃ増えていますよね。そして、夏は暑いのに野外フェスティバルやってたりとかで、ちょっと夏にイベントを開催するのは無理じゃない?的な感じも少し感じているんです。
で、オリンピックの影響で夏に開催する大きなフェスティバルが日程移動したり、中止を発表したりして、来年以降どうなるのか?って結構注目しているんです。
また、日程が移動することによって競合も増えて淘汰されるフェスティバルも増えるかもしれないなと思ったりもしてます。2020年を機に色々と変わるものが増えてくるのではないかと個人的に思って入るんです。ちょっとそこについては注視していきたいと思ってます。
| 来年は焚き火討論会!?
きたはら そういえば、昨年の新春対談で「来年は岡山で冬キャンプしながら対談しましょう!」って言ってましたね。今年はできなかったけど、次回は焚き火にあたったりしながら対談したいなあ。
藤井 焚き火討論会、やりましょう!!焚き火見ながら話すると落ち着きますからね(笑)
きたはら 実現させたいですね!ありがとうございました!
machioto2020(マチオトニイゼロニイゼロ) [machioto2020オーディション枠] [特別枠(A College 2019最優秀バンド)]
hoshioto’20(ホシオトニジュウ) [一般発売] |
岡山県井原市在住。hoshioto実行委員会代表。
特に波風も立てず猫と犬と平穏に暮らしているUROROSの編集長。昨年2019年は4年ぶりに廃病院パーティーを開催できて嬉しかったです。また、昨年はスケボーを始め、見事にハマりまくった年でした。夏は毎朝3時起きでクルージング三昧、秋からは無謀にもオーリーに挑戦してます。2020年はまたイベントやりたいな。 |
関連記事: